税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

案外おもしろい「税効果会計」 2022.12.12

いろいろあった2022年も残り3週間ほど、これからは年末調整、12月末法人の決算・税務申告、そして個人のみなさんの確定申告と、当分われわれ税理士にとっていわゆる繁忙期の期間が続きます。そのような中、一般企業の関連会社など一部では、決算書を作成するうえで「税効果会計」を適用している法人もあります。この「税効果会計」は、なじみがなく少々ややこしいように見えますが、仕組みが解ると会社の状況を厳密に把握するには効率的な方法で、計算しているとそのおもしろさに気付かされます。(写真は、TKC税効果会計システム「eTaxEffect」)IMG_0462

「税効果会計」とは、一言でいうと「会計上の利益と税務上の利益のズレを調整して、会社の税金を正しく記載する方法」です。ごくごく簡単な例で説明すると、ある法人の会計上の利益が10,000千円ですが、そこには税務上経費にできない賞与引当金 1,000千円が経費計上され、実質の税務上の利益は 11,000千円だったとします。したがって、この法人の法人税等の金額は 11,000千円×35%(実効税率)=3,850千円になりますが、決算書では会計上の利益10,000千円に対し、法人税等の金額は3,850千円(38.5%)となり、適用される実効税率35%とズレが生じています。

このズレを調整するのに、「税効果会計」として税務上経費にできなかった1,000千円×35%(実効税率)=350千円について、「繰延税金資産(資産)/法人税等調整額(収益) 350千円」の仕訳を追加します。そうしますと、会計上の利益 10,000千円に対し法人税等の金額は3,500千円(3,850千円-350千円)となり、適用されている実効税率35%と一致します。また、法人税等調整額 350千円は税務上では収益としては認識しません。「税効果会計」は日商簿記2級でも出題されているとのことで、会計と税務の違いを理解するうえで、基本的な仕組みだけでも知っておいて損はないのではと思います。

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