日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
法人税の申告書、新様式へ 2022.06.27
今月の申告分、つまり令和4年4月1日以後終了事業年度分から、法人税の申告書(別表)が新様式になっています。別表一では「通算グループ番号」、「通算親法人整理番号」の記載欄が、別表四・別表五(一)・別表五(二)にも「通算法人に係る加減額」、「通算税効果額の発生状況等の発生状況等の明細」等の調整項目が追加されています。「通算税効果額」とは、「グループ通算制度を適用することによる税負担の軽減額ついて、通算グループ内で精算する金額」をいいます。
グループ通算制度は令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますが、事業年度等の変更など1年未満の事業年度もありうるので、すでに法人税の申告書はグループ通算制度に対応しています。また、これより早く「中小企業向けの所得拡大促進税制」については、令和3年4月1日以降に開始される事業年度(個人事業主は令和4年分)かより制度が簡略化(別表六(二十九))されました(事業年度が1年間であれば令和4年3月31日決算分から)。
「所得拡大促進税制」とは、中小企業等が前年より給与等を増加させた場合、その増加額の一部を法人税から控除(支給増加額の15%(上乗せ分除く))できる制度。従来の適用要件では「雇用者給与等支給額」のほか「継続雇用者給与等支給額」の算定が必要でしたが、新制度では「継続雇用者給与等支給額」のみの算定で適用可否を判定します。これにより、既存従業員の賃上げだけでなく新規雇用の増加でも税額控除の恩恵が受けられ、かつ事業者の事務手続の負担も軽減できる制度になりました。