日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
タックスヘイブン 2016.06.01
最近「パナマ文書」という文書が公になり、新聞やテレビでタックスヘイブンが話題になることがよくあります。このタックスヘイブン、間違えやすいですが・・税金天国 Tax Heavenではなく、租税回避地 Tax Havenで、英和辞典には、Haven【名】避難所、安息地【動】~を停泊(避難)させる・・の意味があります。ただ、租税回避地は「課税を回避できる天国のような場所」ですので、誤解するのも無理がありませんが・・。
世界中にはいろんな国や地域があり、課税についてもさまざまな政策がとられています。特に税率については、通常では考えられないような低い税率の国や地域、または税率がゼロのところまであります。租税回避地は十分なインフラや行政制度を整え外資企業や居住者を誘致することができない小さな国や地域に比較的多く、私もある海外のリゾート地へ観光で出かけた際、海外の大手監査法人がビルの一室に小さなオフィスを構えていました。当時はなぜこんなところにと思いましたが、あとで考えるとこのリゾート地は租税回避地でしたので、会社設立などのサービスを提供していたのではと考えられます。
日本企業が一定要件の関連会社をその租税回避地に設立した場合、その関連会社がいわゆるペーパーカンパニーで、かつ利益を留保していると判断されると、その留保利相当分が日本国内の利益として課税されることになります。(タックスヘイブン税制)ペーパーカンパニーには該当しない要件(適用除外)も定められていますが、租税回避地の関連会社の形態も多種多様で判断がむずかしく、たびたび納税者と課税当局で議論になったとの新聞記事も見うけられます。