日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
農業事業者は10月1日より消費税のみなし仕入率が有利に 2019.09.17
いよいよ消費税率の10%への引上げが来月に。ただし、飲食料品等については軽減税率8%が適用されるため、食用の農産物(米、野菜、果物など)を生産する農業事業者は10月1日以降に出荷しても、軽減税率が適用されるため税率は8%のままです。一方で10月1日より種苗、肥料、農薬、諸材料、農具などは標準税率が10%になります。
消費税額を「課税売上にかかる消費税-課税仕入にかかる消費税」で算出している『本則課税』では、事業者は納付する消費税額が減少するだけで実質的な負担増はありません。ただ、課税売上にかかる消費税額に税務上定められた「みなし仕入率」を乗じて「課税仕入にかかる消費税額」とする『簡易課税制度』では、種苗、肥料、農薬、諸材料、農具などの税率上昇分2%(10%-8%)が負担増になってしまうため、10月1日からは食用の農産物を扱う農業事業者は「みなし仕入率」が従来の70%から80%になります。
現在、消費税の申告義務のある農業事業者は課税売上高が5000万円以下で『簡易課税制度』を採用しているケースが多いと思われます。たとえば、個人事業主では1月1日から9月30日まで「みなし仕入率」70%、10月1日から12月31日まで「みなし仕入率」80%となり、課税売上高を区分する必要がでてきます。また、少ないでしょうが、『本則課税』を適用していた農業事業者も「みなし仕入率」の変更にともない、10月1日以降『簡易課税制度』適用の有利不利を検討してみるのもよいかもしれません。