日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
所得拡大促進税制の改正で申告がいくぶんラクに 2019.05.27
個人の所得を増加させる目的で、従業員に対する給与・賞与を増加させた場合に税額控除が受けられる「所得拡大促進税制」、平成30年4月1日に開始する事業年度、つまりこの3月末事業年度の決算から大幅に改正されました。3件ある適用要件 『① 給与等支給額の基準事業年度からの増加要件 ② 給与等支給額の前年度からの増加要件 ③ 平均給与増加要件』のうち ①、②が廃止され、また③の『平均給与増加要件』についても、継続雇用者が「当期および前期の全期間の各月において給与等の支給のある雇用者」に限定され、改正前のように前期中に採用された雇用者または当期中に退職した雇用者を含める必要がなくなりました。
改正前までは、前期および当期の「平均給与」を算出するため、対象になる継続雇用者の給与等支給額を集計し、その継続雇用者の月ごとの人数をカウントし・・今までなかった新たな作業が必要でしたが、改正後は対象となる継続雇用者が前期・当期も同じで、各給与等支給額の合計額を比較するだけで適用の可否判断ができるようになります。景気の浮揚のため、賃上げに取り組む企業の支援を目的とした制度でしたが、計算の煩雑さも指摘されていました。今回改正により適用要件が簡素化されたことは、税務申告書を作成する我々税理士にとってもありがたいことです。