日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
固定資産税、徴収猶予と来年度の1/2軽減・全額免除 2020.05.11
事業用資産を所有されている個人事業者や法人には、例年どおり固定資産税等の納税通知書が届いていると思います。そのような中、新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少があった方には、1年間、徴収の猶予(担保提供は不要、延滞金なし)を受ける「特例制度」があります。
対象となる方は、次のいずれも満たす納税者等(個人法人の別、規模は問わず)で、「(1) 新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること (2) 一時的に納付し、又は納入を行うことが困難であること(草津市)」になります。
申請手続等は、関係法令の施行から2か月後(令和2年6月30日)か、その固定資産税の納期限のいずれか遅い日まで、提出書類は「徴収猶予申請書」(ホームページから)に必要事項を記載し、収入や現預金の状況の分かる資料(売上帳、給与明細、預金通帳、現金出納帳等)の提出も必要で少々煩雑になりますが、資料の提出が難しい場合は相談も受付けてくれます。
ただ、残念ながら・・あくまで猶予であって軽減ではありません。しかし、2021年度(翌年度)については、5月1日付で中小企業庁より「2021年度の固定資産税・都市計画税の軽減措置」が発表されました。これは、新型コロナウイルスの影響により事業収入の減少(徴収の猶予とは条件が異なります)により1/2軽減又は全額免除が受けられる制度で、この場合、前もってわれわれ税理士や会計士といった認定経営革新等支援機関等の確認を受ける必要があります(令和2年5月中に受付開始予定)。対象となる中小企業者・小規模企業者や事業収入の減少率・減免率等の内容は公表されており、認定支援機関等の確認後、納付先である市町村の受付は令和3年1月1日~31日ですので、いまからご検討されることをおすすめします。
「持続化給付金」、電子申請がスタート 2020.05.05
4月27日、経済産業省から「持続化給付金」の申請受付に関する詳細が公表され、令和2年度補正予算の成立の翌日5月1日から、申請用ホームページより電子申請が可能になっています。(ただし、ニュースでは申し込みが殺到し、一時手続きできない状態になっていましたが・・)
給付対象者の条件に「2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が、50%以上減少した月(対象月)が存在する事業者」とあるので、現時点では2020年1月~4月のいずれかの月と前年同月(2019年1月~4月度)との比較で、感染症拡大の影響等により50%以上減少した月があるかどうかになります。(個人事業は、不動産収入や給与収入、雑所得等を含みません) また、当初は取扱いが未定だった2019年1月から12月までの間に設立した法人では、対象月の月間事業収入が、2019年の月平均の事業収入に比べて50%減少している場合、特例の適用(創業特例)を選択することができます。なお、給付金は税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入することになります。
申請方法はホームページへアクセスし、申請内容の入力、必要書類(2019年分の確定申告書類、対象月の売上台帳等、通帳の写し、本人確認書類(個人事業者)、その他)の添付等を行い、電子申請します。給付金の支給は、申請後、通常2週間程度で発送および登録した口座へ入金予定。申請期間(予定)は令和3年1月15日(金)24時まで。相談ダイヤルは中小企業金融・給付金相談窓口(0570-783183(平日・休日9:00~19:00))ですが、こちらも問い合わせが殺到していて、オペレーターにつながらない状態になっています。しばらくは、ホームページで確認されたほうがよいでしょう。
国税庁「FAQ」、4月13日に11問が追加されました 2020.04.27
先月、国税庁より発表された「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」、4月13日に「よくある(あると想定される)質問」が11問追加され、うち2問は『業績が悪化した場合に行う役員給与の減額』について、下記の事例が公開されています。
『当社は、各種イベントの開催を請け負う事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数か月間先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルになりました。その結果、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、当社では、役員給与の減額を行うことにしました。(以下略)』(「問8」)
『当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要な売上先である観光客等が減少しています。そのため、当面の間は、これまでのような売上げが見込めないことから、営業時間の短縮や従業員の出勤調整といった事業活動を縮小する対策を講じています。(中略)一方で、当社の従業員の雇用や給与を維持するため、急激なコストカットも困難であることから、当社の経営判断として、まずは役員給与の減額を行うことを検討しています。(以下略)』(「問9」)
現在よく報道されている事例ですが、この役員給与が定期同額給与に該当するかどうかの質問に対し、「FAQ」の回答は、いずれの場合でも改定前と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入するとしています。新型コロナウイルスの影響については、業績に影響があるというだけで役員給与の減額が容認されないのは従来とかわりません。ただ、追加された「FAQ」で容認される「業績悪化改定事由」が具体的に公開され、より判断がしやすくなりました。
前例のない給付金、「持続化給付金」 2020.04.18
新型コロナウイルスの感染拡大により、とくに大きな影響を受ける事業者に対して、事業全般に広く使える・・ ’’前例のない給付金”(経済産業省の資料にそう書いています)・・「持続化給付金」の制度について、4月最終週を目途に経済産業省より詳細が発表されるようです。早ければGW明けに給付される可能性もあるとのことで、法人、個人を問わず事業者の方は、給付対象になるか確認する必要があります。支給対象は、① 新型コロナウイルスの感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者 ② 中堅企業(資本金10億円未満)、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者(医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人を含む)。
給付額は「法人 200万円、個人 100万円」ですが、昨年1年間の売上からの減少分を上限とします。売上減少分の計算方法は、「前年の売上高(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上げ×12ヶ月)」で、「前年同月比▲50%月」の対象期間は【ここが重要】2020年1月から12月のうち、2019年の同月比で売上が50%以上減少したひと月について選択することができます。(2019年に創業したケースは、別途対応を引き続き検討)
申請(基本的にWeb)に必要な情報などは、① 法人番号(個人:本人確認書類) ② 2019年の確定申告書類の控え ③ 減収月の事業収入額を示した帳簿等(形式は問いません)になります。補正予算成立後、速やかに「持続化給付金」の受付けが開始される見込みで、対象となる事業者の方は、今後発表される情報を確認しつつ、いまから申請準備を進めるのがよいでしょう。
役員給与の減額にもハードルが 2020.04.13
会社の業績が予想以上に悪化したため、毎月の支給額が同額であった役員給与(定期同額給与)の減額を検討されている方もいるかもしれません。業績の低下により法人の損失額は増え、一方で個人の役員給与には所得税等が課されます。ましてや、令和2年分からは給与所得控除額が引き下げられ(給与収入 850万円超:195万円上限、ただし子育て・介護世帯を除く)、高額給与者の税負担がさらに大きくなっています。役員給与の改定は、定時株主総会が行われる等、事業年度開始の日から3か月以内に行うことができ、一度決定すると原則事業年度の終わりまで一定額を支払わなければなりません。したがって、3月末に事業年度が終了する法人は、今月4月から役員給与の減額が可能です。
しかし、事業年度が途中である法人は、役員給与を減額した金額(たとえば、月100万円から月80万円に減額する場合、これまでの100万円のうち20万円部分)は法人税等の計算するうえで経費になりません。しかし、個人には100万円全額に対し所得税等が課税されます。ただ、次の①又は②に該当する場合には、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」として、期中でも役員給与の減額が認められています。① 財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕している状況 ② 経営状況の悪化に伴い第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与を減額せざるを得ない事業が生じている状況 → ②は中小企業では、取引銀行との間で行われる借入金返済計画の変更の協議において、役員給与の額を減額せざるを得ないケースがほとんどです。
したがって、業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じても、利益調整のみを目的とした場合、単に業績目標に達しなかったことによる減額改定は、上記の「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」に該当しませんので注意が必要です。
公表された国税庁「FAQ」は、税理士への感染にも言及 2020.04.06
3月25日、国税庁より『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』が発表されました。「FAQ(Frequently Asked Questions)」とは、「よくある(あるいはあると想定される)質問とその回答とを集めたもの」で、新型コロナウイルス感染症の影響による具体例が計35問公表されています。
そのなかで、われわれ税理士についても言及されていて、「国税の申告・納付期限の個別延長が認められるやむを得ない理由」に・・税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症に感染したこと。経理担当部署の社員が感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったことにより企業や個人事業者、税理士事務所などが通常の業務体制を維持できない状況が生じたことなど・・が認められています。
もちろん、こういうことでご迷惑はかけたくないですが・・個別延長を申請する際には、申請書に申告・納付等ができない状況を確認するため、申請者の状況、税理士の関与状況、部署の閉鎖や業務制限の状況などを記載する必要があります。何やら物騒な時勢になってきました。一日も早く収束して、いつもの日常が戻ってくれるのを願うのみです。
内食で「巣ごもり」 2020.03.30
先週末は新型コロナウイルスの感染拡大で東京都とその周辺、それに大阪府や兵庫県でも不要不急の外出は控えるよう要請が出ていました。滋賀県は現在、幸いにも感染者は6名にとどまっていますが、外出しても人通りはかなり少ないです。われわれの業界も会合の延期・中止が相次ぎ、確定申告が一段落して増えるはずだった外食の機会もなくなりました。わたしも世間の趨勢にならって、この週末ほぼ「巣ごもり」状態。それでも、関与先からいただいた食材で内食して、それなりに楽しんでいます。写真は、ある事務担当の方が自宅の庭で作られたチーズと鶏肉の燻製(くんせい)で、自身で真空パックもされています。チーズも燻製にすることで独特の風味とコクがより増して、自前のシャブリ・ワインともよく合いました。
それから、専業農家の方からいただいたハウス栽培の青ネギをお好み焼きの材料に。農業は自然が相手ですのでいろいろご苦労もありますが、事業主の方はまだ若く、事業を大きくしようとする意欲も旺盛です。そしてデザートは、確定申告の署名押印時にいただいた熊本産のデコポン。皮をむくと一袋一袋しっかり歯ごたえがあり、食べると甘さと酸味のバランスがいい。とりあえずこんな状況でも、おかげ様で「巣ごもり」を楽しむことができました。
関宿近くの鰻の店 2020.03.23
われわれの業界も新型コロナウイルスによる影響が出てきています。といっても、確定申告後に予定されていた研修会や部会の延期や中止、毎年申告書の署名押印で来所いただいていた関与先様も郵送での対応など。もっとご苦労されている事業者の方も多い中、できるだけ早く事態が収拾されることを願うばかりです。
昨日お昼に滋賀県から三重県に入る鈴鹿峠を越えた国道1号線沿いにある『うなぎの初音』へ。ここは行列の絶えないことで有名な老舗で、名物は鰻の蒲焼きを使った名古屋メシ「ひつまぶし」。3枚に切り分けた鰻の身をお櫃に入れたご飯にのせ、それをお茶碗に盛って食べます。その食べ方は・・そのまま食べる、ネギやワサビなどの薬味と混ぜて食べる、そして最後は出し汁をかけてお茶漬けのようにして食べる・・の3通りあるとのこと。実際やってみると、焼目の香ばしい鰻をいろんな味の変化で堪能することができ、得したような気分になれます。
また、国道1号線と並行して旧東海道がはしっていて、近くに関宿の建物保存地区があるので、すこし散策することに。観光客はまばらでしたが、江戸時代後期から明治時代の町屋がよく保存されていて、内部の様子を当時そのままに展示していたりして、当時の宿場町の雰囲気を感じることができました。
消費税、税率アップによる確定納付額の増加に注意 2020.03.16
3月16日は本来であれば、令和元年度の申告所得税(および復興特別所得税)の申告期限・納付期限ですが、令和2年4月16日まで延長されたのは、みなさんご承知のとおりです。また、先週3月6日付で国税庁より、申告・納付等の延長に伴い、延長後の振替納税日が申告所得税等 令和2年5日15日(従来 令和2年4月21日)、個人事業者の消費税等 令和2年5月19日(従来 令和2年4月23日)に定められました。
ところで、3月末は多くの法人の決算末にあたり、4月1日からの決算・申告業務の準備をされている方もおられると思います。今決算期は平成31年4月から令和2年3月の間に10月1日より消費税率アップがあるため、令和2年5月末に申告・納付する確定消費税額が見込みより増加することがあるので注意が必要です。
たとえば、前期(平成30年4月から平成31年3月)の消費税等の年額が800万円だった場合、当期(平成31年4月から令和2年3月)では年3回 消費税等の中間納付額 各200万円(800万円÷4)を納付しています。当期も課税売上高が前期と同額とすれば、申告時の令和2年5月末に納付する消費税等の額は200万円(800万円-200万円×3回)と中間納付額と変わりません。ただ、当期に限っては、令和1年10月よりの税率アップしているため、増加した消費税等の額(この場合、100万円)を、すべて5月末の確定申告で納付(300万円=200万円+100万円)することになります。このように、今決算期は消費税等の納税額が大きくなる傾向にあるので、資金繰りを管理するうえで5月末の確定納税額をしっかり把握する必要が出てきます。
法人成り、「合同会社」でも 2020.03.09
確定申告も一段落し、個人事業者のなかには、法人成りを検討されている方もおられると思います。法人成りすることによって、社会的信用も増し、一定以上の事業所得がある場合、役員報酬にかかる給与所得控除等で節税効果も期待されます。ただ、ほとんどのケースで選択される株式会社の設立では、設立費用や定期的に更新しなければならない役員登記など、費用や事務処理の負担の問題が出てきます。そこで、このような株式会社の設立に代わって、法人成りへのハードルをより低くした「合同会社」があります。
「合同会社」とは、株式会社と同じく会社形態の一つで、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である会社形態です。現在の株式会社である中小企業もほとんど経営者と出資者は同一ですので、最近は「合同会社」を選択するケースが増えてきています。前述の費用や事務処理の負担軽減以外に「合同会社」のメリットとして、設立が簡略化されているにもかかわらず同じ税制が適用され、会社設立による恩恵を株式会社と同様に受けることができる点があります。
しかし、未だ「合同会社」という名称の認知度が低く、株式会社より比較して不利と考えられる事業者の方も多いです。ただ、意外と知られていないですが、みなさんがよくご存じの企業、Apple Japan、グーグル、アマゾンジャパン、西友、エクソンモービル・ジャパンも「合同会社」です。これらは外資系企業ですが、極力無駄を省いて、迅速な経営判断をしたいという合理的な判断で「合同会社」を選択したと考えられます。