日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
テーマ『相続税対策と事業承継税制等』 2019.01.14
今週ある公益財団法人にて、テーマ『相続税対策と事業承継税制等』のセミナーで1時間ほど講師をやります。内容は、まず生前贈与、生命保険の活用などオーソドックスな相続税対策を解説し、あと昨年4月に新設された「特例事業承継税制等」について概要を簡単に説明する予定で、レジュメも完成しました。
民法上は贈与について「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意志を示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(民法第549条(贈与))としています。なかには(贈与者が受贈者の)贈与税の申告および納付さえすれば、贈与が成立すると思われている方もおられます。贈与税の申告・納付は当然必要ですが、贈与(民法上の贈与)が成立するか否かの判断自体とは無関係です。加えて、年間の贈与額は110万円以下であれば申告は不要になります。やはり贈与者と受贈者が自署による贈与契約書を作成・保管し、受贈者が自身で通帳・届け出印・キャッシュカードを管理しておくことが重要です。
また、不動産を生前贈与する場合、贈与税の他に不動産取得税、登録免許税を考慮する必要があります。たとえば、固定資産税評価額2000万円の不動産(住宅)を贈与した場合、60万円(3%:住宅及び土地の取得で、商業ビル等の住宅以外の家屋は4%)および登録免許税40万円(2%)が納付(計100万円)になります。相続でしたら不動産取得税は不要、登録免許税のみ8万円(0.4%)ですので、これらも含めて生前贈与するか否か判断しなくてはいけません。