日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
財産債務調書、令和5年分から提出期限を「翌年6月30日」に延長 2023.12.10
令和4年度税制改正で財産債務調書制度が見直されています。この制度は、現行ではその年分の所得が2000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の有価証券等国外転出特例対象財産を有する場合には、財産の種類や数量、価額、債務の金額などを記載した調書を、その年の翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならないというもの。ただ、所得2000万円以下の者は財産債務調書の提出義務者の範囲から外れるため、仮に高額の資産を保有していてもその年分の所得が低いもしくはゼロであれば、調書の提出義務はなく、資産の移動状況の把握が不十分になっていました。見直しでは、提出義務者に所得要件を設けずに、財産の価額の合計額が10億円以上の者を加えられ、令和5年分以後の財産債務調書について適用されます。
一方で、提出期限は緩和され、現行の提出期限であるその年の翌年の3月15日から「その年の翌年の6月30日」となっています。国外財産調書についても同様になります。また、財産債務調書への記載を運用上省略することができる「その他の動産の区分に該当する家庭用動産」の取得価額の基準を300万円未満(現行:100万円未満)に引き上げられ、これらの改正は令和5年分以後の財産債務調書、国外財産調書について適用されます。zaisan_leaflet.pdf (nta.go.jp)
また、「国外財産調書」とは、居住者(「非永住者」の方を除きます)の方で、その年の12月31日おいて、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合、その財産の種類・数量および価額等を記載の提出を求められるもの。kaigaizaisan_tirashi.pdf (nta.go.jp)また、この「価額」はその年の12月31日における「時価」または時価に準ずる「見積価額」となります。「邦貨換算」は12月31日の「外国為替の売買相場」ですので、最近の円安により新たに提出条件に該当することも考えられます。令和5年12月31日の為替換算により提出対象になる可能性のある方は、提出期限(令和6年6月30日)までに自身の国外財産の価額を確認が必要になります。