日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2023年11月
国税庁、追加で「(インボイス制度)多く寄せられるご質問」を公表 2023.11.26
国税庁はすでに10月に公表した「インボイスQ&A(令和5年10月改訂)」の後、11月13日には国税当局に寄せられた質問等に対応するため、全13問となるインボイス制度の「多くの寄せられるご質問」を公表しました。0521-1334-faq.pdf (nta.go.jp)たとえば、冒頭の問①「1.登録申請の処理状況の確認方法」では登録通知時期の目安の確認方法(現在、e-Tax提出、書面提出とも提出から約1か月必要)や「2.ご自身の登録番号がわからなくなった場合の確認方法」では通知書を紛失してしまった場合の対応方法などが記されています。特集 インボイス制度 (nta.go.jp)
また、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる「経過措置」があった場合の帳簿や請求書等の保存方法が説明されていますが(問⑤)、帳簿に記載するべき方法として、たとえば「80%控除対象」や「(免)」など、請求書等についても一定の項目(書類の作成者の氏名・名称、課税資産の譲渡等を行った年月日・内容、税率ごとの税込価額等)を記載しておく必要があります。
いわゆる「2割特例」を適用できるインボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった方の中には、みなし仕入率が90%で消費税の簡易課税制度が適用できる「卸売業」の方もおられます。その場合、「2割特例」はみなし仕入率80%相当のため、簡易課税制度(みなし仕入率90%)を選択した方が有利になります。その場合の対応方法も記されていて(問⑬)、「消費税簡易課税制度選択届出書」をその課税期間の末日(その末日が土日・国民の祝日であっても、これらの日の翌日とはならない)提出します。また、「2割特例」や簡易課税制度自体は消費税の還付額は生じないしくみなっていますが、多額の設備投資などで還付が見込まれる場合は、その点も踏まえて選択するかどうか検討する必要があります。
甲賀水口宿の紅葉 2023.11.20
この一週間でかなり冷え込んできて、ようやく晩秋らしくなってきました。週末、わたしは甲賀市水口町に行くことがあり、東海道五十番目の宿場町だった街並みを楽しみながら、東海道からすこし外れた場所にある紅葉で有名な大池寺(甲賀市水口町名坂)へ寄ってきました。ここには江戸初期の近江の大名、茶人、建築家で各地に多くの名園を残した小堀遠州の作と伝わる枯山水様式の蓬莱庭園があります。
この大池寺(だいちじ)は丘陵に囲まれた閑静な地にある臨済宗妙心寺派の寺院で、敷地内にある書院よりつづく茶室前から見られる蓬莱山石組も美しく、サツキの大刈込みは5月下旬から6月初旬には見頃になるそうです。寺の周囲にはその名のとおり4つの大きなため池があり、その真ん中に本堂を建てたのが寺の始まりといわれています。この日はときおり霰(あられ)も降る荒れた天気でしたが、駐車場から寺に向かう散策に最適な小道端にあるモミジもようやく色づき始め、団体の観光客の方も鑑賞に訪れていました。
写真左は帰りに通った夕日を背にした水口城跡(甲賀市水口町本丸)の風景。現在は城内部の資料館には入れませんが、周囲から見るとなかなか立派な堀を備えている水口藩2万5千石の居城で、大池寺庭園を作庭した前述の小堀遠州が徳川将軍の上洛時にあわせて宿館として築かせたものといわれています。
令和5年分年末調整、国外居住親族に係る扶養控除の要件が変わります 2023.11.13
ようやく季節外れの暑さも和らいて今年もあと1か月あまり、12月からは(令和5年分)年末調整の時期になります。今回の年末調整での改正点では、国外に居住する親族(以下、「非居住者親族」)である扶養控除等の適用対象者のうち30歳以上70歳未満の者は原則除外されることになりました。ただし、① 留学により国内に住所および居住を有しなくなった人 ② 障害者 ③ その居住者からその年において生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人については、例外的に適用対象となります。0022009-107_01.pdf (nta.go.jp)
従来から非居住者親族が居る場合、扶養控除適用には「給与所得者の扶養控除等申請書」の他、「親族関係書類」(戸籍の附表の写しそのたの国・地方公共団体が発行した書類、非居住者親族の旅券の写しなど)や「送金関係書類」(非居住者である親族への金融機関発行の送金書類、クレジットカード発行会社が発行したカード利用明細書類など)の提出または提示が必要とされていました。[手続名] 国外居住親族に対する送金関係書類の明細書|国税庁 (nta.go.jp)
これに加えて令和5年分からは、30歳以上70歳未満の留学生(上記①の者)については扶養控除等申告書等の提出時に「留学ビザ等書類」(外国査証(ビザ)や在留カードの写し)、38万円以上の送金を受けている者(上記③の者)は年末調整時に「38万円送金書類」が新たに追加されました。外国人を従業員として雇用している会社にとって、外国人が日本で給与等を得た場合には年末調整が必要となり、その際にもこれらの書類(とくに「38万円送金書類」)の提出または提示が求められますので注意が必要です。
『デイヴィッド・ホックニー展』 2023.11.04
今週は所用により季節外れのほぼ夏日となった東京へ。前日までにすべて予定が終了したこの日、新幹線で帰路に立つ前にすこし時間を見つけて東京都現在美術館(東京メトロ 清澄白河駅から徒歩15分)の『デイヴィッド・ホックニー展』へ行ってきました。デイヴィッド・ホックニー(1937-)はイギリスの画家・芸術家で、イギリスの20世紀の現代アートを代表する1人。この催し物はテレビでも紹介され話題になっていて(わたしもこれで知りました)、作品の展示はこの週末までで終了するということで、この日は外国人も含めたくさんの方が鑑賞に訪れていました。
作品自体は明るい陽光を感じさせる華やかな色彩で、室内の風景、自身の邸宅や人物を描いたものが多かったですが、なかには(撮影できる作品が限られていてご紹介できないですが)色彩を絞った白黒のみのデッサン画も多くあります。2018年のあるオークションでは彼の作品が約9000万米ドル(約102億円:当時の換算レート)で落札されたとのことで、これは今なお破られていない現存作家(現在86歳)による最高落札価格です。
写真右は彼の作品(池の睡蓮と鉢植えの花)を6枚組のiPad絵画でアニメーションとして6台の55インチ・モニターで上映したもの。現在、創作活動の拠点としているフランス・ノルマンディーの風景だそうで、アニメーションで作品が完成する過程も知ることができ、おもしろい表現方法になっています。