日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2023年2月
国税庁「令和3年分の国外財産調書の提出状況について」 2023.02.20
先月1月、国税庁は令和3年分(令和3年12月31日時点の保有状況を記載したもので、令和4年6月末までに提出されたもの)の国外財産調書の提出状況を公表しております。0022012-042.pdf (nta.go.jp) 国外財産調書の提出制度は、納税者本人から国外財産の所有内容について、確定申告書と同様に申告を求める仕組みで、平成25年分から創設されたもの。9年目となる令和3年分でその提出状況の内容が詳しく記載されています。
公表された内容を見てみると、総提出件数 12,109件・総財産額 5兆6,364億円で、前年分の11,331件・総財産額 4兆9,654億円を上回り、いずれも8年連続で増加しました。令和4年分は為替相場が円安に推移したことから、さらなる増加が予想されます。また、財産の種類別総額では、有価証券の占める割合が大きく、その総額は3兆5,695億円と全体の63.3%にのぼっています。
「国外財産調書」とは、居住者(「非永住者」の方を除きます)の方で、その年の12月31日おいて、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合、その財産の種類・数量および価額等を記載の提出を求められるもの。「国外財産調書制度」のあらまし (nk-net.co.jp) また「価額」は、その年の12月31日における「時価」または時価に準ずる「見積価額」となります。「邦貨換算」は12月31日の「外国為替の売買相場」ですので、この昨今の円安により新たに提出条件に該当することも考えられます。令和4年12月31日の為替換算により提出対象になる可能性のある方は、提出期限(令和5年3月15日)までにもう一度、ご自身の国外財産の価額を確認されることをおすすめします。
国税庁「登録申請書の書き方 フローチャート」をアップデート 2023.02.06
ことし10月1日からスタートする消費税のインボイス制度、すでにご承知のとおりインボイスを発行する事業者になるためには、申請用紙「適格請求書発行事業者の登録申請書」によりインボイス登録をする必要があります。ただ、一般的なパターンだけでなく、免税事業者が令和5年10月2日以降に登録を受ける場合など、イレギュラーなケースにも対応できるよう、国税庁はすでに公表されていた個人事業者(12月決算法人を含む)のための「登録申請書の書き方 フローチャート(令和4年12月版)」0022011-102_01.pdf (nta.go.jp)を1月4日付で(令和5年1月版)0022012-012_03.pdf (nta.go.jp)にアップデートしました。
このフローチャートでは、令和5年中に申請する場合の個人事業者などが、令和5年10月1日~令和6年3月31日の間で、とくに現在免税事業者が、登録を受けようとする期間ごと(令和5年10月1日・令和5年10月2日~12月31日・令和6年1月1日~3月31日)に記載例を載せていて、このフローチャートでは計5つのケースが解説されています。
また、閣議決定された大綱により、令和5年10月1日の登録について、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出が4月1日以降で、提出が遅れた理由(困難な事業)を記載がなくても申請書を受け付けることになり、実質的には新聞記事の見出しあった『インボイス登録 半年延長』ということですが、インボイス事業者制度への対応のため事業者にとって各種準備が必要になるほか、登録通知が届くまで一定の期間(現在、電子申請で約1か月)を要しますので、やはりできるだけ早めに申請することをおすすめします。