日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
合同会社、新規設立法人の4分の1に 2022.07.11
2006年5月に施行された会社法で新たに設けられた会社形態である「合同会社」、2021年「合同会社」の新設数は前年比約11%増の3万6934社と過去最多を更新し、新しく設立された法人の4社に1社を占めるようになりました。(東京商工リサーチより『日経新聞7月4日付記事』)ただ、なかには会社設立時に電話やインターネット・SNSで一般の個人から出資を募り、投資した資金が回収できなくなく問題も相次いでいるそうで、金融庁は早ければこの夏から、会社の実態把握のため、「合同会社」の形態で出資を募る場合は登録制にするとのことです。
以前の「合同会社」は認知度が低く、株式会社と比べ対外的な信用力に不安を感じる方も多かったですが、前述の資金が回収できなくなる問題は論外として、最近は「合同会社」のメリット(① 設立費用が株式会社より抑えられる ② 出資者と経営者が一致して、意思決定が早い ③ 役員の任期が無制限(株式会社は通常2年)など)を理解して、より生かそうとする考え方が増えているように感じます。また、著名な外資系日本企業(アマゾンジャパン、Apple Japan、グーグル、西友)も「合同会社」と認知された影響もあるようです。
税理士が関与するような事業のなかでは、会社名の信用より商品や店舗自身を重視する一般消費者向け(B to C)事業や1人起業・家族経営など規模が小さく拡大路線をねらわない事業には、会社運営を簡略化しつつ株式会社と同じ税制のメリットが適用される「合同会社」が向いていると言えますが、このような特定の事業に限らず、今後も「合同会社」設立数の増加傾向は続いていくものと考えられます。