税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

近畿経済産業局へ行く 2017.12.02

一昨日、関与先の社長様と大阪天満橋の大阪合同庁舎1号館にある経済産業省近畿経済産業局へ行ってきました。もちろん税額控除や即時償却などの優遇税制のため「中小企業等経営強化法の経営力向上設備等のうち収益力強化設備(B類型)に関する投資計画の確認申請書」の確認を受けるためで、約1か月前にアポを取っていましたので、時間どおり経済産業局の担当者の方とお会いすることができました。

確認申請書には、①その設備投資によって年平均の投資率が5%以上見込まれる投資計画(「基準への適合状況」) ②導入しようとする設備の実体を明らかにした導入前・導入後のレイアウト図や建物図面および見積書など③その投資計画が代表者やそれに代わる者に決済された旨の取締役会議事録など ④①~③の事項を確認した公認会計士又は税理士による確認書等の各種資料も添付する必要があります。

担当者の方の確認のための面談は約20分で終了し、約1~2週間後に関与先あてへ確認書を送付するとのことです。全体の感想としては投資計画の不適合なところをさがすというよりは、あらかじめ投資計画による減税に対する予算枠があるため、条件をクリアしている投資計画であれば、できるだけ確認書を発行したいという姿勢に感じました。収益力強化設備(B類型)の対象設備は、機械・装置 160万円以上、工具 30万円以上、器具備品 30万円以上、建物附属設備 60万円以上、ソフトウェア 70万円以上で、これらの設備購入が経済産業局の確認が受けられるような前向きな投資であれば、ぜひ確認申請をすべきと思います。また、経済産業局の確認を受けた設備については、その後「経営力向上計画」に記載して、計画の認定を受ける必要があります。

パラダイスペーパー 2017.11.20

週末に録画していたNHKの「パラダイスペーパー」の特集番組をみました。最近よくテレビニュースで報道されている「パラダイスペーパー」とは、英領バミューダ発祥の法律事務所から流出した計1340万件の膨大な文書のことで、世界の政治家や企業などが租税回避地(タックスヘイブン)を通じて課税逃れに関与していた実態が明らかにされています。

番組のなかでは、この租税回避地を通じて課税逃れされる税金の額は全世界で年間58兆円だそうで、日本だけでも5兆円にのぼるとのこと。財務省の一般会計決算概要では、2016年度の国の税収は、合計554686億円ですので、なんと1割ちかくになります。税収のうち消費税は172282億円ですので、この課税逃れ分を徴収できたなら再来年10月の消費税率アップはなくてもまだおつりがくる計算になります。なんとも納得できない話ですが、番組をみていると租税回避地の大きな問題は税率が低いことに加えその秘匿性あるようです。租税回避をアレンジする現地事務所により、名義貸しで簡単に資産を隠すことができるスキームが公開されていましたが、それによって多額の成功報酬を受け取るのでしょう。

このような租税回避地は独自の産業が乏しいため、現地雇用などやむを得ない理由もあると考えていましたが、番組をみる限り一部の政府関係者や権力者が自己の利益のため、このような租税回避地をあえて存在させているのでは・・とさえ感じてしまいます。この「パラダイスペーパー」、文書が膨大すぎてまだ解明されたのはほんの一部ですので、今後いろいろな事実が出てくることが考えられます。

税理士の研修の受講義務化 2017.11.13

各税理士会(近畿税理士会など)に登録されている税理士会員は、一事業年度(毎年4月1日~翌3月31日)に、36時間以上の研修を受講しなければなりません(研修規則第2条、第5条)。これは平成27年度(平成27年4月1日~28年3月31日)から始まったいわゆる「研修の受講義務化」ですが、制度前に比べかなり少なくなったとはいえ、罰則規則はなく36時間に満たない税理士会員もいらっしゃいます。ただ、36時間を達成した会員先生が一概に関与先や納税者にとって良い先生とも言えず、また独自に外部研修や異業種セミナーなどで研鑽を積まれる会員先生もいらっしゃいますので、そこのところは難しいところです。

いずれにしても、29年度から草津支部の研修委員長をさせていただいており、他の委員会の税理士会員や役員の方と、いかに会員先生に支部主催の研修を積極的に受講していただけるか話をしています。たとえば、研修用DVDや他会場の研修をライブ配信システムで上映し研修回数を増やす、人気講師先生と早めにアポを取って研修をしていただくなど、いろいろ試しているところです。

この「研修の受講義務化」、来年の平成30年度分から制度がよりバージョンアップ(?)され、税理士会員の研修受講時間等が税理士連合会から公表(「税理士情報検索サイト」に受講時間等を掲載予定)されることになります。公表されるのは平成31年10月1日(平成30年度分)からで、これによって研修受講時間が税理士選定の一つの尺度になるかどうかも興味のあるところです。

竣工式 2017.10.17

きょうは関与先さまの賃貸物件の竣工式に出席させていただきました。神主の詔につづいて、関与先さま、金融機関の方、建築会社の方、設計会社の方、事業運営会社の方、わたしも玉串を持って、まず二礼・・そして、玉串を時計回りに茎を前方にして奉納して・・そして二拍手、一礼・・なんとか終了しました。

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売買・贈与で不動産を取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税に不動産取得税があります。この不動産取得税、一般的には取得後6ヶ月~1年半ぐらいの忘れたころに都道府県から「納税通知書」が届きます。金額も大きく、思わぬ出費で資金に苦労しないようしなければなりません。

不動産取得税の計算は、土地・建物の税額=固定資産評価額×4%(土地および住宅3%(平成30年3月31日まで)、住宅以外の家屋4%)。

新築住宅およびその敷地の税額(軽減)については、建物の税額(一戸あたり)=(固定資産税評価額-1,200万円)×3%、土地の税額=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(45,000万円、(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度)×3%のいずれか多い金額)になりますが、この軽減措置を適用するには各種の要件を満たさなければなりません。物件が大きい場合は地方税の職員が直接現場に立会い、後日都道府県へ書類を提出して、要件に該当すると判断されれば軽減の特例を受けることになります。

ヤンゴン(ミャンマー)へ視察旅行に行ってきました 2017.10.06

先週末から今週水曜日まで、TKC海外展開支援研究会の視察旅行でヤンゴン(ミャンマー)に行ってきました。ミャンマーは2015年に軍事政権から民政に移行し、「アジア最後のフロンティア」と投資先として大いに期待されました。しかし、現在ではイスラム教徒「ロヒンギャ」が迫害を受けているとされる問題で、アウン・アン・スー・チー国家顧問が率いるミャンマー政府は国際社会から非難されている状況がつづいています。

到着翌日は日曜ということもあり、ヤンゴン中心部の寺院をいくつか訪問しました。写真はその中の「シュエタゴン・バコダ」で、高さ約100メートルの金色の塔を中心に約60余りの仏塔や廟が存在し、われわれが訪問した夕刻はライトアップされ幻想的な光景になっていました。境内には裸足で入ることになっていますが、境内はタイル敷きのため、ひんやりした感覚が気持ちよく感じました。境内にはお坊さんや熱心にお経を唱える地元の人たちがおり、われわれを特に気にする様子もありません。ミャンマーの人々は概しておだやかで、観光客にチップをせがんだり、物を売りつけたりすることは他のアジア諸国と比べ少なかったと思います。IMG_0470

翌日月曜からは本来の目的である日系進出企業の視察や現地の投資機関、邦銀のヤンゴン支店の方が講演するセミナーに参加しました。ただ、日系進出企業が工場で郊外にある場合、バスで移動しなければいけません。ミャンマーは発展途上の国で道路の整備が著しく遅れており、バス移動では普通に走行することは少なく、ノロノロでも御の字、渋滞ならぬ停滞もしばしばでさすがに辟易しました。ようやく到着した訪問先の企業があるティワラ工業団地は、日本政府とミャンマー政府が国家プロジェクトとして行っている開発事業で、写真はその入口の風景です。IMG_0483

写真は訪問させていただいた日系進出企業によるパワーポイントでの説明会の様子。どの企業様もお忙しいにもかかわらず、われわれにミャンマー進出の留意事項やメリット・デメリットなど解説いただき、本当にありがとうございました。IMG_0489

最終日はヤンゴンにある日本人墓地を参詣しました。この墓地には、第二次世界大戦で亡くなられた日本軍の方、また戦争に関係なく現地で亡くなられた日本の民間人などが葬られています。われわれもささやかながら、献花されていただきました。写真のむこう左に立ってられる方は㈱TKC 飯塚真玄名誉会長で、そのご講演では当時のビルマ(旧ミャンマー)戦線での出来事について、ご自身の思いを熱く語られていました。研究会としてこのような視察旅行は年1回行われており、今回は全国から約60名が参加しましましたが、全国の研究会のメンバーと知り合いになれ、有意義な視察旅行になりました。今後10年後さらに20年後ミャンマーの発展を楽しみに、無事帰国の途につくことができました。IMG_0510

 

ことしもインバウンド研修会で講師 2017.09.06

昨日、TKC全国会海外展開支援研究会が開催したインバンド研修会(会場:AP大阪梅田茶屋町)で講師をさせていただきました。テーマは昨年と同じ「外国法人が日本で会社を設立する際の税務」ですが、外国法人が日本国内に外資系法人を設立したケースだけでなく、既存の外資系法人をあらたに関与したケース、いままで関与していたクライアントの株主が外国法人となったケースなども含めてお話ししました。

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外資系法人では本国から日本へ駐在員の派遣して勤務させているケースもよくあり、駐在員に対する個人所得税にも留意する必要が出てきます。とくに日本で勤務している駐在員に支払う給与額の設定の方法ですが、日本へ駐在した場合には、マンションなどの住宅費、帯同した子どもの学費、自動車のレンタル代などいわゆる各種みなし給与が発生するため、そのみなし給与額を含めた給与額から所得税等の金額をのぞいた手取り金額が、本国の手取り額と比較してどうかをつねに検討する必要があります。

また、その駐在員が給与額の一部を本国の口座に受取ったいわゆる留守宅手当については、給与所得者は所得の源泉地が役務提供地(日本)となるため、その金額もふくめて日本で確定申告する必要があります。これを日本払いの給与のみを申告してしまうと、あきらかに留守宅手当ては申告漏れの状態になってしまいます。外資系法人を設立では法人の税金がクローズアップされますが、駐在員個人の所得税にも留意し、その駐在員自身が赴任先で安心して生活できるサポートも必要あると、わたしのいままでの経験から解説させていただきました。関西各府県や東海地方の遠方から出席いただいた研究会の皆様、最後までお聞きいただきありがとうございました。

2時間半待ちのランチ 2017.08.21

昨日は久しぶりに奈良の「くるみの木 一条店」へ行ってきました。開店11時半のすこし前の10時45分ごろに到着、予約ボードに名前を書きましたが、結局約2時間半も待つことに。休日ということもありますが、あいかわらず大繁盛しています。また、店のスタッフも大勢のお客様をかぎられたスペースと時間でできるだけさばこうとする雰囲気もなく、ごく普通に進行していきます。わたしもせっかくなので、備え付けの奈良新聞(同じ地方紙の京都新聞よりかなり小ぶりです)を読んでいました。そして、席に案内され、午後1時15分にこの「くるみの木 夏のランチ」にようやくたどり着きました。

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写真のまえ左から・・冬瓜のお味噌汁、枝豆のご飯、夏野菜のハンバーグと串揚げ、うしろ左から・・セロリと赤玉葱のマリネサラダ、茄子の揚げ田楽、こんにゃくのピリ辛炒め、葡萄のゼリー・・たくさんの野菜がしっかりと料理されていて、それが超人気の理由なんでしょうね。わたしの食事終了時も2時間待ちの状態は続いていました。

「経営力向上計画」申請の回答がありました 2017.08.09

昨日、関与先様が申請された「経営力向上計画」(A類型)について、近畿経済産業局 創業・経営支援課よりメールにて回答がありました。申請個々の内容ではなく、申請の手続きについては次のことが言えるのではと思います。

① 「経営力向上計画」を含めた申請書類一式は、今週月曜日に近畿経済産業局に届くように郵送していますので、先方で内容が確認されメールで連絡があるまで2日間。タイミングもあると思いますが、いまのところ短期間で回答いただけると思います。② 「経営力向上計画」の修正箇所は箇条書きでわかりやすく説明されます。また、参考としなければならない近畿経済産業局ホームページの箇所は、そのアドレスが記載されており、そこをクリックすると直接その箇所に展開するようになっています。③ A類型では「先端設備に係る仕様等証明書」も提出しますが、設備が複数ある場合、設備等の名称/型式のほか、仕様等証明書にある整理番号の記載も求められました。④ 最初の申請書類一式は郵送にて提出しましたが、 その後「経営力向上計画」の修正は、近畿経済産業局 創業・経営支援課とメールにてやりとりするようです。

原則は「経営力向上計画」の認定後に対象設備は取得することになりますが、例外として設備取得から計画の申請(受理)まで60日以内であれば税制の適用は受けることができます。

「中小企業等経営強化法」の説明会を開催 2017.08.04

一昨日8月2日(水)、近畿税理士会草津支部の支部研修会(ホテルボストンプラザ草津)において、近畿経済産業局 創業・経営支援課の方から「中小企業等経営強化法」を解説いただきました。当日はいつもよりすこし多めの支部会員74名が出席し、この制度の取り扱いに関するいろんな質問も出て、税理士の関心の高さを感じました。

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この制度(A類型)は今年の3月末まででしたら、「中小企業等経営強化法」に基づく優遇税制(法人税)は、申告書に工業会等の発行する証明書を添付すれば適用を受けることができましたが、4月より主務大臣(近畿経済産業局長)に「経営力向上計画」を申請し、その計画の認定を受けなければいけません。

講師の方の話しで制度の複雑さをあらわす事例として、ある製造業の中小企業者等が太陽光発電装置(機械装置)を購入し、この制度で優遇税制を適用しようとするとします。このケース、対象となる装置で発電した電力をすべて売電した場合は電力業とみなされ、この制度の指定事業とならないため法人税の適用は不可。(ただし、固定資産税は適用可)一方、発電した電力を自社の製造業に使用し余剰電力を売電した場合は製造業は指定事業のため、法人税、固定資産共に適用可になります。出席した税理士とも話ししましたが、まずは1台1基または一の取得価額が最低価額(機械装置 160万円、建物附属設備 60万円など)以上の設備を取得した場合、もれなく制度が適用されるかどうか検討し、不明な場合は近畿経済産業局へ確認する必要があると思いました。

広大地通達の改正案が公表されました。 2017.07.18

相続財産のうち土地の評価方法で、主に市街地にあり、たとえば一戸建て住宅が何軒も建つような、その地域の標準的な宅地より著しく広い土地を「広大地」といいます。納税者が所有する土地が「広大地」として評価できれば、評価額が大幅に相続税を減額(広大地補正率:減額割合は最大で65%)できます。ただ、従来の「広大地」の評価通達は、評価通達のなかでも最もグレーゾーンが多く、納税者と課税当局との見解の相違が生じやすいものでした。

したがって、申告書に土地の課税明細書とともに、『開発想定地』や不動産鑑定士による『意見書』などを添付したりしますが、課税当局は申告前に「広大地」と認めることはないので、われわれ税理士にとってはその評価はやっかいなものでした。また、広大地評価のしくみをうまく利用して、多額の手数料をとる節税ビジネスが現れたりしていました。

先月6月22日、国税庁が広大地評価の改正通達(地積規模の大きな宅地の評価(案))を公表されましたが、そのあたらしい広大地評価により要件が明確になり、その適用の可否が判断できるようになりました。(平成30年1月1日以後の相続・贈与から適用予定)ただ、あたらしい評価方法の補正率(規模格差補正率)では、従来の補正率(広大地補正率)より減額幅は縮小すると考えられます。まずは、関与先に対し、従来から広大地の適用可能性が高い土地について、あたらしい評価方法の適用は可能か、また減額幅が減少する場合には説明する必要があります。くわえて、関与先が今年中に生前贈与(相続時精算課税制度)を希望されるかどうかの確認も必要になってきます。

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