日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
パラダイスペーパー 2017.11.20
週末に録画していたNHKの「パラダイスペーパー」の特集番組をみました。最近よくテレビニュースで報道されている「パラダイスペーパー」とは、英領バミューダ発祥の法律事務所から流出した計1340万件の膨大な文書のことで、世界の政治家や企業などが租税回避地(タックスヘイブン)を通じて課税逃れに関与していた実態が明らかにされています。
番組のなかでは、この租税回避地を通じて課税逃れされる税金の額は全世界で年間58兆円だそうで、日本だけでも5兆円にのぼるとのこと。財務省の一般会計決算概要では、2016年度の国の税収は、合計55兆4686億円ですので、なんと1割ちかくになります。税収のうち消費税は17兆2282億円ですので、この課税逃れ分を徴収できたなら再来年10月の消費税率アップはなくてもまだおつりがくる計算になります。なんとも納得できない話ですが、番組をみていると租税回避地の大きな問題は税率が低いことに加えその秘匿性あるようです。租税回避をアレンジする現地事務所により、名義貸しで簡単に資産を隠すことができるスキームが公開されていましたが、それによって多額の成功報酬を受け取るのでしょう。
このような租税回避地は独自の産業が乏しいため、現地雇用などやむを得ない理由もあると考えていましたが、番組をみる限り一部の政府関係者や権力者が自己の利益のため、このような租税回避地をあえて存在させているのでは・・とさえ感じてしまいます。この「パラダイスペーパー」、文書が膨大すぎてまだ解明されたのはほんの一部ですので、今後いろいろな事実が出てくることが考えられます。