日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2020年11月
PCR検査費用は医療費控除の対象か? 2020.11.30
最近、新型コロナウイルス感染者の再拡大がどのメディアでも報じられていますが、ウイルスの遺伝子を検出する方法で「PCR検査」が最も精度が高いと言われています。そして、この「PCR検査」にかかる費用が確定申告において医療費控除の対象になるか否かは、国税庁FAQ(令和2月10日23日更新「問12-2.」)で掲載されていて、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は医療費控除の対象になるとのことです。(公費負担より行われる部分の金額を除く)
したがって、たとえば単に感染していないことを明らかにする目的(陰性証明書等の取得など)で、自己の判断により受けたPCR検査の費用(自費検査)は医療費控除の対象になりません。ただし、PCR検査の結果「陽性」が判明し引き続き治療を行った場合は、その検査費用は医療費控除の対象となり、この取扱いは健康診断の結果、重大な疾病が発見され引き続き治療した場合の健康診断費用の取扱いと同じです。ちなみに、マスクの購入費用も単に感染予防を目的とするものは医療費控除の対象には該当しません。
滋賀県ホームページ『新型コロナウイルス感染症に関する滋賀県の状況について』によると、11月28日のPCR検査数が154件(累計 21,840件)、陽性者数 4人(累計 777人)で、直近1週間のPCR陽性率2.6%、現時点の確保病床数の占有率35.7%になっていました。
ゴジラとフエキのり 2020.11.23
約9年ぶりの大阪出店となる「心斎橋パルコ」へ行ってきました。いまのところ新型コロナウイルスの感染防止のため「密」をさけることから事前予約が必要で、こちらもマスクの着用・消毒液の持参など感染対策を徹底したうえでの入館でした。この「心斎橋パルコ」、今回は定番のブランド店やブティック、カフェのほか、たくさんのキャラクター・ショップも出店していて、体験型施設やアート作品を展示したフロアなどの多彩な店舗がそろった、いままでの枠組みにとらわれない新しい複合施設になっています。
日本のポップカルチャーが集結した6Fフロアで、とくに人気があったのが「ゴジラ・ストアOsaka」(日本で2店目、関西では初)。店内は赤と黒を基調にした内装で、巨大なゴジラのフィギュアやマニアが喜びそうな限定グッズなど、ゴジラ独特の世界観を表現しています。それから9Fフロアには、大阪の老舗のりメーカーの不易糊工業株式会社(大阪府八尾市)がはじめてオープンした「フエキ ショップ」があります。同社は1975年発売のロングセラー商品「フエキどうぶつ糊」をキャラクターに、企画会社とコラボして作られたスイーツや文具品などの商品がたくさん販売されて、どなたでも楽しめる空間になっています。
今回の予定申告書、「6/前事業年度の月数=6/12」ではありません。 2020.11.14
今月11月は法人(3月末決算)の法人税・地方税の予定申告書の提出月でもあります。通常の予定納税額は「前事業年度の税額×6/12か月」で計算しますが、今回は2019年10月1日以後に開始する事業年度から適用される「(新)特別法人事業税」やそれに伴い廃止された「地方法人特別税」の経過措置ほかの関係から、地方税(法人都道府県民税法人税割、法人事業税、特別法人事業税、法人市町村民税)の予定納税額は、その6か月の代わりにそれぞれの数値(1.9、6.3、2.3、3.7)を乗じた金額が税額になっています。
ただ、予定申告書上では、従来と同様に「6/前事業年度の月数」と表示されているので、計算間違えでは・・と誤解される納税者の方がいるかもしれません。予定申告書・納付書と一緒に送られてくるお知らせ(説明書き)には、(小さくですが・・)「予定申告に係る経過措置」として記載されています。
2019年10月より適用された「特別法人事業税」は、「地方法人特別税」の後継として法人に課される国税とのことです。しかし、国税の1つにもかかわらず、都道府県が「法人事業税」とともに徴収することになっていて、廃止された「地方法人特別税」と同様、法人税額の計算では費用計上が認められます。いずれにしても税金については税目や税率の変更で複雑になるばかり。手書きによる対応は必要以上に時間や労力がいるので、やはり申告納税ソフトの有り難味を感じます。
新型コロナ消費税特例 2020.11.10
毎年、この時期に送られてくる冊子『税理士職業損害責任保険 事故事例』。2019年度(2019年7月1日~2020年6月30日)の保険事故の傾向は、前年度と比較し支払件数は21件減少しましたが、一方で支払保険金は増加し合計約22億5千万円で過去最高になったとのことです。税目別では消費税や法人税の割合が大きく、これは例年のことですが、事故原因では消費税は各種届出書の提出漏れ、法人税は所得拡大促進税制に関する誤り等が目立っています。
たとえば、大きな設備投資をすることがわかっていながら、前事業年度末まで「課税事業者選択届出書」や「簡易課税不適用届出書」を提出していなかったことにより、免税事業者や簡易課税事業者のままで設備投資にかかる消費税額の還付を受けられなかった事例などがあります。ただ、昨今のコロナ禍の中では当初予定していた設備投資ができなくなる場合も考えられます。
このようなケースは保険事故になる事例ではありませんが、「新型コロナ税特法」として、消費税の届出等に関して特例が設けられています。令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間の一定の期間について、事業収入が前年同時期と比べて概ね50%以上減少している事業者については、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、課税時期の開始後でも課税選択を変更することなどができることになっています。
固定資産税減免特例の適用、10月までの売上高の確認を 2020.11.02
令和3年度課税分の固定資産税等に限り、新型コロナウイルスの影響で、令和2年2月から同年10月までの間に連続する3か月間の売上高が、対前年同期比で50%以上減少した場合は「全額免除」、30%以上50%未満減少した場合は「2分の1に軽減」されます。まだ減免特例適用の可否を確認されていない中小事業者等は、あらためて2月から10月までの売上高の対前年同期比の確認が必要です。なお、感染防止対策のため自粛要請に応じた期間も含めることができます。
この減免特例の対象資産は、固定資産税の課税対象である土地・建物・償却資産のうち、事業用家屋(減価償却費が税法上の損金または必要経費に算入されたもの)および償却資産に限られます。(固定資産税を支払っているリース資産も対象)よくあるケースで、個人事業者で自宅の一部を事務所等に使用している家屋(特例対象家屋)の場合、その事業に供している割合(事業用割合)を乗じた減免率になり、その事業用割合がわかる書類(青色申告決算書、収支内訳書など)の提出がもとめられます。
減免特例の適用には、中小事業者等が税理士・会計士などの認定経営革新等支援機関等の申告書の確認(① 中小企業者等に該当するか ② 売上減少 ③ 特例対象家屋の居住用・事業用割合)および対象資産のある市町村等が定める様式の申告書を発行してもらう必要があり、令和3年1月中にその申告書に必要書類を添付して軽減の申告を行います。