税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

2024年8月

「定額減税」、年末調整時に対応が必要なケースとは 2024.08.31

令和6年6月から始まった「定額減税」、会社の給与計算担当者にとって月々の事務負担が増えた状態になっています。所得税の定額減税の計算は、令和6年6月1日以後、最初の給与等(賞与を含む)で天引きされる源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する「月次減税事務」のほか、年末調整時に年末調整時点の定額減税額に基づき精算する「年調減税事務」を行います。したがって、ケースによっては令和6年分の年末調整の際、年末調整時点で毎月行った定額減税額に基づき、年間の所得税額との精算を行なう事務処理が出てきます。0023012-317.pdf (nta.go.jp)

具体的に年末調整で精算が必要となる主なケースは次のとおりで、① 「月次減税事務」で控除しきれない場合 ② 令和66月以降に結婚・出産・子供の就職など、「扶養控除等申告書」や「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の記載事項に異動が生じた場合 ③ 令和662日以降に社員を中途採用した場合 ④ 令和6年分の合計所得金額が1805万円を超える場合(『戦略経営者8月号』定額減税の概要と実務のポイント)。

①の場合、「年調減税事務」を経ても定額減税((本人+同一生計配偶者等)×3万円)を控除しきれないと見込まれる人に対しては、当該定額減税しきれない額を1万円単位に切り上げて算定した「調整給付金」が支給されます。対象者の方には市区町村から確認書が順次届いています。自治体によって確認書が届くタイミングや支給日等は異なりますのでくわしく知りたい場合は、市区町村のホームページ等で確認するとよいでしょう。0024001-021.pdf (nta.go.jp)

従業員数51名以上の事業主の方、10月から社会保険の加入要件が拡大されます 2024.08.17

2024年10月より、パート・アルバイトといった短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が広がります。(ここでいう「社会保険」とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険)前回202210月には「従業員数101人以上の企業」に拡大。それが202410月からはさらに適用範囲が拡大され、「従業員数51人以上の企業」で働く短時間労働者が要件をすべて満たしている場合、新たに社会保険の適用が義務化されることになります。短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

社会保険への加入は、従業員にとってさまざまなメリットがあり、会社員や公務員など組織に雇用される人が対象となる「厚生年金」に加入できるため、将来的に受け取れる年金の金額が増えます。さらに、「老齢年金」、「障害年金」、「遺族年金」といった厚生年金ならではの給付も基礎年金に上乗せされます。一方で、給与から社会保険料(従業員負担分)が自動的に引かれるため、手取り額がその分減るという点があり、事業主の観点からも社会保険料の半分を負担する必要があるため、そのぶん経費(法定福利費)が増加することになります。

2024年10月以降、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で加入対象となる短時間労働者がいる場合は 、「被保険者資格取得届」等の提出が必要です 。新たに適用拡大の対象となることが見込まれる事業所には、9 月上旬までに「特定適用事業所該当事前のお知らせ」を送付される予定です。 適用拡大の対象となる従業員についての届書の準備、社内周知・従業員への説明等の期間が必要となりますので、早めの準備をお願いします。r6.10_tekiyoukakudai01.pdf (nenkin.go.jp)

経営セーフティ共済、10月以降解約分から損金算入が一部制限されます 2024.08.03

中小企業倒産防止共済事業(経営セーフティ共済)とは、取引先事業者が倒産した際、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐために設けられた制度(令和5年3月時点で約62万社が加入)。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限80,000千円)まで借入れができ、その掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できます。また、契約解約後は、積み立てた掛金の全額(納付期間が40か月未満は一部)を解約手当として受け取ることができ、その場合は受け取り時の事業年度の益金の額または総収入金額に算入します。経営セーフティ共済とは | 共済制度 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 (smrj.go.jp)

通常、経営セーフティ共済の掛金は毎月支払い(5千円~200千円)で行いますが、一定の手続きにより1年分の掛金(最大2,400千円=200千円×12か月)を前払いする前納制度もあります。大きな所得が発生し、税額が大きくなることが予測される場合、1年分の掛金を前納することで節税することができます。(ただし、掛金の積立総額は8,000千円まで)第66条の11 ((特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例)) 関係|国税庁 (nta.go.jp)

ただ、令和6年度改正ではこの節税策への見直しもおこなわれていて、契約を解約した場合に解約後2年間のうちに再加入した際には掛金の損金算入が不可となりました。経営セーフティ共済に関しては、解約して手当金を受け取ったものの、自社の利益を鑑みて短期間のうちに再契約を行う事例も多く、本来の制度の趣旨から外れた利用も少なくなかったためです。そのような状況を踏まえ、10月以降解約しその後再契約する場合、解約日から2年を経過する日までの間に支払った掛金に関しては、損金算入が不可となりました。002.pdf (meti.go.jp)

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