税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

2023年4月

「ゼロゼロ融資」元金返済開始後、新たな『コロナ借換保証』制度 2023.04.24

ゴールデンウイーク明けの58日より感染症法の分類が2類から5類へ変更され、長かったコロナ禍からようやく通常の生活へ戻りつつあります。事業者の中にはコロナの影響で資金繰りが悪化したため、実質無利子・無担保・据置期間最大5年間のいわゆる「(民間)ゼロゼロ融資」を利用されている方も多いと思いますが、20237月から20244月にかけてその据置期間が終了し、いよいよ元金の返済が始まるとされています。

ただ、まだまだ業績や資金繰りが回復していない事業者も多く、新たに物価高や人手不足による賃金上昇の問題も出てきています。そこで、このような状況に対応するため、2023110日より中小企業庁は「民間ゼロゼロ融資」の返済負担軽減のため、新たに『コロナ借換保証』制度を開始しました。民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。 (meti.go.jp)これは、一定の要件を満たした中小企業者(売上または利益率が5%以上減少など)が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、借入れ後も継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き上げる制度(0.2%等(補助前は0.85%等))です。

この「経営行動計画書」については中小企業庁のホームページにサンプルが掲載keikaku_sample.pdf (meti.go.jp)されていて、伴走支援を受ける金融機関からアドバイスを受けながら作成することができます。加えて、この制度は「民間ゼロゼロ融資」からの借換えだけでなく、「他の保証付融資」からの借換えも可能になっていますので、いちど金融機関や最寄りの信用保証協会にお問い合わせされたらいかがでしょうか。(取扱期間:2024331日まで(予定))

消費税申告書等の新様式、「2割特例」に対応 2023.04.17

10月より開始する消費税インボイス制度、その登録件数は累計268万件(法人・個人事業者)に達し、当初は伸び悩んでいた個人事業者も3月中に増加、累計件数で856,060件、2016年の個人事業主数(198万件)に基づく登録率は43.2%、課税事業者(110万件)では登録率 77.8%となっています。これらは、個人事業者の方々が確定申告の納税時期でインボイス制度に対応された結果と思われます。

また、免税事業者など小規模事業者がインボイス発行事業者になった場合、税負担・事務負担を軽減するため売上税額の2割を納税額とする、いわゆる「2割特例」の負担軽減措置の導入(令和8930日の属する課税期間まで)があります。この「2割特例」では経費等の集計やインボイスの保存は必要なく、所得税・法人税の申告で必要な売上高・収入高を税率ごと(10%8%)に把握するだけで簡単に申告書を作成することができます。invoice.pdf (mof.go.jp)

そして、国税庁は331日付で、「2割特例」の適用等に対応する消費税申告書等の新様式を公表しました。「消費税の軽減税率制度に関する申告書等の様式の制定について」等の一部改正について(法令解釈通達) |国税庁 (nta.go.jp)この新様式では、「2割特例」の適用を受けることを示す『税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)』の欄が設けられていて、この欄に適用を受ける旨を付記することで、事前の届け出なしで適用を受けることができます。ただ、これは継続適用ではなく、その後の基準期間(2年前・2期前)における課税売上高が1千万円を超えた場合は、「2割特例」の対象とはなりません。いったん「2割特例」を適用できた事業者も、基準期間の課税売上高を確認する必要が出てきます。(財務省『インボイス制度の負担軽減措置のよくある質問とその回答 』問4(qa_futankeigen.pdf (mof.go.jp)

「賃上げ」と「賃上げ促進税制」 2023.04.10

最近の報道では「賃上げ」や「初任給の引上げ」を表明する企業が相次いでいて、これは上乗せ措置の適用により給与等支給増加額に対し最大30%(基本15%)の税額控除率となる「大企業向け賃上げ促進税制」も後押しているのは間違えありません。そして「賃上げ促進税制」は、中小企業向け(最大40%(基本15%))chinnagesokushin04gudebook.pdf (meti.go.jp)も含めて、その制度の内容で少なくとも令和6331日までに開始する事業年度まで適用されます。

ただ、中小企業は大企業ほど「賃上げ」に積極的でないとの報道もあります。そもそも中小企業の黒字企業割合は53.7%2022TKC経営指標より<黒字企業割合は53.7%(対前年比1.9ポイント増)>令和4年版「TKC経営指標(BAST)」を発行 ―全国354金融機関等で融資審査などに利用― | ニュースリリース | TKCグループ)で、税金を支払っていない赤字企業にとって、残念ながら「賃上げ促進税制」の恩恵を受けることはできません。また、黒字企業でも注意しないといけない点は、この制度には「控除上限」として「当期の法人税額の20%」は設けられていることです。前期以前からの繰越欠損金のため、「控除上限」により計算した税額控除限度額まで控除できず、あてが外れるケースもあり得ます。

従業員の方の給与をいったん上げてしまうと簡単に下げることは難しいですし、この制度は役員や親族に対する給与等は対象外です。また、給与額の他に社会保険料や退職時に発生する退職金の負担増についてもある程度考えておかなければいけません。「賃上げ」自体はたいへん歓迎すべきことですが、「賃上げ促進税制」を見越した「賃上げ」については慎重に判断する必要があると思われます。

「ChatGPT」TKC全国会ネットワークにアップ 2023.04.03

3月30日のネット・ニュースによると、米国ウォール・ストリート・ジャーナルやフォーブスは「高度な言語能力を持つ生成人工知能(AI)は、さまざまな専門職が現在行っている仕事の多くを迅速にこなすことができる」と米国の最新研究を基に報じていて、税理士はこの生成AIの一つである「ChatGPTChatGPT | OpenAIで最も影響を受ける職業のひとつとのことです。

一方で、国税庁は令和4年分所得税および消費税の確定申告の相談について、「チャットボット(ふたば)」チャットボット(ふたば)に質問する|国税庁 (nta.go.jp)を開設し、個人の方が国税に関して質問や相談したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力することによって、生成AI(人工知能)が24時間(土日を含め)自動回答するしくみになっています。現在は税目の相談範囲は所得税・消費税の確定申告・インボイス制度・年末調整で、休止中の年末調整も今年10月頃からが再開される予定です。

TKC全国会でも情報共有のためのイントラネット・サービスである「TKC ProFIT」で「ChatGPT」の使用手順書がアップされ、われわれ会員もそこから「ChatGPT」へ自由にログインできました。現在のところ、質問や相談した返答の内容でいうと課題があり(2021年時点のネット上にある無数の情報をもとに返答を生成し、一般的でないトピックや2022年以降の事象については誤った返答をする可能性が高いため)、人間自身の返答にまったく代わるものではありません。ただ、われわれの日々の業務の効率化や利便性を高めるには、この「ChatGPT」は大いに利用できるのではと思います。

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