日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2016年11月
生前贈与について 2016.11.29
先週、金融機関主催のセミナーの相談員として、会場の支店へ行っておりました。まず、第1部で資産承継というテーマで担当税理士さんが講師をつとめられ、わたしはその後の第2部の個別の相談に対応しました。第1部の講義が終了後、出席者の方々からいくつか質問がありましたが、テーマが資産承継だったこともあり、生前贈与の活用で特に年110万円基礎控除を使った暦年贈与の手続きについての質問が多かったです。
生前贈与に関しては、以前もここでお話しましたが、贈与は贈る側の「贈った」という意思表示と、受け取る側の「もらった」という認識が必要になります。とくに第三者がみても受け取る側に「もらった」という認識があると判断できるものでないと贈与と認められない場合もあります。一般的には、「贈与契約書」を作成し自署押印(認印で可)して保管。資金移動は預金間振替で双方に記録を残す(贈与側が銀行から引出し受贈側へ直接渡す場合、通帳へだれにいくら渡したかなど通帳へ書き込みする)。受け取った側は受贈資金から支出しその使途を記録しておくなどの対応が考えられます。
国外中古建物で節税? 2016.11.22
昨日は午後大阪までTKC全国会海外展開支援研究会の研修に行っておりました。研修の内容は『1.海外転勤させる時の税務・社会保険 2.海外出張させる時の留意点』で、講師の先生も金融機関系コンサルティングの方としてたくさんの事例を扱われており、関与先でお役に立てる話しを聞くことができました。会場は大勢の方が参加されており、少しお話しした隣の参加者の方は、福岡県から新幹線を使って日帰りで来られたとのこと。わたしは滋賀ですが、事務所最寄り駅から大阪駅までJR新快速で50分弱、研修参加にはまだまだ恵まれた環境だと思います。
ところで、その帰路の電車の中で目を通していた『週刊 税務通信』の先週号(No.3433)で「会計検査院 国外中古建物の減価償却費を用いた節税策を問題視」というおもしろい記事を見つけました。要するに、「国外の中古建物を取得し、賃貸料収入を上回る減価償却費を計上、不動産取得に損失を生じさせ、他の所得と損益通算することで所得税額を減少させるもの。」で、確かに ① 取得価額が高額にのぼる(→ 一度に多額の節税(正確には、課税の繰延べ)をすることが可能)② 耐用年数が短い (→ 1年あたりの減価償却費が大きくなる。中古資産はおのずと短くなる) ③ 売却額が取得価額と比較して大きく減少しない(→ キャピタルロスを最低限に抑えられる)のような資産であれば課税の繰延べによる当面の節税効果はあり、資産価値があまり減少しない欧米の中古住宅はメリットも大きいかもしれません。
また、私の関与先ではありませんが、国内資産で一般によく言われているのがクルーザーの購入です。もちろん、法人であれ個人事業であれ従業員の福利厚生に使用することが前提ですが、クルーザーは中古物件でも千万円単位のものは珍しくなく、新品の耐用年数が4~5年のため耐用年数を経過した中古物件は2年で減価償却費を計算することができます。前述の国外中古建物では富裕層向けに海外不動産投資セミナーまで開催されているとのこと。このようなことが起こるのを考えると、海外資産まで国内資産を前提した耐用年数を適用するのはさすがにムリがあると思われます。
「山本富章展」へ行く 2016.11.04
近頃は朝夕めっきり肌寒くなり、事務所前の街路樹の紅葉した葉も落ち、すっかり秋の深まりを感じる季節になりました。昨日の祝日は「芸術の秋」でもないですが、ちょっとした縁があり愛知県の碧南市藤井達吉現在美術館で開催中の「山本富章展」へ行ってきました。
この山本富章氏は1980年代後半より欧米の展覧会でも出展し注目を集められてきた作家で、私も拝見していて作品の大きさと強烈な色彩の使い方に特徴のある作家との印象を受けました。この日は特別に山本氏みずから約1時間にわたりご自身の作品を解説する(ギャラリートーク)ということで、作品が出展された順に作品ごとの思いやエピソードを興味深く聴くことができました。写真奥が山本ご自身で、作品は1974年のまだお若いころ、色彩も淡い色が主体に使われています。
下のような作品になると、時間の経過とともに現在の山本氏の作品に通じるような、強烈な色彩を使った作品になっています。参加者どなたも熱心に山本氏のお話しを聞いていて、最後はいくつもの質問をされていました。