日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
厚労省、「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表 2023.10.16
厚生労働省は9月27日、年収が一定額を超えると所得税や社会保険料が増えるいわゆる「年収の壁」に対して、10月スタートする「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しました。社会保険料に関する壁は106万円と130万円とがあり、大きくその金額を超えない限り、社会保険料負担が収入増を上回り手取り額が減ってしまうことになるので、今回は主に社会保険の壁を対象としたものになっています。いわゆる「年収の壁」への対応|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
「106万円の壁」への対応としては、① 被用者保険の新適用時に労働者の収入を増加させる取組みをした事業主に労働者1人につき最大50万円を支援(キャリアアップ助成金)② 事業主が被保険者保険適用に伴い手取り収入を減らさないよう手当(社会保険適用促進手当)を支給した場合は、被保険者の標準報酬月額の算定から同手当を除外。「130万円の壁」への対応は、残業等による一時的な増収でも事業主の証明で被扶養者認定が可能になりました。その他として、企業が配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順等がフローチャートによって公表されます。Microsoft PowerPoint – 05_Â ÇŽ _ tÎnÁ xnSbnþÜV.pptx (mhlw.go.jp)
この「年収の壁・支援強化パッケージ」は、とくにパートタイムで働く方にとっては朗報といえるかもしれません。ただ、あくまで今回の対策は2025年に予定されている抜本的な年金制度の改正までの時限措置にすぎません。これによって年収の壁を超える労働を定着させ、その後は短期間労働でも厚生年金に入る対象企業の適用を拡大し、働く人すべてに社会保険を適用する方向へ向かうこともありえます。