日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
各税務署では、免税事業者向け「登録要否相談会」を開催 2023.05.15
国税局は4月に入って、消費税インボイス制度について4月以降の具体的な取組みを公表しています。これまでは、おもに消費税の課税事業者に対し、インボイス制度への周知のための対応や準備の後押しが行われていました。その結果、法人の課税事業者の88%(1,681件)、個人事業者の課税事業者の76%(575件)がインボイスの登録を済ませる(全体では76%(2,256件))ことになりました。
今後、国税庁としてはインボイス登録の検討が必要な免税事業者向けに、① 幅広い事業者に制度の関心・周知を広げる取組み ② 登録するか否かを検討している事業者に対する対応を行っていくとのことで、①の関心・周知を広げるためとして、制度をあまり知らない方でもインボイス制度を学ぶことのできるコンテンツ(YouTube国税庁動画チャンネル)がすでに公開されています。インボイス制度に関する情報ガイド|国税庁 (nta.go.jp)
また、②の登録するか否かを検討するサポートとして、5月より全国の各税務署では「インボイス制度説明会・登録要否相談会(事前予約制)」を実施しshiga02.pdf (nta.go.jp)、相談を希望する免税事業者に対し税務署職員が個別に対応するとのことで、草津税務署(077-562-1315)でも ① 5月23日(火)(事前予約締切 5月16日)・② 6月20日(火)(事前予約締切 6月13日)・③ 7月20日(火)(事前予約締切 7月13日)のほか8月・9月の計5回(場所:草津納税協会 3階会議室、14:00~15:15)されます。中小・小規模事業者(免税事業者)のなかで、インボイス登録の要否の判断に迷われている方、署の職員へ個別の相談も可能ですので、一度参加されてみてはいかがでしょうか。
大型連休の美術館めぐり 2023.05.06
ゴールデンウィーク後半、先週にひきつづき良さそうな美術館を訪ねるため、今回は新幹線から見事な富士山を眺めつつ東京に行くことに。まずは、東京メトロ 要町駅から徒歩10分のところにある「熊谷守一美術館」豊島区立 熊谷守一美術館 (kumagai-morikazu.jp)。周辺はごく普通の住宅街で、公立(豊島区)のこじんまりした建物(熊谷の家(アトリエと庭)跡地)に彼の1960-70年代の作品が展示されています。現在は「38周年展」が行われていて、彼独自の画風(はっきりとした輪郭線や鮮やかな色彩)の風景画、静物画や生物の絵画、墨画などを鑑賞することができました。
それから行ったのが、東京メトロ 表参道駅から表参道を徒歩10分のところにある「根津美術館」根津美術館 – Nezu Museum – (nezu-muse.or.jp)。ここは実業家だった根津嘉一郎の日本や東洋の古美術コレクションを保存・展示するために建てられた美術館。いまは年一回カキツバタの見頃に合わせ「(国宝)燕子花図屏風(尾形光琳)」が公開中。日本絵画の代表作で教科書にも登場する作品は、金屏風にカキツバタを緑青と群青の2色の絵の具のみで描かれていて、江戸時代中期に描かれた日本画にもかかわらず現代アートにも通じるような表現方法になっています。
館内の庭園ではすでにカキツバタが満開になっていて、庭内にはいくつかの茶室や池があり、散策したり来館者がお茶をいただけるスペースもあります。これらカキツバタは30年ぐらい前からすこしずつ庭園に植えられるようになり、いまでは約4,000株にもなったとのこと。国宝のカキツバタを鑑賞し、その後は自然の中のカキツバタを楽しむという、なかなか贅沢な時間を過ごすことができました。
「藤田美術館」の「曜変天目茶碗」 2023.05.01
週末、所用で大阪に行ったついでに、最近リニューアルオープンしたガラス張りのおしゃれな外観の「藤田美術館」(JR大阪城北詰駅すぐ)藤田美術館 | FUJITA MUSEUM藤田美術館 | FUJITA MUSEUM (fujita-museum.or.jp)へ行ってきました。美術館のとなりは実業家の藤田傳三郎が明治時代に造営した大邸宅の跡地に開かれた「藤田邸跡公園」があり、街中にもかかわらず静かなたたずまい。庭の中には1600年代に創建されこちらへ移築した「多宝塔」などがあり、本格的な日本庭園を楽しめます。
また、美術館は藤田傳三郎のコレクションを彼の蔵だったところに展示しているため、入口や窓などはそのまま蔵の扉を残してモダンな造り。内部は照明をできるだけ落とし展示物にスポットライトをあて、作品に集中して鑑賞できるよう工夫されています。館内にはお茶を楽しむ広々としたスペースもあり、となりの庭を観ながらゆったり過ごすこともできました。
展示物の中でも特に有名なのが、つい最近「美の壺」(NHK BSプレミアム)でも紹介されていた国宝の「曜変天目茶碗」。ここの展示物は国宝もふくめて撮影は自由。青色に碗の内外側にみられる光沢のある斑紋(曜変)は独特で、このような茶碗の完成品は世界で3碗しかないそうです。そのほかにも、絵画、書蹟、着物や考古物(勾玉(写真))などのあらゆる時代や種類の所蔵品があり、藤田家のコレクションをゆっくり鑑賞できます。
「ゼロゼロ融資」元金返済開始後、新たな『コロナ借換保証』制度 2023.04.24
ゴールデンウイーク明けの5月8日より感染症法の分類が2類から5類へ変更され、長かったコロナ禍からようやく通常の生活へ戻りつつあります。事業者の中にはコロナの影響で資金繰りが悪化したため、実質無利子・無担保・据置期間最大5年間のいわゆる「(民間)ゼロゼロ融資」を利用されている方も多いと思いますが、2023年7月から2024年4月にかけてその据置期間が終了し、いよいよ元金の返済が始まるとされています。
ただ、まだまだ業績や資金繰りが回復していない事業者も多く、新たに物価高や人手不足による賃金上昇の問題も出てきています。そこで、このような状況に対応するため、2023年1月10日より中小企業庁は「民間ゼロゼロ融資」の返済負担軽減のため、新たに『コロナ借換保証』制度を開始しました。民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。 (meti.go.jp)これは、一定の要件を満たした中小企業者(売上または利益率が5%以上減少など)が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、借入れ後も継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き上げる制度(0.2%等(補助前は0.85%等))です。
この「経営行動計画書」については中小企業庁のホームページにサンプルが掲載keikaku_sample.pdf (meti.go.jp)されていて、伴走支援を受ける金融機関からアドバイスを受けながら作成することができます。加えて、この制度は「民間ゼロゼロ融資」からの借換えだけでなく、「他の保証付融資」からの借換えも可能になっていますので、いちど金融機関や最寄りの信用保証協会にお問い合わせされたらいかがでしょうか。(取扱期間:2024年3月31日まで(予定))
消費税申告書等の新様式、「2割特例」に対応 2023.04.17
10月より開始する消費税インボイス制度、その登録件数は累計268万件(法人・個人事業者)に達し、当初は伸び悩んでいた個人事業者も3月中に増加、累計件数で85万6,060件、2016年の個人事業主数(198万件)に基づく登録率は43.2%、課税事業者(110万件)では登録率 77.8%となっています。これらは、個人事業者の方々が確定申告の納税時期でインボイス制度に対応された結果と思われます。
また、免税事業者など小規模事業者がインボイス発行事業者になった場合、税負担・事務負担を軽減するため売上税額の2割を納税額とする、いわゆる「2割特例」の負担軽減措置の導入(令和8年9月30日の属する課税期間まで)があります。この「2割特例」では経費等の集計やインボイスの保存は必要なく、所得税・法人税の申告で必要な売上高・収入高を税率ごと(10%・8%)に把握するだけで簡単に申告書を作成することができます。invoice.pdf (mof.go.jp)
そして、国税庁は3月31日付で、「2割特例」の適用等に対応する消費税申告書等の新様式を公表しました。「消費税の軽減税率制度に関する申告書等の様式の制定について」等の一部改正について(法令解釈通達) |国税庁 (nta.go.jp)この新様式では、「2割特例」の適用を受けることを示す『税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)』の欄が設けられていて、この欄に適用を受ける旨を付記することで、事前の届け出なしで適用を受けることができます。ただ、これは継続適用ではなく、その後の基準期間(2年前・2期前)における課税売上高が1千万円を超えた場合は、「2割特例」の対象とはなりません。いったん「2割特例」を適用できた事業者も、基準期間の課税売上高を確認する必要が出てきます。(財務省『インボイス制度の負担軽減措置のよくある質問とその回答 』問4(qa_futankeigen.pdf (mof.go.jp))
「賃上げ」と「賃上げ促進税制」 2023.04.10
最近の報道では「賃上げ」や「初任給の引上げ」を表明する企業が相次いでいて、これは上乗せ措置の適用により給与等支給増加額に対し最大30%(基本15%)の税額控除率となる「大企業向け賃上げ促進税制」も後押しているのは間違えありません。そして「賃上げ促進税制」は、中小企業向け(最大40%(基本15%))chinnagesokushin04gudebook.pdf (meti.go.jp)も含めて、その制度の内容で少なくとも令和6年3月31日までに開始する事業年度まで適用されます。
ただ、中小企業は大企業ほど「賃上げ」に積極的でないとの報道もあります。そもそも中小企業の黒字企業割合は53.7%(2022年TKC経営指標より<黒字企業割合は53.7%(対前年比1.9ポイント増)>令和4年版「TKC経営指標(BAST)」を発行 ―全国354金融機関等で融資審査などに利用― | ニュースリリース | TKCグループ)で、税金を支払っていない赤字企業にとって、残念ながら「賃上げ促進税制」の恩恵を受けることはできません。また、黒字企業でも注意しないといけない点は、この制度には「控除上限」として「当期の法人税額の20%」は設けられていることです。前期以前からの繰越欠損金のため、「控除上限」により計算した税額控除限度額まで控除できず、あてが外れるケースもあり得ます。
従業員の方の給与をいったん上げてしまうと簡単に下げることは難しいですし、この制度は役員や親族に対する給与等は対象外です。また、給与額の他に社会保険料や退職時に発生する退職金の負担増についてもある程度考えておかなければいけません。「賃上げ」自体はたいへん歓迎すべきことですが、「賃上げ促進税制」を見越した「賃上げ」については慎重に判断する必要があると思われます。
「ChatGPT」TKC全国会ネットワークにアップ 2023.04.03
3月30日のネット・ニュースによると、米国ウォール・ストリート・ジャーナルやフォーブスは「高度な言語能力を持つ生成人工知能(AI)は、さまざまな専門職が現在行っている仕事の多くを迅速にこなすことができる」と米国の最新研究を基に報じていて、税理士はこの生成AIの一つである「ChatGPT」ChatGPT | OpenAIで最も影響を受ける職業のひとつとのことです。
一方で、国税庁は令和4年分所得税および消費税の確定申告の相談について、「チャットボット(ふたば)」チャットボット(ふたば)に質問する|国税庁 (nta.go.jp)を開設し、個人の方が国税に関して質問や相談したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力することによって、生成AI(人工知能)が24時間(土日を含め)自動回答するしくみになっています。現在は税目の相談範囲は所得税・消費税の確定申告・インボイス制度・年末調整で、休止中の年末調整も今年10月頃からが再開される予定です。
TKC全国会でも情報共有のためのイントラネット・サービスである「TKC ProFIT」で「ChatGPT」の使用手順書がアップされ、われわれ会員もそこから「ChatGPT」へ自由にログインできました。現在のところ、質問や相談した返答の内容でいうと課題があり(2021年時点のネット上にある無数の情報をもとに返答を生成し、一般的でないトピックや2022年以降の事象については誤った返答をする可能性が高いため)、人間自身の返答にまったく代わるものではありません。ただ、われわれの日々の業務の効率化や利便性を高めるには、この「ChatGPT」は大いに利用できるのではと思います。
『新規輸出1万者支援プログラム』 2023.03.27
各経済対策を含む令和4年度第2次補正予算が成立したことを受け、昨年12月から経済産業省・中小企業庁・ジェトロおよび中小機構が一体となって『新規輸出1万者支援プログラム』をスタートさせています。20221216001-2.pdf (meti.go.jp)新規輸出1万者支援プログラム:「はじめて輸出」を応援します | ジェトロ (jetro.go.jp)昨今の円安はすべての事業者にとって輸出を新たに始める観点からは好機でもあり、とくにこれまで輸出に積極的でなかった中小企業等にとっても輸出を開始し、海外市場を開拓していくきっかけにもなり得ます。
このプログラムは全国の商工会や商工会議所とも協力しながら、「輸出をはじめて挑戦する事業者」や「輸出する国や製品を拡大したい事業者」への支援を目的としていて、具体的には ① 新たに輸出に挑戦する事業者の掘り起こし ② 専門家による事前の輸出相談 ③ 輸出用の商品開発や売込みにかかる費用への補助 ④ 輸出商社とのマッチングやECサイト出展への支援などが、一気通貫で実施されるとのことです。
また、小規模事業者が自ら経営計画を策定し実施する海外ECサイト構築、越境ECサイトへの出展や海外での展示商談会への参加など販路開拓やそれらの業務効率化のための経費に対しては「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり・商業・サービス補助金【グローバル市場開拓枠】」の資金的な支援を受けられる可能性があります。中小企業者にとってはこの円安はあらたな事業を開始し販路を開拓するチャンスでもあります。興味のある事業者の方は、プログラムを実施しているいずれかの機関へ一度ご相談されてはいかがでしょうか。
北欧デザインのインテリア 2023.03.20
数年前から日本では、モダンであたたかな雰囲気のある北欧デザインのインテリアや雑貨などがブームになっています。滋賀県にも北欧家具や雑貨を取り使う店がいくつかあり、そんな店を見つけてはときどき訪ねたりしています。この北欧デザインとは、デンマーク・スウェーデン・フィンランド・ノルウェーなどの北欧諸国から発信されるデザインで、それらが生まれる背景には、夏が短く冬が非常に長い環境のなかで家の中でいかに快適に過ごすかとの観点から生まれた、シンプルで飽きのこないインテリアやカラフルで幾何学的なパターンのことをいいます。
彦根市稲枝町のある「SEIKO Vee-Vas」(セイコーヴィーバズ)滋賀・インテリア・家具・カーテン・照明 | SEIKO Vee-Vas(セイコーヴィーバス)もそういう店の一つで、普段あまり目にするこのとのない北欧インテリアをはじめ、国内外の家具や雑貨が取り揃えられています。本社建物は窓のなく天窓のみから外光を取り入れる構造でモダンな造り。そして現在ショールームでは、「北欧デザイン家具と日本の暮らし展」という催しものが開かれています。
写真は北欧のパブリック・デザイナーがデザインしたテキスタイルによる作品。家の中でより心地よく快適に過ごせるようカラフルかつシンプルな色彩が使われています。北欧デザインの家具は昨今の円安の影響で価格的には少々高くなっていますが、デザインのシンプルさに加えて、長い間使っても疲れず丈夫で実用的な構造になっています。
「賃上げ促進税制」と「グループ通算制度」 2023.03.06
令和4年分の確定申告の納付・申告期限も3月15日(水)(消費税は3月31日(金))まで残り10日ほど。令和4年分はこの3年間あった申告・納付期間の延長措置(令和3年分は条件付き)は設けられておりません。ちなみに、納税者本人の名義の預貯金口座から、口座引落しにより国税を納付する「振替納税制度」もあります。納期限までに「振込依頼書」を所轄税務署や金融機関へ提出(オンラインも可)する必要がありますが、この場合の振替日は所得税 4月24日(月)・消費税 4月27日(木)になります。[手続名] 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付|国税庁 (nta.go.jp)
また、この3月は多くの法人とっては決算月となり、その中で連結納税制度からグループ通算制度へ移行後、最初の決算を迎える法人もおられると思います。従来の連結納税制度からの主な変更点として、① 「賃上げ促進税制」は連結納税グループ全体で判定から各通算法人で判定 ② 寄附金の損金算入額の計算で用いる資本金等の額が連結親法人から各通算法人の資本金等の額で算定 ③ 所得税額控除の原則法か銘柄別簡便法の選択が各通算法人で可能・・があり、各通算法人は個別に計算する範囲が大きくなりました。
とくに、「賃上げ促進税制」は今回の変更により、各法人で適用が可能かどうかの判定や税額控除額の計算が必要となりますが、積極的に賃上げをおこなった通算法人については、税額控除の恩恵を受けることができ、より賃上げしやすいしくみになります。ただ、通算グループ内の法人の中で1社でも中小企業者に該当しない場合は、すべて法人について「中小企業者等向け賃上げ促進税制」chinnagesokushin04gudebook.pdf (meti.go.jp)の適用はありません。その通算法人が要件に該当していても「大企業向け賃上げ促進税制」chinagesokushinzeiseigb20220506.pdf (meti.go.jp)の適用となりますので注意が必要です。