日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
電子メールにPDFで添付された請求書等の保存について 2021.09.13
電子帳簿保存法の改正により、令和4年1月1日から申告所得税および法人税における電子取引の取引情報にかかる電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代える措置は、廃止されました。(国税庁『電子帳簿保存法が改正されました』R3.05)
中小企業も含む全事業者に影響がありそうなものとして、電子メールに請求書等をPDFで添付したものを受け取る取引があります。従来は認められていた請求書等をPDFの出力書面等により保存する方法(代替措置)は廃止され、電子データのまま保存がすることが義務付けられます。また、検索機能の確保するため「取引等の年月日」、「取引金額」、「取引先」により検索できる状態で電子データを保存しなくてはいけません。
しかし、真実性を担保するためのタイムスタンプ付与やシステム導入にはそれなりの予算がかかり、一方で請求書等の送付を郵送に戻すことはデジタル化に逆行してしまいます。そのような中、実務に即した方向も示されるようで、「週刊税務通信(令和3年7月5日」では、① エクセル等を使用する方法(受領した請求書等の電子データに連続する番号を付し、エクセル等の表計算ソフトで、その番号ごとに「取引等の年月日」、「取引金額」、「取引先」等の情報を記載。) ② 電子データのファイル名に取引等の年月日などを直接入力する方法(電子データのファイル名に直接、「取引等の年月日」、「取引金額」、「取引先」を入力するもの)の方法が紹介されています。ただこの場合でも、訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定・運用・備付けすることになります。いずれにしても、来年以降は請求書等をPDFデータで受け取る場合、その保存方法について取扱いの検討が必要になります。