日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2021年3月
滋賀県、飲食業ほかの事業販路開拓等の支援策を発表 2021.03.29
先週、滋賀県より緊急事態宣言の再発令により影響を受けた県内の中小企業等を対象に『新型コロナウイルス感染症対策経営力強化支援事業【緊急枠】』として、「売上確保のために行う緊急的な取組に必要な経費の支援(A)」および「国の一時金支援金(B)への上乗せ」が実施されることが発表されました。((A)、(B)いずれか一方のみ申請可能)
(A)の売上確保支援の場合、対象者は飲食業・飲食関連事業を中心に緊急事態宣言の再発令により影響を受けた県内の中小企業者等(対象業種は飲食業以外にも多岐にわたっており、申請時に確認が必要です)で、飲食店の時短営業または不要不急の外出・移動の自粛により、2019年比または2020年比で2021年の1月、2月または3月の売上が30%以上減少(国の一時支援金は50%以上減少で、適用範囲が広いです)している県内に事務所または事業所を有する事業者になります。
(A)の売上確保支援の対象事業は、売上確保のために実施する販路開拓等の取組に必要な経費(例:テイクアウトやデリバリーに要する経費、新商品開拓や新業態への進出に要する経費)が対象で、実際に購入したことが分かる領収書・レシートが必要ですが、支援される補助金は限度額 50万円(下限 20万円)・補助率 9/10以内になります。受付期間はオンラインによる申請であれば令和3年3月26日~4月30日(郵送申請:4月5日~4月23日)、問い合わせは滋賀県経営力強化支援センター(0570‐087‐770、平日 9:00~17:00)で、すでに受付を開始しています。
この年度末から『消費税申告期限延長届出書』の提出が可能です 2021.03.22
令和2年度税制改正により、消費税にも、法人税や住民税で可能だった申告期限の延長が認められるようになりました。すでに法人税で申告期限延長を適用している法人にとって、法人税の申告作成過程で生じた消費税の申告内容の変更に期限内で対応でき、決算期末から申告までの事務負担の軽減にもつながります。
この改正は、令和3年3月31日以降に終了する事業年度の属する課税期間から適用されます。延長申請は「適用を受けようとする事業年度の属する課税期間の末日まで」で、この年度末決算から適用するのであれば、『消費税申告期限延長届出書』を今月31日までに提出する必要があります。
ちなみに、消費税の還付を早く受ける等の理由により「消費税の課税期間の特例」を選択している法人は、事業年度の初日から3か月または1か月ごとに区分した各期間を課税期間として消費税の申告をしています。ただこのような場合、事業年度の各課税期間のうち事業年度の末日に属する日の課税期間のみ、申告期限の延長が適用されますので注意が必要です。
伊賀の豆腐田楽 2021.03.15
この時期としては季節外れのはげしい雨のなか、新名神甲南ICから油日・柘植を経由し名阪国道を西に、三重県伊賀上野にある文化年間(江戸時代)創業の『田楽座 わかや』へ行ってきました。わかやは豆腐田楽で有名な店。豆腐田楽とは串に刺した豆腐に、砂糖やみりんを加えた味噌を塗付けて焼いたもの。海から遠い伊賀盆地では古くから栄養価の高い豆腐作りが盛んで、この豆腐田楽もこの地の人たちによく食べられてきました。
店の外観は昔ながらの落ち着いた造り。吹き抜けの店内は味噌を炭火で焼く香ばしいにおいで充満していました。ここで出される豆腐も味噌もこの店特製のもので、いずれも丁寧に作られていて、ごはんに乗せると淡白な白米の味にもよく合います。開店の11時に入りましたが、名古屋や京都の他府県のお客さんも多く、感染症対策で間隔をとっていたこともあり、早々に満席になっていました。
食事の後は雨上がりに、すぐ近くにある上野城を散策。城自体は1935年に復元されてものですが、純木造で再建された優美な天守や建築当時の石垣など、その時代の雰囲気がそのまま残されています。
「JTBの減資」で気づくこと 2021.03.08
新型コロナウイルスで大きな損失が発生してる大企業、なかには減資して税負担を軽くしようとする会社が出てきています。大手旅行会社JTBも資本金を現在の約23億円から1億円に減資し、資本金1億円以下の中小企業として税負担を軽減していくとのこと。このような報道を耳にすると、われわれ税理士の関与先法人はほとんどが資本金1億円以下の中小企業で、ふだん税額の軽減措置を当たり前に適用していることに気づかされます。
たとえば、会社は税務上赤字が生じても翌期以降に繰越して、繰越した期の所得額と相殺することができます。しかし、原則相殺できる金額は所得額の50%の金額、当期赤字額1000万円で翌期500万円の所得額が生じても相殺できる赤字額は250万円(500万円×50%)まで。一方、中小企業(中小法人等)は所得額の全額まで相殺が可能、つまり翌期の500万円所得額はすべて当期の赤字額と相殺できます。
法人税率についても現在23.2%が適用されていますが、中小企業(中小法人等)に限り年800万円以下の所得に対し15.0%へ軽減されています。つまり実効税率34.26%→25.24%、所得金額800万円で約70万円の税額減少で小規模事業者にとって貴重な税負担の軽減です。ただ、中小企業(中小法人等)に該当するか否かは、たとえ資本金が1億円以下であっても、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有されているなど、中小企業(中小法人等)に該当しない場合もあり個別に確認する必要があります。
消費税、来月より総額表示の義務化・10月よりインボイス制度の事業者登録がスタート 2021.03.01
2019年10月から始まった消費税の税率10%引上げと軽減税率の導入、早いものであれから1年半が経過しようとしています。現在おこなっている令和2年分確定申告、それに法人の決算でも、リース取引など以外に基本的に旧税率が存在することがなく、決算作業も導入当初より煩雑になることはなくなっています。
ただ、今年2021年は、消費税等について、ふたつの大きな制度がスタートします。ひとつは、来月4月1日より、消費者が商品を購入する際の値札やカタログなどの価格表示について、消費税等を含んだ支払総額で表示する「総額表示」が実質的に義務化(税抜表示を認めた経過措置の終了)されます。たとえば本体価格が10,000円の商品の場合、値札等には「11,000円」と顧客の支払総額を記載する必要が出てきます。
また、2023年10月から適用される「インボイス制度」により、事業者が消費税の仕入税額控除を適用するには「適格請求書」等の保存が必要になります。この「適格請求書」等、取引の売り主側が発行しますが、そのために売り主側は「適格請求書発行事業者」の登録が必要で、登録の申請受付は今年10月1日から開始されます。買い主側は登録を受けていない事業者からの仕入取引は仕入税額控除が制限されるため、売り主側にとって登録の有無は取引をするうえで非常に重要です。2023年10月の「インボイス制度」がスタートする時点で、すでに登録が完了しているよう早めに申請を開始するのがよいでしょう。