日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
『連結納税 事務負担軽く』 2018.10.21
政府税制調査会(首相の諮問機関)は10月10日に第17回総会を開催し、今後中長期的に、個人所得課税、資産課税、納税実務等の環境変化への対応、そして法人税の連結納税制度などのテーマについて議論を進める方向とのことです。(「週刊 税務通信」平成30年10月15日)そのなかで、退職所得課税制度に対する指摘もあったようで、日本の所得税制度は退職所得への優遇や給与所得控除額の多さが際立っているので、さすがにすこしでも諸外国並みに改正されていくものと思います。
法人税の連結納税制度については、日本経済新聞にも10月12日の記事『連結納税 事務負担軽く』でも取り上げられていました。子会社や孫会社の一部の税務申告の変更が起きると、グループ会社全体のやり直しになったのが、各社がそれぞれ個別に申告書をつくる案が浮上しているとのこと。たしかに、子会社や孫会社にとって(われわれ税理士にとっても)、そのやり直しが親会社のみならず、他の子会社や孫会社まで影響するのは、どうしてもプレッシャーになります。個別に申告書を備えて、変更が生じた部分のみの修正だけで済まそうとするのは、修正の簡素化の見地からもよい考え方だと思います。
この02年度に導入された連結納税制度、国内グループ会社の利益と損失の通算による法人税の低減がメリットとしてよく言われます。また、損失が生じている会社がなくても、試験研究費などの税額控除額をグループ全体で計算することで、法人税額が少ない単体申告より控除限度額の枠が増加することも、グループ全体の税額にとって大きなメリットになります。