日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2023年8月
インボイス制度の開始と「少額特例」について 2023.08.28
10月1日の「消費税インボイス制度」施行まで残り1か月余り。弊所から月次契約の関与先様へは、今月8月はTKC出版 冊子『仕入インボイスを受け取るときの注意点』(写真左)、来月9月(中旬予定)も冊子『インボイス対応 チェックしておきたい11のポイント』を配布し、できるだけ関与先様がスムーズにインボイス対応できるよう、またインボイス制度に関するご質問を受けることも増えてきました。
実務上の対応にあたっては、まず「少額特例」の適用があるか否かの確認が必要です。「少額特例」とは、1万円未満の課税仕入れについて、インボイス(適格請求書等)を保存することなく、帳簿のみの保存(その適用の趣旨や相手方の住所等の記載は不要)で仕入税額控除の適用が可能な制度。少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要|国税庁 (nta.go.jp)これによって少額取引についてはインボイスの発行の有無を気にしなくてよくなりますが、一方で実務上1万円未満と1万円以上の課税仕入れを区分する事務負担が増えることになります。
対象となる事業者は、基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者ですが、年間売上高が1億円あたりを推移している事業者については、事業年度ごとの確認が必要でその特例は施行後6年間継続します。また、先のことになりますが、この「少額特例」だけでなく「80%・50%経過措置」も含め6年間の時限措置のため、課税期間の途中でも6年目の2029年9月30日には終了します。それ以降は、原則どおりインボイスの有無だけで税区分が決定することになります。
8月末は個人事業者の消費税中間申告の法定納期限になります 2023.08.21
消費税の課税期間は原則1年とされていますが、直前の課税期間(令和4年分)の確定消費税額(中間申告対象期間の末日である6月末までに確定した消費税の年税額(地方消費税は含まない))が48万円を超える事業者は中間申告が必要になります。中間申告の回数はその直前の確定消費税額の金額によって年1回・年3回・年11回がありますが、個人事業者は年1回がほとんどで、その納期限は8月31日(木)になるので、対象の方には所轄税務署から「(納付書)領収済通知書」がすでに届いていると思います。
あらかじめ振替納税制度を採用されている事業者については、ことしの振替日の9月27日(水)が近づいてきましたら、振替用の銀行口座の残高の確認をお願いします。また、納期限の8月31日まででしたら、あらかじめ「預貯金口座振替依頼書」を提出(e-Tax可能)すれば、いままで振替納税制度を利用されなかった方も新たにこの振替納税制度を利用することができます。[手続名] 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付|国税庁 (nta.go.jp)
消費税の中間申告の制度については、「中間申告対象期間(年1回の場合、令和5年1月1日から6月30日まで)」を一課税期間とみなして納付すべき消費税額等の税額を計算する仮決算の方法もあります。直前の令和4年分と比べて課税売上高が大きく減少又は仕入高が増加したケース、多額の固定資産の取得があったケース(簡易課税制度を採用している場合を除く)など、仮決算を行う労力はかかりますが、中間納付の金額を減少させることができ(ただし、計算した税額がマイナスになっても還付は不可)、当面の資金繰り負担を軽減させることができます。
夏季休暇後、不審メールやメッセージに注意! 2023.08.16
長期の夏季休暇中は、連休の期間をねらったセキュリティーインシデントの発生が懸念されるとともに、休暇明けに電子メールやメッセージの確認件数が増えることで偽装のチェックがおろそかになりがちです。心当たりの無いメールは削除・無視し、心当たりがあっても送信元に電話で直接問い合わせる、メールに書かれたリンクはクリックせず、公式Webサイトに直接アクセスして確認するなどの対策が必要です。
このような不審メールは年々増加しかつ巧妙化していますが、それは不正者にとって不審メールを送るコストはほとんどかかっておらず、それに対する返信率がごくわずかでも利益を得ることができるためで、経産省のIT政策実施機関「独立行政法人 情報処理推進機構」のホームページでは、管理者向け・利用者向け・個人向け別に、長期休暇期間中・長期休暇明けの対策が詳しく説明されています。長期休暇における情報セキュリティ対策 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
不審メールの見分け方として、① メールの日本語が不自然(たとえば、英文の冒頭のあいさつで使われるDearの和訳「親愛なる」は日本語ではほぼ使いませんが、これが出てくれば、まず不審メールと考えられます)② アカウントを削除した記憶がないのに「アカウントを停止しました」の文章がある ③ 文字のフォント(字体)やスペース・改行・句読点が不自然、現在では使用されない漢字(中国漢字)がある ④ 送信元のメールアドレス(ドメイン)が送信元の表記と違う・・などがあります。これらに留意いただき、夏季休暇後からの業務再開に支障ないよう万全なセキュリティー対策をお願いします。
「大津市創業促進事業費補助金」第2次募集8/10で終了、次回は10/2から 2023.08.07
新たに事業を開始する者に対し、当該事業の開始当初に要する経費の一部を補助(補助率:1/2、補助限度額:一般 上限50万円・若者(昭和63年4月1日以降の生まれ) 上限 100万円)する「大津市創業促進事業費補助金」、令和5年度の第2次募集の申請は8月10日(木)でいったん終了しますが、次回第3次募集が10月2日(月)から同20日(金)で予定されています。大津市創業促進事業費補助金について(令和5年度 2次募集)/大津市 (otsu.lg.jp)
この補助金を受けられる対象者の要件は、①令和6年1月31日までに創業する者又は申請時点で創業して3年以下の者 ②大津市内に事業所・事業所等(事業実態のあるものに限る)を有すること ③「支援機関」による支援を受けており、事業実施期間中も継続して支援を受ける者 となっていて、募集要項bosyuuyoukou2ji.pdf (otsu.lg.jp)によると、「支援機関」とは大津市内の商工会議所・商工会、大学、金融機関など、18の機関(令和5年4月1日時点)がリストアップされています。
この補助金は創業時に必要な店舗等改装費・店舗等借入費・設備費・報酬費などが対象で、補助金の交付決定までには「交付申請書」・「創業計画書」などを提出し、書面審査(1次審査)、さらにプレゼンテーション審査(2次審査)を経てないといけません。補助金の交付を希望する事業者の方は、ご自身で申請手続きを行うのではなく、まず申請のサポートをしている「支援機関」に相談するのがよいと思います。