日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
法人成り、「合同会社」でも 2020.03.09
確定申告も一段落し、個人事業者のなかには、法人成りを検討されている方もおられると思います。法人成りすることによって、社会的信用も増し、一定以上の事業所得がある場合、役員報酬にかかる給与所得控除等で節税効果も期待されます。ただ、ほとんどのケースで選択される株式会社の設立では、設立費用や定期的に更新しなければならない役員登記など、費用や事務処理の負担の問題が出てきます。そこで、このような株式会社の設立に代わって、法人成りへのハードルをより低くした「合同会社」があります。
「合同会社」とは、株式会社と同じく会社形態の一つで、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である会社形態です。現在の株式会社である中小企業もほとんど経営者と出資者は同一ですので、最近は「合同会社」を選択するケースが増えてきています。前述の費用や事務処理の負担軽減以外に「合同会社」のメリットとして、設立が簡略化されているにもかかわらず同じ税制が適用され、会社設立による恩恵を株式会社と同様に受けることができる点があります。
しかし、未だ「合同会社」という名称の認知度が低く、株式会社より比較して不利と考えられる事業者の方も多いです。ただ、意外と知られていないですが、みなさんがよくご存じの企業、Apple Japan、グーグル、アマゾンジャパン、西友、エクソンモービル・ジャパンも「合同会社」です。これらは外資系企業ですが、極力無駄を省いて、迅速な経営判断をしたいという合理的な判断で「合同会社」を選択したと考えられます。