日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
営業キャッシュ・フロー 2018.08.24
関与先様と決算申告確定時に、必要に応じて当期業績および翌期見通しの説明会を行います。その際に、当期業績では資金の流れのわかる「キャッシュ・フロー計算書」を作成し、これも使って説明するようにしています。
「キャッシュ・フロー計算書」は貸借対照表、損益計算書などのように税務申告書の添付書類ではありませんが、決算書から容易に作成することができます。キャッシュ・フロー計算書は「 営業活動によるキャッシュ・フロー」 「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」で構成されていて、そのなかで「営業活動によるキャッシュ・フロー」の現金収支が十分なプラス、要するに本業でしっかり資金を生み出しているがどうかが、その事業継続のための最低条件になります。
翌期見通しについては、予測した損益計算書の税引前利益がどのぐらいの金額になるかも重要ですが、それ以上に予測損益計算書上の「税引後当期利益+減価償却費」が銀行借入金にかかる翌期約定返済額(予定)より大きいかどうかに注意します。厳密にいうと「税引後当期利益+減価償却費」は「営業活動によるキャッシュ・フロー」とはイコールではありませんが、簡易的に「営業活動によるキャッシュ・フロー」の概算収支を知ることができます。いくらか税引前利益が生じても、銀行への約定返済が滞れば資金繰りが苦しくなり、また新たな借入れなどが必要になるからです。当期利益がプラスでも「営業活動によるキャッシュ・フロー」の収支不足が続けば、極端な話し「黒字倒産」のリスクが生じます。