日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
所得拡大促進税制の改正で申告がいくぶんラクに 2019.05.27
個人の所得を増加させる目的で、従業員に対する給与・賞与を増加させた場合に税額控除が受けられる「所得拡大促進税制」、平成30年4月1日に開始する事業年度、つまりこの3月末事業年度の決算から大幅に改正されました。3件ある適用要件 『① 給与等支給額の基準事業年度からの増加要件 ② 給与等支給額の前年度からの増加要件 ③ 平均給与増加要件』のうち ①、②が廃止され、また③の『平均給与増加要件』についても、継続雇用者が「当期および前期の全期間の各月において給与等の支給のある雇用者」に限定され、改正前のように前期中に採用された雇用者または当期中に退職した雇用者を含める必要がなくなりました。
改正前までは、前期および当期の「平均給与」を算出するため、対象になる継続雇用者の給与等支給額を集計し、その継続雇用者の月ごとの人数をカウントし・・今までなかった新たな作業が必要でしたが、改正後は対象となる継続雇用者が前期・当期も同じで、各給与等支給額の合計額を比較するだけで適用の可否判断ができるようになります。景気の浮揚のため、賃上げに取り組む企業の支援を目的とした制度でしたが、計算の煩雑さも指摘されていました。今回改正により適用要件が簡素化されたことは、税務申告書を作成する我々税理士にとってもありがたいことです。
筍(タケノコ)をいただく 2019.05.20
関与先様から裏庭でタケノコがたくさん取れていると聞き、昨日は掘りたてをいっぱいいただきに行きました。調べてみると、これは淡竹(ハチク)という種類のタケノコで、収穫の最盛期は5月中旬から6月上旬ごろ。(写真左:地中から出た状態、右:掘出したもの)掘りたてはクセもなく生食も可能とのことですが、持ち帰ったその日に湯掻いて食べることにしました。
話しは変わって・・写真は先週、懇親会のあった浜大津『肴や ま㐂の』での風景で、その料理の中の栄螺(サザエ)やホタルイカのしゃぶしゃぶなど。ホタルイカはそのままでも食べられるということで、わたしは生のまま醤油で食べることに。
最後は、土鍋で炊き込んだ喉黒(ノドグロ)とタケノコのご飯、そして猪肉の赤出汁。魚はどれも新鮮で、料理も趣向が凝らされていて美味しかった。ご招待いただいた関与先様には本当に感謝です。
固定資産税は未払計上ができます 2019.05.13
毎年5月はいろいろな税金の納付書が届く月で、固定資産税、自動車税、軽自動車税、そして個人事業者の方で延納手続きをされている方は、利子税を含めて延納分の所得税及び復興特別所得税の納期限でもあります。その後も、6月からは住民税の納税がスタート、7月からは所得税の予定納税(7月、11月)や個人事業税(8月、11月)など。
そこで、個人納税者の関与先様には各種税金の納付もれがないよう、確定申告の説明の際、事業所得や不動産所得にかかる税金(所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、住民税、個人事業税)について、確定申告以降の『月別納税予定試算額の確認表』をお渡しすることにしています。
ところで、固定資産税は毎年5月の日付で納税通知書が各納税者に発せられ、納期を年4回に分割し、通常は同年の5月、7月、12月および翌年の2月の各月末がそれぞれの納期限(大津市の例)とされています。たとえば6月30日を事業年度終了の日とする法人が(全期分を前納するのではなく)分割納付する場合、事業年度末の6月30日にはその年の納付通知書がすでに発せられていますので、7月分(第2期)、12月分(第3期)、翌年2月分(第4期)を未払金計上(租税公課 × × /未払金 × × )することにより、当該事業年度の損金にすることができます。個人事業者は12月末決算のため、翌年2月分(第4期)は未払計上でき、所得税等を節税することができます。
大山崎山荘へ行く 2019.05.07
連休中とくに遠出することもなかったですが・・とある一日、京都府と大阪府の境の大山崎町にある「アサヒビール大山崎山荘美術館」へ行ってきました。そこへ行くにはJR山崎駅で下車しますが、手前の停車駅である長岡京駅や桂川駅の喧騒に比べると、山崎駅の駅前はひっそりしていて、古風な駅舎と近くをはしる旧西国街道のマッチングはなかなか趣きがありました。目的地へは、天王山登り口(写真左)から急な坂道を少し行ったところを右に折れ、レンガ造りのトンネル「琅玕洞」(写真右)をくぐると山荘の広大な敷地になります。
この大山崎山荘、もとは大正から昭和初期に実業家 加賀正太郎が別荘として自ら設計した英国風の山荘(写真左)で、復元整備が行われ1996年より美術館として一般に公開されています。山荘のテラスから見える白い建物 「栖霞楼」(写真右)は、加賀正太郎が山荘建設の指揮をとるため敷地内に最初に建てさせたもの。また、建物の地中館(建築家 安藤忠雄設計)には、常時印象派の巨匠クロード・モネの2種類の「睡蓮」ほかが展示され、現在は企画展として日本で作陶を学んだ英国人 バーナード・リーチによる陶芸作品も「バーナード・リーチ展」として公開(6月9日まで)されています。ここ大山崎は古くから交通の要衝として栄えた土地柄で、歴史的に由緒ある寺院や有名なスポットが多く、静かにのんびり散策するにはもってこいのエリアだと思いました。
SWOT分析とクロスSWOT分析 2019.04.30
先週4月26日、MBA・中小企業診断士・認定支援機関の田中 清行先生を講師にお迎えし、近畿税理士会草津支部の研修会『認定支援機関による経営改善計画策定支援の勘所』が開催されました。「認定支援機関(経営革新等支援機関)」とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるため、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関で、わたしも含め、多くの金融機関、税理士、公認会計士などが認定されています。
研修のなかで田中先生は「経営改善計画」を策定する手法として、会社の経営者と共に、内部環境(会社組織内部)の ①強み<Strengths>② 弱み<Weaknesses> 、外部環境(社会、経済、法律、競合環境)の ③ 機会(ビジネスチャンス)<Opportunities> ④ 脅威<Threats>のそれぞれをカテゴリーで分析する「SWOT分析」と、そのSWOT分析で列挙された特徴を項目ごとに掛け合わせる「クロスSWOT分析」を解説していただきました。簡単に説明すると、機会(ビジネスチャンス)に対しては、強みを活かしてチャンスをモノにし弱みは外部経営資源により補完する。また、脅威に対しては、強みを活かし弱みは克服して脅威の影響を受けないよう経営戦略を検討するやりかたです。
ただ、このような過程を経たとしても、実際に経営改善にいたったケースは法人のうち約半数とのこと。(といっても、対象法人の半数が改善していること自体すごいと思いますが・・)税理士のなかには「経営コンサルティング」や「経営指導」はメインで行わないと言われる方も多いです。しかし、AIによる代替可能性が高い職業とされる税理士にとって、このようなコンサルティング業務とどう向き合うべきか、あらためて考えさせられる研修になりました。
4月1日から相続した空き家で節税しやすくなりました 2019.04.22
相続した空き家の敷地等を売り、一定の条件を満たした場合、譲渡所得から3000万円を控除できる特例(空き家譲渡特例)を受けるには、今年(2019年)12月31日までに譲渡する必要がありましたが、平成31年度税制改正により2023年12月31日まで4年間延長されました。これにより、どうしても本年中に(価格を下げてでも)売却しなくてもよく、来年以降でも適用要件を満たし、かつ、現在売却先を探されている方には朗報といえます。ただ、相続開始後、3年を経過する年の12月31日までに相続した空き家を譲渡する必要がありますので注意が必要です。
また、従来は被相続人となる親が相続発生の数年前に老人ホームなどに入所していると適用されないケースが多かったのが、以下①、②の条件を満たしていれば3000万円の控除が認められ、適用要件のハードルがすこし下がりました。『① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと ② 被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。』この新ルールは、税制改正法案の成立・公布後の「2019年4月1日以後の譲渡」から適用可能です。残念ながら3月31日までに譲渡してしまった方には適用されず、改正前の条件で判定することになります。
海津大崎の桜並木 2019.04.15
週末日曜が雨予報でしたので、土曜日のうちに滋賀屈指の桜の名所、高島市マキノ町の海津大崎へ行ってきました。ここは琵琶湖にせり出した唯一の岩礁地帯で、1936年大崎トンネルの完成を記念して現在約800本のソメイヨシノが湖岸4キロに沿って植樹されています。まずはその桜並木に行く前に、海津大崎入口にある「古民具・古道具&カフェ 海津」で休息。お店は築約二百年の蔵を改造した小さな骨董店兼カフェ。店内にはたくさんのアンティーク品が展示され、また琵琶湖を一望することができるテラスからは、桜並木を遠くから鑑賞することができます。
その後、「日本さくら名所100選」にも選定されている「海津大崎の桜並木」へ。湖岸沿いを歩いてみると、静かで神秘的な湖面の蒼色とせり出した桜の色とのコントラストが素晴らしく、湖水の波音も耳に心地よかった。日中は快晴で沖に竹生島も霞んで見え、ことし最後になるであろう花見を十分に堪能することができました。
法人成りの税務上のメリットとは 2019.04.08
3月に個人納税者の確定申告が終了し、4月には振替納税による指定口座から納税額の引き落しがあります(所得税および復興特別所得税 22日(月)、消費税等 24日(水))。個人事業者のなかには、「いっそ法人成りした方が納税額は少なくて済むのでは」と考えられる方もいるかもしれません。個々の事業の内容にもよりますが、事業所得が大きいほど法人成りの税務上のメリットはあるといえそうです。
法人成りによる主なメリットは、① 事業所得が大きいケースで考えると、所得税率は所得金額に応じて税率が高くなる仕組み(超過累進税率)ため「事業所得による所得税等・住民税・個人事業税」より、「法人が納税する(基本的に税率が一定)法人税等・住民税・法人事業税等」および「事業主・専従者給与者が受け取る役員報酬(給与所得)の所得税等・住民税」の合計額の方が少なくなる可能性がある ② 経営者が受け取る役員報酬の所得税等の計算で、給与所得控除が適用される。たとえば、事業所得額が1000万円(専従者給与控除前)あり、法人成りで役員報酬を事業主およびその親族に各 年500万円の役員報酬を支給した場合、給与所得控除額は 計308万円(平成30年分) ③ 設立法人開始時の資本金が1000万円未満の場合、1期目と2期目は原則として消費税の免税事業者(2期目は特定期間(前事業年度の上半期)の課税売上高および給与等支払額が1000万円を超えた場合は課税事業者)④ 法人が役員に支給する退職金は原則法人の経費にすることができる(個人事業では事業主自身に対する退職金は必要経費になりません)などがあります。
もちろん、法人成りにあたっては、司法書士などに支払う設立費用が必要だったり、新たに社会保険の加入義務が発生したり(もっとも、長い目で見たらメリットとも言えますが・・)、法人提出の申告書により添付書類が多くなったり等のデメリットもあります。いずれにしても、個々の事業内容に応じて、具体的な数値を基に検討されることをお進めします。
東大寺の桜 2019.04.01
いわゆる「花冷え」で肌寒い日の続くなか、昨日は奈良公園から東大寺にかけて、咲き始めの桜を鑑賞してきました。東大寺の大仏殿へ続く参道は多くの観光客であふれんばかりでしたが、途中あった南大門の2体の仁王像(国宝)はなかなか見応えがありました。仁王像はどれも高さ8メートルを超える寄木造りで、下から眺めると表情や筋肉などかなりの迫力です。こんな仁王像がだれも見られる屋外に安置されているところが、東大寺のすごいところだと思います。
それから行ったのが、すこし離れたところにある二月堂(国宝)。旧暦2月には有名な「お水取り」が行われますが、ここまで来ると観光客も少なくひっそりしたたたずまい。脇に灯篭が並んでいる石段を登り、たどり着いた堂内からは奈良市街を一望することができます。そして、昼食はいつも行く超人気カフェ「くるみの木」へ。旬の食材や奈良県産の野菜がふんだんに使われているランチメニューは、どれも季節感いっぱいであいかわらず美味しかった。
京のお茶漬け 2019.03.25
先週お彼岸の中日に京都へお墓参りをしたあと、昼食で「丸太町 十二段家」へ行ってきました。ここは、御所のちかく、烏丸丸太町の交差点から徒歩1分のところにある「お茶漬け」と出す店いうことですが、店員さんの説明では、ここでいう「お茶漬け」とは、京言葉で身近な人にふるまう簡単な食事のことをいうそうです。
開店の11時半のすこし前に行くと、もう何人か来店の方が並んでおられます。外の町屋造りの店構えといい、なかの板間の上の座布団に丸いちゃぶ台のスタイルといい、京都らしい佇まいです。そして出された「お茶漬け」のコースですが、刺身、魚のたたきの和え物、出し巻、赤だし、漬物盛り合わせにご飯と「簡単な食事」どころか、質量ともに十分に堪能できるものばかり。しばらくして、季節の一品として若筍、蕗(ふき)、わかめと湯葉を炊いたものまで出て、ここまでくると完食するのがたいへんでした。わたしにとっては店員さんの京言葉でする丁寧すぎるぐらいの接客や文化人とおぼしきお客さんたちを見ると、いかにも昔からある京都の店だと感じました。食べ終えて店を出ることには、もうお客さんが店の外まで並んでおられました。