日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
急激な円安、外貨預金で確定申告が必要なケース 2022.10.17
最近、急激な円安の流れが加速していて、2022年の年初114円台でスタートした米ドル円レートは先週末でついに148円台へ。米ドル等の外貨預金をお持ちの方は、2022年中に円転して「今年中に利益を確定する」という方も多いと思います。この場合、その利益額に対し、所得として令和4年分の確定申告書の提出(2023年3月15日まで)が必要なケースが出てきます。
たとえば、1万米ドルの外貨預金の場合、1米ドル=110円のときに円を外貨預金にし、1米ドル=140円で外貨預金から円に戻すと、28万円の利益(140万円-110万円-2万円(為替手数料))に発生します。この28万円の利益はいわゆる「為替差益」といい、個人の納税者にとっては「雑所得」の扱いで申告する必要があります。ただ、年収2000万円以下の給与所得者で、このような外貨預金の為替差益(「雑所得」)を含めた給与所得以外の所得が20万円以下の場合、医療費控除などで確定申告をしない限り、あえて申告は不要になります。
一方で、住民税の申告は確定申告とは異なり、収入の額にかかわらず1月1日に住民登録をしている市町村に対し、申告する義務があります。たとえば、会社員などの給与所得者の方(年収2000万円以下)が外貨預金を円に転換し15万円の為替差益を得ても、それ以外に所得がないとすると確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要で原則として住民税が発生します。住民税の申告を行わないと、国民健康保険料が正しく算定されない、所得証明書や課税・非課税証明書が発行されないなどの不都合が生じます。住民税の申告に関しては、このように、ご自身で住民税のみ申告するパターンもあり得ますので、該当するかどうか確認のうえ正しく申告するようにしましょう。