日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
「JTBの減資」で気づくこと 2021.03.08
新型コロナウイルスで大きな損失が発生してる大企業、なかには減資して税負担を軽くしようとする会社が出てきています。大手旅行会社JTBも資本金を現在の約23億円から1億円に減資し、資本金1億円以下の中小企業として税負担を軽減していくとのこと。このような報道を耳にすると、われわれ税理士の関与先法人はほとんどが資本金1億円以下の中小企業で、ふだん税額の軽減措置を当たり前に適用していることに気づかされます。
たとえば、会社は税務上赤字が生じても翌期以降に繰越して、繰越した期の所得額と相殺することができます。しかし、原則相殺できる金額は所得額の50%の金額、当期赤字額1000万円で翌期500万円の所得額が生じても相殺できる赤字額は250万円(500万円×50%)まで。一方、中小企業(中小法人等)は所得額の全額まで相殺が可能、つまり翌期の500万円所得額はすべて当期の赤字額と相殺できます。
法人税率についても現在23.2%が適用されていますが、中小企業(中小法人等)に限り年800万円以下の所得に対し15.0%へ軽減されています。つまり実効税率34.26%→25.24%、所得金額800万円で約70万円の税額減少で小規模事業者にとって貴重な税負担の軽減です。ただ、中小企業(中小法人等)に該当するか否かは、たとえ資本金が1億円以下であっても、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有されているなど、中小企業(中小法人等)に該当しない場合もあり個別に確認する必要があります。