日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
法務局における遺言書の保管制度 2019.12.09
先週金曜日、TKC近畿京滋税務研究会の研修で京都に行っていました。講師は税理士 笹岡宏保先生、テーマは『民法(相続法)改正と相続税実務』で4時間にわたっての講演。内容は相続実務をするにあたり、入口になる民法が今回約40年ぶりに大幅な見直しするにあたって実務への影響を検証したもの。笹岡先生の研修は少なくとも毎年1回受けるようにしていますが、この先生は自身の解説のため各方面の資料を編集したレジュメを作成し、参加者に少しでも役立つ話しをしようとする姿勢が感じられます。また、新しい制度や実務上に起こった事例など、自身の率直な意見やユーモアをまじえて述べられるので講演時間がすぎるのが本当に早い。
研修の中では遺言制度に関する見直しについても解説されていました。普通方式の遺言には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、うち自筆証書遺言の遺言書については、パソコンでの作成や預金通帳・不動産の登記簿謄本のコピーを財産目録として添付ができる方式に緩和されました。また、自筆証書遺言の遺言書は自宅で保管されることが多く、遺言書の紛失・亡失や相続人による破棄・隠匿・改ざんのおそれがありました。その問題を解決する制度として、「法務局における遺言書の保管制度」が創設され、遺言書の存在の把握が容易になりました。ただ、作成費用や必要書類の収集や打合せなどの労力を考えても、公証人が本人意思を確認して作成する公正証書による遺言書の方が、紛争防止の観点等からまさっていると言えます。