日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
中小企業経営強化税制が創設されました 2017.01.16
今年3月末で「生産性向上設備投資促進税制」が終了しますが、平成29年度税制改正で新たに「中小企業経営強化税制」が創設されました。従来の「生産性向上設備投資促進税制」は優遇措置が50%特別償却か4%税額控除に対し、新しい「中小企業経営強化税制」では即時償却(100%特別償却)か7%または10%税額控除と、減税効果が拡大されています。
たとえば、1000万円の新たな対象資産を取得した場合、「中小企業経営強化税制」では、取得した事業年度に1000万円の減価償却費(従来500万円)計上か70万円または100万円(従来40万円)の税額控除が適用されることになります。
このような優遇税制は特別償却か税額控除の選択可能な場合が多いですが、特別償却は耐用年数にわたって計上する減価償却費を初年度にまとまって計上するだけで、その設備の耐用年数の期間で考えると変わらない。前述のケース(例:設備の耐用年数10年)で、初年度に減価償却費を1000万円計上するか、10年間にわたって1000万円計上するかの違いで10年間の税額への影響額は同じ。したがって、70万円の税額控除を選択した方が有利とも考えられますが、即時償却で1000万円の減価償却費を計上することにより、初年度は約330万円(=1000万円×実効税率33% > 70万円税額控除)の減税効果があり、実際には特別償却(即時償却)を選択するケースも少なくありません。業績が好調な状態が10年間継続するかわかりませんし、いまのうちにより大きな減税効果を享受しようという考え方もあります。
なお、新しい「中小企業経営強化税制」は、手続要件として「生産性向上設備投資促進税制」(B類型)であった投資計画を申請するほか、経営力向上計画も申請する必要あるなど、いくつかの手続きに違いもあり注意が必要です。