税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

2024年3月

交際費から除外される飲食代の基準、5千円以下から1万円以下へ引上げ 2024.03.31

法人が、その得意先仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する交際費。飲食等のために要する費用であっても、支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5000円以下である費用があれば、その交際費等の範囲から除外されてきました。昨今は物価上昇で飲食費が高騰しており、飲食業界を側面から支援する狙いから1万円以下に引き上げられ、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用されます。広報誌「ファイナンス」 (mof.go.jp)

一方で、個人事業主やフリーランスの人は交際費の額に制限はなく、業務を行ううえで必要なものであれば、接待交際費についても必要経費として計上することができます。個人事業主やフリーランスの方にとってどのくらいの交際費が適切なのかは判断が難しいところですが、国税庁でも特に基準を示していないので、法人のように損金算入限度額という観点ではあまり考える必要はないかもしれません。

また、1万円以下かどうかは、税抜経理を採用している場合は税抜金額で判断します。したがって、インボイス制度開始後はインボイス発行業者でない店で飲食等を行った場合、支払金額に消費税はないものとされるため、領収書に消費税額が記載されていたとしても、消費税額を本体価格に含めた総額で1万円の判定を行わなければなりません。ただ、令和8930日までは経過措置があるため、仕入税額相当額の80%(令和11930日までは、仕入税額相当額の50%)を仕入税額として控除(具体的には、税込金額 10,784円以下)できます。

滋賀県、中小賃上げ促進へ「滋賀県未来投資総合補助金」新設 2024.03.24

滋賀県は三日月知事の18日の記者会見で、長引く物価高騰など厳しい状況にある滋賀県内に事務所または事業所を有する中小企業や小規模事業者のために、構造的な賃上げの実現や生産性向上や新事業展開の取組を後押しし、賃上げの原資となる付加価値額の増加を図るための滋賀県未来投資支援事業として、322日(金)から「滋賀県未来投資総合補助金」の募集を始める(522日(水)まで:申請額が予算に達すると見込まれる時点で受付を終了)と発表しました。240318_滋賀県未来投資総合補助金_A4 (shiga.lg.jp)

対象となる事業は、(1)生産性向上(DXによる生産・業務の効率化など)(2)新事業展開(成長分野参入のための設備導入、新商品・新サービスの開発など)(3)人材育成(従業員のリスキリング用経費など)で、人手不足・2024年問題・DXCO2ネットゼロ・インバウンドの取り込みなど、滋賀県の課題解決に資する、事業者が行う未来を見据えた意欲的な取組に対し必要な経費の一部を補助することが目的になります。令和6年3月22日(金)より「滋賀県未来投資総合補助金」の申請受付を開始します!|滋賀県ホームページ (shiga.lg.jp)

補助金の通常枠は「上限50万円・補助率2分の1」ですが、従業員の平均賃金を2.5%以上引き上げれば「上限100万円、補助率2分の1」または「上限50万円、補助率3分の2」という優遇枠もあります。事業者向け説明会(開催方法:Zoomウェビナー、概要説明40分・質疑応答20分)がオンラインで今週3月26日(火)14:0015:00 13:50より入室可能)に開催されるので、まず興味のある方はこの説明会に参加されたらいかがでしょうか。参加申込は専用ポータルサイトの「説明会参加申込フォーム」より申込ができるようになっています。

中小企業向け「賃上げ促進税制」、5年間の繰越しが可能に 2024.03.17

連合が先週発表した賃上げ要求の平均は5.85%、30年ぶりの5%超えで昨年の4.49%を大幅に上回ったとのこと。今後、われわれ税理士が関与する中小企業の回答や雇用労働者の約4割を占める非正規雇用労働者の賃金についてもどうなるかですが、政府も中小企業向け「賃上げ促進税制」を強化して、賃上げに取り組む企業・個人事業主を税制から支援しようとしています。chinnagesokushinzeisei2024.pdf (meti.go.jp)

「賃上げ促進税制」とは、企業が従業員(役員、親族などは除く)の給与を増やせば、法人税から一定額を差し引ける仕組みのこと。令和6年4月1日からの間に開始する各事業年度(令和9年3月31日まで:個人事業主は、令和7年から令和9年までの各年が対象)については、青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人、農業協同組合等)又は従業員数1,000人以下の個人事業主を対象に、全雇用者の給与等支給額の増加額の最大45%(改正前 40%)を税額控除されることになりました。

中小企業のなかでこれまで制度を利用できなかった赤字企業に対しても賃上げを後押しするため、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越しが可能となり、翌期以降の税額から控除できるようにします。ただ、中小企業の控除額の繰越については、5年間の繰越控除の適用年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えている必要があり、また将来黒字化した時に控除を受けたいという意思表示のため、申告書に一定の書類(別表六(二十六)、繰越税額控除限度超過額の明細書)の添付が必要になります。

完全親会社への配当等、支払調書の提出は不要です 2024.03.10

令和5101日以後に支払を受けるべき配当等で「完全子法人株式等」及び「発行済株式等の1/3超を有する株式等のうち、自己の名義をもって有するもの」(内国法人に限る)に係る配当等については源泉徴収が不要となりました。これは以前にもお話した会計検査院の指摘(201719年度にのべ888社で約36500万円の還付加算金が生じていた)や源泉徴収事務の効率化などに基づく改正です。0023004-040.pdf (nta.go.jp)

一方で『配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書』という法定調書の1つがあり、配当を行う法人が株の配当金や利益剰余金の分配、配当を実施した場合、これらを受け取る対象ごとに「配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書」を作成し所轄税務署へ提出(原則13万円超、支払確定日または支払日から1ヶ月以内)します。また、配当金や剰余金等を受け取る方へそれぞれ同支払調書を交付します。F1-9 配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書(同合計表)|国税庁 (nta.go.jp)

しかし、税務署へ尋ねたところ、源泉徴収を要しない完全子会社法人株式等に該当する株式等に係る配当等については、配当等の支払調書の提出は要しないとのことです。また、所得税徴収高計算書(納付書)についても配当の支払が完全親会社等にのみである場合、給与の支払いときのような支払額を記載して税額をゼロと記載することはなく、納付書自体提出することは不要です。

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