日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2021年11月
湖東 百済寺の紅葉 2021.11.29
先週後半から急に寒くなってきましたが、わたしは湖東三山の中で最も歴史が古く、いま紅葉が見ごろの百済寺(東近江市)へ行ってきました。当日出発する大津・草津辺りはまだ晴れ間もある天気でしたが、名神高速に入って北上するにつれ少しずつ冬空になり、八日市インターを出て田園地帯を通る頃みぞれ交じりの冷たい雨に。このあたりは同じ滋賀県でも、湖南と湖東の気候のちがいを感じます。
この百済寺は平安時代、押立山(771.8m)の山腹で大伽藍を構えていましたが、たびたびの火災や戦火でほとんどは焼失してしまったそうです。現在も山そのものを使った広大な敷地や立派な石垣は残っていて、たくさんの石段を上がっていかないといけないのは、参拝しているというより山登りといった感覚。写真は長い石段の参道を登ったところにある仁王門で、正面の約2.5mの大草履はこの寺のシンボルになっています。
本堂に向かう参道を登っていくと、目に入る紅葉した木々、苔むした石段とそこに落ちている色づいた葉っぱのコントラストはこの季節らしい趣きを堪能することができます。寺の大きな敷地の中にある山の中腹の遠望台からは、寺の本坊越にそこだけ日差しに照らされた湖東平野を一望でき、安土城跡や太郎坊の先には琵琶湖の湖面や比叡山まで見渡せ、なかなか壮大な風景を楽しむことができました。
連結納税、来年度から「グループ通算制度」へ移行 2021.11.22
親会社と100%子会社の企業グループを一つの企業として法人税を納税する連結納税制度、2022年4月1日から開始する事業年度から「グループ通算制度」に移行されます。新しい制度では税務調査で税額の修正などがあった場合でも、連結納税制度では行ってきたグループ全体の税金の再計算は基本的に不要で、修正のあった法人のみの再計算で済みます。企業にとっては損益通算のメリットは維持しつつ事務負担の軽減ができ、また申告書の作成などに関与する我々税理士にとってもありがたい制度です。
現在、連結納税を採用している企業は、原則自動的に「グループ通算制度」に移行することになっていて、ほとんどの企業が新制度に移行すると見込まれています。また、「グループ通算制度」移行前に、連結親法人が『グループ通算制度へ移行しない旨の届出書』を税務署長へ提出した場合には、連結納税から通算制度を適用しない単体納税に戻ることもできます。
連結納税を採用していなかった企業が「グループ通算制度」の適用を受けようとする場合には、同一の通算グループとなる法人のすべての連名で、『通算制度の承認の申請書』を通算親法人となる法人の所轄税務署長を経由し、国税庁長官に提出することになります。その提出期限は、通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の3月前の日までとなっていて、新制度がスタートする2022年4月1日から適用するのであれば、今年の12月末までに提出が必要になりますので注意が必要です。
草津市や栗東市は、滋賀県事業継続支援金(第3期)に上乗せ給付を行います 2021.11.15
新型コロナウイルスの影響を受ける滋賀県内の中小企業等・個人事業主で、「① 9月分または10月分の国の「月次支援金」を受給した方 ② 2021年9月または10月のいずれかの月の売上が前年または前々年の同月に比べて50%以上減少した方 ③ 2021年9月と10月の売上の合計が前年または前々年の9月と10月の売上の合計に比べて30%以上減少した方」のいずれかに該当する支給対象者が受給できる「滋賀県事業継続支援金(第3期)」(支給額:中小企業等 20万円、個人事業主 10万円)、申請期間については11月30日(火)まで(郵送申請は当日消印有効)となっています。
また、草津市・栗東市では、滋賀県事業継続支援金(第3期)の上乗せとして、「草津市事業継続支援金」、「栗東市事業継続応援支援金」を給付することが決定されました。給付要件は滋賀県事業継続支援金(第3期)の給付決定を受けていること(申請の際、給付決定通知書の写しなど必要)、給付額は中小企業等 10万円・個人事業主 5万円になります。申請の受付期間は、現在のところ2021年12月上旬から2022年1月下旬を予定していますが、内容は今後変更される可能性があり、詳細は決まりしだいホームページなどでお知らせされるとのことです。
人生100年時代の無形の資産 2021.11.08
2か月前からNHKの『ラジオビジネス英語』(講師 柴田真一)をよく聞いています。放送は毎週月曜から金曜まで、月曜・火曜はビジネス英会話、水曜は英文メール、木曜・金曜は各界の著名人へのインタビューとそれぞれパートがあり、いろんな状況でバランスよく英語を学習できるようになっています。とくに木曜・金曜のインタビューはレベル的に上級(わたしの感想)になりますが、インタビューされた方の考え方や世界観が表現された英語なので、より理解しようとして聞くようになります。
とくに10月号木曜・金曜のインタビューでのリンダ・グラットンさん(英国人女性、教授・作家・経営コンサルタント)の話しは興味深かった。グラットンさんは2016年「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)-100年時代の人生戦略」を共著で出版し日本でベストセラー、安倍首相(当時)の人生100年時代構想会議メンバーにも唯一外国人として招へいされた方。たとえばインタビューのなかで、グラットンさんは超高齢化社会を生きていくうえで重要なものは、金融資産のほかに無形の資産(intangible assets)として「一つは健康(health)、もう一つは学習や知識(learning and knowledge)、そして3つ目は社会との関わり(social relationship)」をあげられていました。わたしにとってもいろいろ気づかされ、考えさせられる内容でした。
所得税の第2期予定納税、11/15まで減額申請が可能 2021.11.01
給与所得者が源泉徴収を経て年末調整を行うように、個人事業所得や不動産所得のある納税者の方で、前年分の所得金額や税額などを基にして計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上の場合、その年の所得税等の一部をあらかじめ納付する必要(予定納税制度)があります。前年令和2年分の税額等を基にした「予定納税基準額」が15万円以上の方は、「予定納税基準額」の「1/3の金額」を(第1期分)令和3年7月1日~8月2日、(第2期分)令和3年11月1日~11月30日の納付期間に納付(振替日は納期限と同日)することになっています。
ただ、予定納税の義務のある方が、事業不振等により納付期間前日の6月30日、10月31日の現況で申告納税見積額が「予定納税基準額」に満たないと見込まれる場合、予定納税額の減額を求める減額申請の手続きができます。たとえば、緊急事態宣言等解除後も事業回復が遅れ、第2期分の予定納税額を納付することが困難と見込まれる場合、今月の11月15日までに『予定納税額の減額申請書』を所轄税務署に提出することで減額の申請が可能です。この際申告納税見積額(10/30の現況による)の計算の基礎となる事実を記載した書類の提出も必要になります。
減額申請の理由については、事業の全部・一部の廃止・休止・転換(法人成りも含む)、災害・盗難・横領のよる損害、多額の医療費を支払った並びに扶養親族の増加、社会保険料控除・小規模事業共済等掛金控除など金額の増加のケースも認められます。令和3年分の確定申告の法定納期限は、現在のところ令和4年3月15日になっています。この予定納税額を納付すると確定申告で還付されるとしても、実際手元に還ってくるのは数か月後になってしまいます。とくに個人事業者で資金繰りに留意しないといけない納税者の方にとっては、この予定納税の減額申請を検討されてはいかがでしょうか。