日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
2021年8月
白洲正子『かくれ里』と「武相荘」 2021.08.30
先週末は久々の晴天だったので、滋賀の紀行エッセイで著名な白洲正子『かくれ里』に登場する「石馬寺」(東近江市五個荘)へ行ってきました。もとより感染対策を考え、車による移動で朝早くの拝観だったので他に訪れる人もなく、すずやかな古刹の雰囲気を独り占めしているよう。山の中腹に開かれたこの禅寺 石馬寺にたどり着くには、少々息のあがる「かんのん坂」という石段の坂を登りますが、乱れ積み石の苔の美しさや蝉の鳴き声、横を流れる水音に癒され疲れを忘れさせます。そして、石段を登り切って境内にある建物は意外と簡素な造りですが、宝物が安置されている宝物殿には多くの文化財があり、十分に見応えがありました。
それから、写真は昨年秋に東京へ行った際に訪れ、まだブログで紹介していなかった「旧白洲邸 武相荘(ぶあいそう)」(東京都町田市)。ここは正子が夫 白洲次郎と亡くなられるまでの約50年間暮らした家で、記念館として2001年にオープンされたもの。「武相荘(ぶあいそう)」とは、白洲次郎の洒落で「武蔵の国と相模の国との国境に位置する」から名付けられました。
これは次郎が実際に制作した門前にある新聞受けで、丸太をくりぬいた臼の上の「〒」と「しんぶん」の文字は自ら彫って着色したとのことで、彼のユーモアのセンスがよく表れています。緑の林に囲まれた茅葺屋根の母屋の内部には、正子の蔵書でいっぱいになった書棚、応接室の陶器やリビングの雑誌など、当時のままに置かれていて二人の生活の様子を垣間見ることができます。
「消費税インボイス制度」、免税事業者は対応の検討を 2021.08.23
令和5年10月1日から、消費税は「適格請求書等保存制度」(いわゆる「インボイス制度」)が導入され、課税事業者である買い手は「適格請求書(インボイス)等」を保存しないと仕入税額控除を受けることができなくなります。これによって、売り手としては「適格請求書(インボイス)発行事業者」になる必要が出てきて、そのための「適格請求書発行事業者の登録申請書」の受付が、令和3年10月1日より各所轄税務署にて開始します。
最近われわれ税理士が参加する研修でも、消費税インボイス制度をテーマとするものが多くなってきまました。弊所でも関与先様へインボイス制度を簡潔にわかりやすく解説したTKC冊子「消費税インボイス制度特集号」を配布して、事前に対応できるようにさせていただいています。
インボイス制度の中で気を付けないといけないのは、免税事業者(基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下)は取引先が仕入税額控除を受けるため、その免税事業者が「適格請求書等」を発行し、あえて課税事業者になるかどうかの問題です。顧客が消費者のみの場合などを除いて、多くの免税事業者は買い手と取引を続けるため、新たに消費税の申告・納付が発生しても、課税事業者を選択するのではないが予想されます。いずれにしても、免税事業者の方はご自身の事業実態等を踏まえ、課税事業者を選択するがどうか検討が必要になってきます。
「滋賀県事業継続支援金」、7・8月売上減少は「第2期」で対応します 2021.08.16
収束する気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大ですが、それにともない2021年4月~6月の月で50%以上売上減少した県内中小企業者等が支給対象者だった「滋賀県事業継続支援金」は、8月6日付滋賀県ホームページで、「第2期」として7~8月で売上減少した中小企業者等にも、別枠で支給することが公表されています。
この「第2期」の支給対象者の範囲は・・① 国の「月次支援金」を2021年の7月または8月のいずれかの月で受給された中小企業者等 ② 2021年7月または8月のいずれかの月の売上が2020年または2019年の同月に比べて50%以上減少した中小企業者等 ③ 2021年7月と8月の売上の合計が2020年または2019年の7月と8月の売上の合計に比べて30%以上減少した中小事業者等・・となっています。
8月4日から受付を開始している「滋賀県事業継続支援金」(第1期)の支給対象には、上記③のように各月を合算して判断する条件(かつ減少率も50%から30%へ緩和)はなかったので、「第2期」の支給対象は一部拡充されたものになっています。また、「第2期」も1事業者につき1回までの申請となっていますが(支給額:中小企業等 20万円、個人事業者 10万円)、「第1期」と「第2期」の重複受給が可能ですので、あらためて7~8月の売上高を確認する必要があります。(9月中に申請受付開始予定)
4・5月分「月次支援金」、申請期限が8月15日に迫っています 2021.08.10
6月16日から申請がスタートした中小法人・個人事業者への緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響を緩和する「月次支援金」(給付額:中小法人等 上限20万円/月、個人事業者等 上限10万円/月)は、4月分/5月分の申請期限が8月15日(日)に迫っています。ここで注意すべき点として、申請前に「登録確認機関での事前確認」が必要になりますが、確認が受けられるのは申請期限(8月15日)の数日前までですので、この日程も考慮して申請をする必要があります。
ご承知のとおり、8月8日(日)から滋賀県にも「まん延防止等重点措置」が適用(全13市)され、飲食店などに午後8時までの時短営業と酒類の提供停止を要請しています。8月分の「月次支援金」については、適用前までは「BtoC事業者(Y‐3区分)」の事業者(対象措置実施都道府県の個人顧客との継続した取引のある事業者全般)として給付申請することが多かった中小法人等が、適用後はその給付対象が広がることが予想されます。(売上が2019年または2020年の同月比50%以上の減少が必要)
また、「月次支援金」が受給されたことを示すもの、その他書類を提供することで申請できる「滋賀県事業継続支援金」(給付額:中小法人等 上限20万円、個人事業者等 上限10万円(1回限り))は、4月分/5月分/6月分対象の第1期の申請受付が8月4日(水)から開始しています(9月30日(木)まで)。こちらもあわせて申請することをおすすめします。
「事業再構築補助金」、第3回公募を開始 2021.08.02
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援する「事業再構築補助金」、7月30日(金)18:00から第3回の公募を開始しています。公募期間は9月21日18:00までで、申請の受付開始は8月下旬を予定していることのことです。
ところで、前回第2回公募では「事前着手承認制度」について、『第3回公募以降では、事前着手の対象期間の運用について見直しを行う場合がありますので、ご注意ください。』(公募要領(第2回)22ページ)とありましたが、今回も「事前着手承認制度」は採用されることになっています。したがって、公募開始後に「事前着手承認申請書」を提出し承認されれば、第3回公募でも令和3年2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象になり得ます。(ただし、設備の購入等では入札・相見積が必要で、補助金申請後不採択になるリスクがあります)
また、今回第3回公募の内容は前回の第2回公募と比較して大きな変更はありませんが、主な変更点については(1)最低賃金枠の創設(補助率3/4に引上げ) (2)通常枠の補助上限額の見直し(従業員数51人以上 最大8,000万円、従業員数101人以上 最大1億円)(3)その他の運用の見直しで、中小企業庁の事業再構築補助金ホームページの中でまとめられています。