日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2021年12月
令和4年1月1日以後の対象者へ、税務署から『「国外財産調書制度」のあらまし』 2021.12.27
居住者(「非永住者」の方を除きます。)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに、住所地等の所得税務署に提出しなければなりません。なお、国外財産調書の提出に当たっては、別途「国外財産調書合計表」を作成し、添付する必要があります。(『「国外財産調書制度」のあらまし』より)
ここでの「「非永住者」の方を除きます」の「非永住者」とは、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である方をいいます。したがって、日本の国籍を有してない方でも、過去10年間の期間で国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超えた場合(非永住者以外の居住者)、その超えた年から翌年3月15日まで国外財産調書の提出義務が生じます。
つまり、令和3年12月末で国外財産の合計額が5,000万円を超える方については、令和3年分の所得税の確定申告書の提出義務の有無にかかわらず、令和4年3月15日までに国外財産調書の提出が必要になりますのでご注意ください。なお、合わせて財産債務調書を提出する場合には、その財産債務調書には、国外財産調書に記載した国外財産に関する事項の記載は要しない(国外財産の価額を除く。)こととされています。
11月以降の売上減少に対応「事業復活支援金」 2021.12.20
新型コロナウイルスの影響で売上が減少している事業者に対し、国が給付してきた給付金や支援金。これまで「持続化給付金」から始まり、「一時支援金」そして2021年10月分までの売上減少を対象としている「月次支援金」も申請期限が2022年1月7日に迫ってきました。「月次支援金」は申請前に登録確認機関の事前確認が必要で、その確認が受けられるのが申告期限の数日前までのため、遅くとも2021年12月28日には確認の受付けを行う必要あるのでご留意ください。
また、2021年11月以降の売上減少に対しては、先月閣議決定され、令和3年度補正予算案として2兆8032億円が計上される予定の「事業復活支援金」で対応する見通しです。支援金の概要は、2022年3月までの見通しが立てられるよう、コロナ禍で大きな影響を受ける事業者に地域・業種を問わず、固定費負担の支援として、5か月分(2021年11月~2022年3月)の売上高減少額を基準に算定した額を一括給付します。
給付対象者は、新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が50%または30%~50%減少した事業者(中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者)で、給付額は前述5か月分の売上高減少額を基準に算定され、法人は上限最大250万円、個人事業者は上限最大50万円が給付されます。現在のところ、給付額の算定方式・売上高の減少率の対象基準年・登録確認機関の事前確認が必要か等、明らかにされていない点もありますが、今後は予算案が成立されしだい経済産業省(中小企業庁)のホームページ等から詳細が発表されるものと思われます。
『電子保存義務化 2年猶予』 2021.12.13
原則、紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、電子データ(電磁的記録)で保存をするための要件や電子データでやり取りした取引情報の保存義務などを定めた「電子帳簿保存法」、「① 電子帳簿・電子書類保存」「② スキャナ保存」は法律上任意ですが、「③ 電子取引」は規模に関わらず全ての法人・個人事業者に、令和4年1月1日からきちんとした対応が求められていました。
とくに中小企業にとって影響する取引として、電子メールで請求書・領収書その他これらに準ずる書類がPDFで添付されるものを受け取ったケースで、請求書等をPDFからの出力書面等による保存に代わり、専用のソフトウェアやタイムスタンプを使わない場合、① 請求書データ(PDF)のファイル名に規則性をもった内容を表示する ② 取引の相手先や各月などの任意のフォルダに格納するなど、追加で煩雑な事務作業が必要になり、施行日が迫った12月現在でも対応が困難な状況でした。
そのような中、12月6日付日本経済新聞の記事『電子保存義務化 2年猶予』では「政務・与党は2022年1月に施行する電子帳簿保存法に2年間の猶予期間を設ける。」と報じられました。「近くまとめる22年度与党税制改正大綱に盛り込み、年内に関連の省令を改正する。」とのことで、さしあたって2年間は従来の保存方法でも容認されるようです。これは日本のデジタル化の遅れというより、改正後も紙と電子の二重管理が必要なこと、法改正の認知度の低さなど、改正法自体とその方法に問題があったのではと思います。
紅茶のニルギリ 2021.12.06
先週の平日、所属する税理士会の所用で一日中大阪へ。午前の行事が無事終了し、午後の予定まで少し時間があったので、近畿税理士会館のある天満橋から電車1駅分を約20分で歩いて、「北浜レトロ」で紅茶をいただくことに。この「北浜レトロ」は本格的ブリティッシュ・ティーを出す有名店で、古い洋館の建物は1912年にもともと証券会社の商館として建てられました。現在は国の登録有形文化財にも指定されていて、「北浜レトロビルヂング」として1階は紅茶や雑貨などの販売、2階は喫茶店として使用されています。
建物の内部は英国風というより、内装やインテリアなどはすべて英国のもので使われていて、英国にいる雰囲気のよう。わたしのオーダーは、「紅茶のブルーマウンテン」と呼ばれている南インドのニルギリ丘陵でつくられる「ニルギリ(Nilgiri Tea)」。紅茶はまったく詳しくないですが、クセが少なく、すっきりとして飲みやすいのが特徴。飲み方は大と小とふたつのポットが出てきて、小さい方のポットにはすでにニルギリ茶葉と熱湯が入っていています。それがなくなると大のポットに入っている熱湯を注ぎ、延々と紅茶を楽しむことができます。ちなみにこの店は制限時間が90分となっていますが、たえず入店を待つ行列ができていて長居する気になれませんでした。メニューには英国式のアフタヌーンティー・セットもあり、大阪のビル街の一角でちょっとした旅行気分を味わうことができます。