税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

2023年10月

「フィッシング詐欺」への注意とその対策について 2023.10.30

電子メールやWebサイト等の電子的な技術を用いて、オンライバンク・クレジットカード会社・ソーシャルネットワークサービス・オンラインゲーム・決済代行サービス・e-コマースなどの企業名(ブランド)やサービスを装い、住所・氏名・銀行口座番号・クレジットカード番号・ログインIDやパスワードなどの個人情報を詐取することを「フィッシング詐欺」といって、わたしのようなTKC全国会の会員宛にも㈱TKCを装った「フィッシング詐欺」を目的とする詐欺メールが届いています。

このような詐欺への防止策を公開している専門機関によれば、次のような対策が有効とのことです。①クレジットカード情報等の重要情報の確認を求めるメールの添付ファイル・リンクへはクリックしないこと。(金融機関はメールを通じてクレジットカード情報等を確認することはない) ②よく利用するサイトは、ブラウザのお気に入りに登録し、そこから接続すること。メール内リンクは使用しないこと。 ③クレジットカード会社・銀行等の問合せ先をひかえておき、メールの内容が少しでも「おかしい」と感じたら、すぐに連絡して真偽を確認すること。 ④メール内リンクをクリックした後に、クレジットカード情報等を入力する画面が表示されたら、何も入力せずブラウザを閉じること。 ⑤Windows・ブラウザ・ウィルス対策プログラムなどは、常に最新版となるようアップデートすること。フィッシング対策協議会 Council of Anti-Phishing Japan | マンガでわかるフィッシング詐欺対策 5 ヶ条 (antiphishing.jp)

「詐欺メール」は内部リンクをクリックすると、クレジットカード情報等を入力する画面が表示され、その画面で入力された情報は、詐欺グループの手に渡ります。メール内のリンクをクリックした後、クレジットカード情報等の入力する画面が表示されたら、それは「詐欺」ですので、絶対に入力しないようにしましょう。もし、誤ってクレジットカード情報・口座番号を入力してしまった場合、すぐに金融機関に連絡してください。パスワードを入力してしまった場合であれば、パスワードの変更し以前のパスワードは2度と使用しないようにする必要があります。

改正電帳法、「宥恕措置」から「猶予措置」へ(①具体的な電子取引とは) 2023.10.23

改正電子帳簿保存法(改正電帳法)により、電子取引データは令和41月より電子保存が義務付けられましたが、令和4年度改正で「宥恕措置」が創設されたことにより、ひとまず電子取引データは出力した書面保存が認められていました。ただ、令和51231日でこの「宥恕措置」は廃止され、令和611日以降は令和5年改正により「猶予措置」へ移行します。ただ、この「猶予措置」において電子データについては電子保存が求められますので、その準備が必要になってきます。0023006-085_01.pdf (nta.go.jp)0023006-085_02.pdf (nta.go.jp)

そもそも電子取引といわれるものは意外と多く、具体的には次のようなものが電子取引に該当します。①電子メール(メール本文・添付ファイル)による請求書・領収書 ②インターネットサイト(Amazon、楽天市場、モノタロウ等)からの物品購入 ③公共料金の請求書についてインターネットでの確認・入手 ④クレジットカード利用明細のインターネットでの受け取り ⑤電子決済サービス(電子マネー・二次元コード決済等)の利用 ⑥電子(Web)請求書や電子(Web)領収書の受け渡し ⑦複合機のFAX機能を使った取引情報の電子データでの受け取り(紙出力なし) ⑧DVDやフラッシュメモリでの請求書や領収書のデータの受け渡し ⑨専用のシステム(EDIシステム)を利用した取引 ⑩請求データのインターネットでの受け渡し ⑪従業員がネットで購入した旅費(航空券、新幹線切符等)の立替払いに精算(「TKC改正電子帳簿保存法特集号Ⅱ」より」

また、「猶予措置」により電子取引データの電子保存が必要になる一方、保存要件(「真実性の確保」および「可視性の確保」を満たす)に従って電子保存できなかったことにつき、所轄税務署長が相当の理由があると認め(保存義務者からの手続きは不要)、かつ税務調査での電子取引データのダウンロードの求めおよび出力書面の提示または提出の求めに応じることができるようにしている場合、電子データの保存要件は不要になります。また、「猶予措置」の他にも、検索要件が不要になる「検索要件不要措置」が設けられていますが、内容については次回ご説明したいと思います。

厚労省、「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表 2023.10.16

厚生労働省は927日、年収が一定額を超えると所得税や社会保険料が増えるいわゆる「年収の壁」に対して、10月スタートする「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しました。社会保険料に関する壁は106万円と130万円とがあり、大きくその金額を超えない限り、社会保険料負担が収入増を上回り手取り額が減ってしまうことになるので、今回は主に社会保険の壁を対象としたものになっています。いわゆる「年収の壁」への対応|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

106万円の壁」への対応としては、① 被用者保険の新適用時に労働者の収入を増加させる取組みをした事業主に労働者1人につき最大50万円を支援(キャリアアップ助成金)② 事業主が被保険者保険適用に伴い手取り収入を減らさないよう手当(社会保険適用促進手当)を支給した場合は、被保険者の標準報酬月額の算定から同手当を除外。「130万円の壁」への対応は、残業等による一時的な増収でも事業主の証明で被扶養者認定が可能になりました。その他として、企業が配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順等がフローチャートによって公表されます。Microsoft PowerPoint – 05_Â ÇŽ _ tÎnÁ xnSbnþÜV.pptx (mhlw.go.jp)

この「年収の壁・支援強化パッケージ」は、とくにパートタイムで働く方にとっては朗報といえるかもしれません。ただ、あくまで今回の対策は2025年に予定されている抜本的な年金制度の改正までの時限措置にすぎません。これによって年収の壁を超える労働を定着させ、その後は短期間労働でも厚生年金に入る対象企業の適用を拡大し、働く人すべてに社会保険を適用する方向へ向かうこともありえます。

「低未利用地等の譲渡特例」、今年の譲渡から適用範囲が広くなりました 2023.10.10

令和5年度税制改正の大綱において、「低未利用地等の譲渡特例」については、その適用期限を3年延長し、また適用範囲が広くなりました。「低未利用地等の譲渡特例」とは、地方部を中心に全国的に空き地・空き家が増加する中、新たな利用意向を示す者へ土地の譲渡を促進する目的で令和271日から導入されたもので、一定の未利用地を500万円以下で譲渡した場合、長期譲渡所得の金額から最大100万円(約20万円の税額低減)を控除できる制度です。001491974.pdf (mlit.go.jp)

今回の改正では、令和511日から令和71231日までの間に譲渡された低未利用土地等が、『① 都市計画法に規定する市街化区域 ② 都市計画法に規定する区域区分が定められていない都市計画区域のうち、用途地域が定められていない地域 ③ 所有者不明土地対策計画を作成した自治体』の①から③のいずれかの区域内にある場合、譲渡対価の額の合計の範囲が「500万円以下」から「800万円以下」へ広げられました。平成26年度税制改正及び土地住宅政策に関する提言書(案) (zentaku.or.jp)

適用にあたっては申告前に(税務署でなく)市町村の確認を受ける必要があります。具体的には土地の所在地の市町村に申請書(添付書類:売買契約書、登記簿謄本、低未利用地だったことを証明できる書類、譲渡後の利用について確認できる書類)を提出し「低未利用地等確認書」を発行してもらい、所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に申告します。確認書の発行には通常約1週間~3週間かかり、また年明けからは納税者の申請も集中することも予想されますので、それも踏まえて早めに準備されることをお勧めします。

来日5年を経過する外国人の方、来年確定申告が必要なケースも 2023.10.02

ことしも残り3か月を切り、そろそろ来年315日に期日となる令和5年分の確定申告が必要かどうか、そして納税額がどのくらいになるか、前もって確認しておく時期になりました。とくに日本にお住いの外国人の方で、もしことし来日後5年を経過し、本国で不動産所得や年金所得などがある場合、日本国内で確定申告が必要なケースも考えられますので、自身の申告要否の把握が必要です。

日本の所得税の取扱い上、日本に居住する外国人の方はその居住形態によって、課税される対象の所得が大いに異なります。まず、「居住者」、「非居住者」のどちらに該当するか、そして「居住者」に該当した場合でも「非永住者以外の居住者(永住者)」か「非永住者」を判定することが重要です。そのうち「非永住者」とは、『居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である個人』になります。No.2010 納税義務者となる個人|国税庁 (nta.go.jp)

そして、「非永住者以外の居住者(永住者)」の方の課税対象の範囲は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税対象(全世界課税方式)になります。したがって、年の中途で5年が経過し「非永住者」から「非永住者以外の居住者(永住者)」になった場合、それ以降の期間(令和5630日で5年経過のケース:令和571~1231日)は本国で生じた所得も含めて、日本での確定申告(令和6315日まで)が必要になると考えられます。

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