日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
来月から完全子法人株式等からの配当等、源泉徴収ナシへ 2023.09.04
令和4年度の税制改正により、来月10月1日以後に支払いを受けるべき配当等で、「完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等」または「発行済株式等の3分の1超を保有する株式等」に係るものは、所得税を課さないこととし、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないことになります。0022004-066.pdf (nta.go.jp)たとえば、親会社が完全子法人等より1,000,000円の配当を受け取る場合、源泉徴収税率20.42%の204,200円の控除した795,800円(1,000,000円-204,200円)の支払いを受け、その完全子法人等は204,200円を源泉所得税として国に納付します。これが、2023年10月1日以降、親会社が完全子法人等より配当金1,000,000円を受取るのみで済みます。
ある通信大手会社は、2018年に傘下の中間持株会社が保有していた関連会社の株式を約16億株売り、利益として2019年に約2兆円の配当金から受領しましたが、その際約4千億円の所得税を源泉徴収で支払いましたが、当該会社には同額が還付されました。そのとき還付加算金(納め過ぎた税金を還付する場合、日数に応じて加算される金額。利息のようなもの)は1億3千万円だったそうです。会計検査院の調査したところ、2017年~19年度にのべ888社で還付加算金が生じていて、その金額は約3億6500万円超にのぼったそうです。今回の件に関しては、源泉徴収制度という納税者に一定の事務負担を強いて、税金を確実にとるためシステムが、巨額の税金の無駄遣いが生じている現実を知ることができます。