日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2024年11月
消費税インボイス登録の取消し、個人事業者は12月17日までに 2024.11.23
昨年10月1日の消費税インボイス制度導入から1年以上が経過しましたが、当時は「インボイス登録しなければ仕事を失うのではないか」「取引先から消費税分の値切りをされるかもしれない」などの不安から、免税事業者にもかかわらず、とりあえずインボイス登録をしたという方は多いかもしれません。しかし、いざインボイス制度が導入され「インボイスに登録してたけれど、なくても困らない」と感じた事業者の方はいるかと思います。
たとえば、インボイス制度が始まっても取引先からはインボイスに関して言及されないケース、取引する相手が一般消費者や免税事業者の場合、もともとインボイス登録が必要なかったかもしれません。実際に2023年度の確定申告を行い、消費税を納税したことで負担の大きさを実感した方も多いと思います。(2024年は登録期間が1年のため負担も増えます)もし、インボイス登録の取り消しをしたい場合、「適格請求書発行業者の登録の取り消しを求める旨の届出書」に必要事項を記入し、納税地を所轄する税務署長宛に提出します。インボイスの取り消しの効力が発生するのは、提出した日の属する課税期間の翌課税期間なので、翌課税期間の初日から登録の効力を失効させたい場合、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出が必要です。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024005-050_01.pdf
個人事業主の場合、2025年1月1日からインボイス登録を取り消して免税事業者へ戻りたい場合、15日前である2024年12月17日(火)までに届出書を提出しなければなりません。法人で3月決算の場合であれば、2025年4月1日からインボイス登録を取り消したい場合、2025年3月17日(月)までに届出書の提出が必要になります。15日前の日を過ぎて提出した場合、翌々課税期間の初日からしか効力を失えないので、提出期日にはご注意ください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023007-071.pdf
フリーランス法が11月1日に施行 2024.11.09
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(令和5年法律第25号。以下「法」という。)が令和6年11月1日に施行されました。個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられます。公正取引委員会フリーランス法特設サイト | 公正取引委員会
フリーランス法は、組織という強者から、1人で働く事業者(法人/個人事業者)という弱者を守るという基本発想の下、規制対象となる発注者を「業務委託事業者」および「特定業務委託事業者 」、そして、いわゆるフリーランスを「特定受託事業者」として定義し、両者の間の幅広い取引を規制対象としています。「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、個人であって従業員を使用しないもの、法人であって一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないものが該当し、税理士等の士業も該当すればこれに含まれます。Microsoft PowerPoint – 【セット】240606_リバイス版FL新法周知用リーフ.pptx
フリーランスに業務を委託する事業者がフリーランス新法に違反すると、公正取引委員会ならびに中小企業庁長官または厚生労働大臣により、助言や指導、報告徴収・立入検査などが行われます。なお、命令違反や検査拒否などがあると50万円以下の罰金に処せられることもあります。また、発注事業者の従業員が違反行為を行えば、違反者当人だけではなく、事業主である法人も罰則の対象となることにも注意が必要です。