日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2017年12月
小規模企業共済制度について 2017.12.20
もし、個人事業主の方から12月に入って、「ことしは売上げも上がり税金も多そうなので、何か税金対策はないですか?」と聞かれたら、「小規模企業共済制度というものがあります。掛金は月1,000円~70,000円まで。いまでしたら、最大1年分 840,000円(70,000円×12か月)を一括で前払いし、ことしの確定申告で全額所得控除することも可能です。」と答えます。もちろん理想を言えば、年内で定期的に事業主のところを訪問し、できるだけ早く税金対策をするのが理想ですが、いままでお会いしたことがなく、いきなり相談に来られる場合もあります。
小規模企業共済制度は、国の中小企業政策の中核的な実施機関である中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)が行う小規模事業の事業主や経営者を支援する制度で、実際に昨年の平成28年分確定申告書を見ていただくと、左下部分の「所得から差し引かれる金額」に「小規模企業共済等掛金控除⑬」がありますが、その部分に支払った掛金が全額記載され、掛金が全額控除されることになります。共済金は退職や廃業時などに受取り可能で、一括で受取る(分割で受取り公的年金と同じ扱いにすることも可能)と所得税法上の退職所得と同じ扱いになり、事業主にとって税務上非常に有利になります。要するに、小規模事業の事業主や経営者の「退職金」と考えていただいけるとよいと思います。
近畿経済産業局へ行く 2017.12.02
一昨日、関与先の社長様と大阪天満橋の大阪合同庁舎1号館にある経済産業省近畿経済産業局へ行ってきました。もちろん税額控除や即時償却などの優遇税制のため「中小企業等経営強化法の経営力向上設備等のうち収益力強化設備(B類型)に関する投資計画の確認申請書」の確認を受けるためで、約1か月前にアポを取っていましたので、時間どおり経済産業局の担当者の方とお会いすることができました。
確認申請書には、①その設備投資によって年平均の投資率が5%以上見込まれる投資計画(「基準への適合状況」) ②導入しようとする設備の実体を明らかにした導入前・導入後のレイアウト図や建物図面および見積書など③その投資計画が代表者やそれに代わる者に決済された旨の取締役会議事録など ④①~③の事項を確認した公認会計士又は税理士による確認書等の各種資料も添付する必要があります。
担当者の方の確認のための面談は約20分で終了し、約1~2週間後に関与先あてへ確認書を送付するとのことです。全体の感想としては投資計画の不適合なところをさがすというよりは、あらかじめ投資計画による減税に対する予算枠があるため、条件をクリアしている投資計画であれば、できるだけ確認書を発行したいという姿勢に感じました。収益力強化設備(B類型)の対象設備は、機械・装置 160万円以上、工具 30万円以上、器具備品 30万円以上、建物附属設備 60万円以上、ソフトウェア 70万円以上で、これらの設備購入が経済産業局の確認が受けられるような前向きな投資であれば、ぜひ確認申請をすべきと思います。また、経済産業局の確認を受けた設備については、その後「経営力向上計画」に記載して、計画の認定を受ける必要があります。