日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
関宿近くの鰻の店 2020.03.23
われわれの業界も新型コロナウイルスによる影響が出てきています。といっても、確定申告後に予定されていた研修会や部会の延期や中止、毎年申告書の署名押印で来所いただいていた関与先様も郵送での対応など。もっとご苦労されている事業者の方も多い中、できるだけ早く事態が収拾されることを願うばかりです。
昨日お昼に滋賀県から三重県に入る鈴鹿峠を越えた国道1号線沿いにある『うなぎの初音』へ。ここは行列の絶えないことで有名な老舗で、名物は鰻の蒲焼きを使った名古屋メシ「ひつまぶし」。3枚に切り分けた鰻の身をお櫃に入れたご飯にのせ、それをお茶碗に盛って食べます。その食べ方は・・そのまま食べる、ネギやワサビなどの薬味と混ぜて食べる、そして最後は出し汁をかけてお茶漬けのようにして食べる・・の3通りあるとのこと。実際やってみると、焼目の香ばしい鰻をいろんな味の変化で堪能することができ、得したような気分になれます。
また、国道1号線と並行して旧東海道がはしっていて、近くに関宿の建物保存地区があるので、すこし散策することに。観光客はまばらでしたが、江戸時代後期から明治時代の町屋がよく保存されていて、内部の様子を当時そのままに展示していたりして、当時の宿場町の雰囲気を感じることができました。
消費税、税率アップによる確定納付額の増加に注意 2020.03.16
3月16日は本来であれば、令和元年度の申告所得税(および復興特別所得税)の申告期限・納付期限ですが、令和2年4月16日まで延長されたのは、みなさんご承知のとおりです。また、先週3月6日付で国税庁より、申告・納付等の延長に伴い、延長後の振替納税日が申告所得税等 令和2年5日15日(従来 令和2年4月21日)、個人事業者の消費税等 令和2年5月19日(従来 令和2年4月23日)に定められました。
ところで、3月末は多くの法人の決算末にあたり、4月1日からの決算・申告業務の準備をされている方もおられると思います。今決算期は平成31年4月から令和2年3月の間に10月1日より消費税率アップがあるため、令和2年5月末に申告・納付する確定消費税額が見込みより増加することがあるので注意が必要です。
たとえば、前期(平成30年4月から平成31年3月)の消費税等の年額が800万円だった場合、当期(平成31年4月から令和2年3月)では年3回 消費税等の中間納付額 各200万円(800万円÷4)を納付しています。当期も課税売上高が前期と同額とすれば、申告時の令和2年5月末に納付する消費税等の額は200万円(800万円-200万円×3回)と中間納付額と変わりません。ただ、当期に限っては、令和1年10月よりの税率アップしているため、増加した消費税等の額(この場合、100万円)を、すべて5月末の確定申告で納付(300万円=200万円+100万円)することになります。このように、今決算期は消費税等の納税額が大きくなる傾向にあるので、資金繰りを管理するうえで5月末の確定納税額をしっかり把握する必要が出てきます。
法人成り、「合同会社」でも 2020.03.09
確定申告も一段落し、個人事業者のなかには、法人成りを検討されている方もおられると思います。法人成りすることによって、社会的信用も増し、一定以上の事業所得がある場合、役員報酬にかかる給与所得控除等で節税効果も期待されます。ただ、ほとんどのケースで選択される株式会社の設立では、設立費用や定期的に更新しなければならない役員登記など、費用や事務処理の負担の問題が出てきます。そこで、このような株式会社の設立に代わって、法人成りへのハードルをより低くした「合同会社」があります。
「合同会社」とは、株式会社と同じく会社形態の一つで、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である会社形態です。現在の株式会社である中小企業もほとんど経営者と出資者は同一ですので、最近は「合同会社」を選択するケースが増えてきています。前述の費用や事務処理の負担軽減以外に「合同会社」のメリットとして、設立が簡略化されているにもかかわらず同じ税制が適用され、会社設立による恩恵を株式会社と同様に受けることができる点があります。
しかし、未だ「合同会社」という名称の認知度が低く、株式会社より比較して不利と考えられる事業者の方も多いです。ただ、意外と知られていないですが、みなさんがよくご存じの企業、Apple Japan、グーグル、アマゾンジャパン、西友、エクソンモービル・ジャパンも「合同会社」です。これらは外資系企業ですが、極力無駄を省いて、迅速な経営判断をしたいという合理的な判断で「合同会社」を選択したと考えられます。
「挺住!!武漢」 2020.02.28
一昨日、TKC税効果会計システム「eTaxEffect」、連結納税システム「eConsoliTax」の2020年3月度向けフォローアップのため、大阪にあるTKC難波ワークショップへ。毎年この時期にある説明会ですが、ことしに限っては難波周辺の様子はいつもと全く違っています。テレビのニュースのとおり、中国人をはじめとするアジアの観光客はごくわずかで、いつもは多くの人でごった返していた道頓堀も流れはスムーズに。また、通りでは「挺住!!武漢」のシートが短い間隔で掲げられていました。そして27日、国税庁から新型コロナウイルスの感染拡大を受け、所得税の確定申告の期間を4月16日まで延長する発表がありました。
写真は、昼の食事をした大丸心斎橋本館 地下2Fのフードホールの風景。わたしはいろんな料理のブースの中からタイ料理にしました。ここに行くのは昨年9月のリニューアルオープン以来ですが、そのときよりお客さんの数は少ないように感じました。企業の経済活動にも影響が出はじめています。やはりできるだけ早期の収束を願います。
NHKラジオの英語番組 2020.02.17
正月早々、税理士が集まる賀詞交歓会にある国の領事館の方が来られて、英語でお話しする機会がありました。以前英語をよく話していた頃ほどではないにしろ、会話の方はなんとか進行、こちらが用意した2次会にも参加してくれホッとしました。それに比べて、仕事でときどきある英語によるメールのやりとりの方が楽です。そして、いまでもNHKラジオの英語番組だけは、時間の見つけて繰り返し聞くようにしています。
わたしのおすすめのラジオ講座は『高校生からはじめる「現代英語」』。この番組は高校生といっても受験英語ではなく、英語ニュースを素材に、いま世界で使える英語を身につけることを主題としています。週ごとに1つの話題を取り上げていて、ちなみに3月は「「アビイ・ロード」アルバムチャートに返り咲き」、「タピオカブームに台湾が注目」など。単に英語ニュースをリスニングするだけでなく、「反訳トレーニング」といって日本語から英語に訳す学習のコーナーもあり、話す・書く能力が身につけることができます。もっとやさしい英語を勉強したいのであれば『遠山顕の英会話楽習』。遠山顕さんは、従来から肩肘を張らない教え方でリスナーの間では非常に人気のある方ですが、この番組では会話ですぐ使えそうな自然な英語表現、やり取りのコツなどがたくさん盛り込まれています。
消費税率以外でも法人に対する各税率が大幅に変更 2020.02.10
2019年10月1日から消費税率10%への変更について、みなさんご承知のとおりですが、事業を営む法人に課される各税金の税率についても、2019年10月1日から開始する事業年度より大幅に改正されています。たとえば、草津市に所在する法人の場合、法人税 23.2% → 23.2%(変わらず)、地方法人税 4.4% → 10.3%、法人県民税(滋賀県) 4.0% → 1.8%、法人市民税(草津市) 12.1% → 8.4%、法人事業税 6.7%→ 7.0%、地方法人特別税 43.2% →(廃止)、特別法人事業税(創設)37.0% となっています。(法人に課される税金だけで、これだけあります)
にもかかわらず、実効税率、つまり法人の所得金額に対する上記税金の合計額の割合は、ほぼ変わりません。実効税率の基本的な計算式は、{法人税率 + 法人税率 × (地方法人税率 + 法人県民税率 + 法人市民税率) + 法人事業税率}/{1+法人事業税率}(法人事業税は所得の計算上費用になるため分母にも入ります)で、税率34.263%から34.260%へわずかに低下するだけです。
地方間での税収の偏在の是正など、地方の法人課税の税源の差を改善するため必要な改正と理由付けされていますが、われわれ税理士からいうと、もっとシンプルでわかりやすい税金のしくみにできないかと思います。この改正は2019年10月1日開始の事業年度から適用されるので、2020年3月31日の予定申告書から適用にされ、そのときに地方税の申告書様式も変更されているでしょう。いずれにしても税務申告ソフトが対応してくれ、とくに作業が増えるわけでもないですが、こういうとき手書きの時代に税理士をやってなくてよかったと思わざるを得ません。
オペレーティング・リースもオンバランスへ 2020.02.03
リース取引は、事業用資産をリース会社から借り受けることで、毎月の賃借料さえ払えば、その資産を購入したものと同じように使用することができます。したがって、リース取引を利用することによって、新しい資産を購入するための資金調達をする必要がありません。新規の資金調達をすることなく新しい設備を事業に使用することができるリース取引は、財務的にもメリットが大きい商取引といえます。
リース取引での資産の借り手側が行う会計処理は、① ファイナンス・リース取引 ② オペレーティング・リース取引の2つの処理方法があります。ファイナンス・リースとは、会計上の視点ではその実態が売買取引とみなされるもので、会計処理も「リース資産/リース未払金、リース未払金/現預金、リース減価償却費/リース資産」(所有権移転外リース)と通常の資産取得とほぼ同じになります。一方、オペレーティング・リースは、賃貸とみなされる本来のリース取引で、会計処理も「賃借料/現預金」と全額賃借料を経費処理するのみで、資産計上(オンバランス)する必要はありませんでした。
IFRS(国際会計基準)では、2019年1月1日以降に開始される事業年度、つまりこの2019年12月期の決算法人からオペレーティング・リースも含めたすべてのリース取引について、資産計上(オンバランス)することになりました。また、オペレーティング・リース取引の資産計上は、既存のリース資産にも適用されるため、過去のリース契約書よりリース総額、リース期間、資産の内容など確認する必要が出てきています。
『滋賀の鍋「じゅんじゅん」』 2020.01.27
週末は日経新聞夕刊「食紀行」で紹介されていた「じゅんじゅん」という滋賀県の鍋料理を食べに、近江八幡駅ちかく「ひさご寿し 本店」へ行ってきました。「じゅんじゅん」は煮込む時の音からこう呼ばれ、醤油ベースに砂糖で甘辛く味付けする鍋料理のこと。この店では地元の近江牛や琵琶湖産の魚など、いろいろな具材でこの鍋料理を出してくれ、わたしは琵琶湖産のヒウオ(氷魚)でいただくことにしました。ヒウオは鮎の稚魚で、秋から冬にかけて琵琶湖でとれる3~4センチの半透明のもの。鍋に入れるとシラスのように白くなり、鍋全体にヒウオのうま味が溶け出し独特の味わいがあります。
このほか琵琶湖で採れる湖魚を素材にした料理もいろいろあり、写真は琵琶湖に住む固有種のビワマスの箱寿し。淡水魚のビワマスを特有のクセが消えるよう調理して、魚の持ち味のうまみが活かされています。
「被相続人居住者用家屋等確認書」 2020.01.20
昨年4月1日以後の譲渡から、被相続人が生前老人ホームに入居していても、適用対象にするよう要件が緩和された「空き家の譲渡特例」。相続した空き家を譲渡した際に譲渡所得を3000万円控除できるもので、特例を受けるためには確定申告書に「譲渡所得の内訳書」等のほか、「被相続人居住者用家屋等確認書」の添付が必要です。
この「被相続人居住者用家屋等確認書」を交付してもらう場所は、亡くなった被相続人が住んでいた不動産がある市区町村です。特例を受けるため申告書の提出先である所轄税務署の前に、市区町村の発行窓口(都市計画局の空き家対策担当など)へ行き、「被相続人居住者用家屋等確認書」を交付のため、「被相続人居住者用家屋等確認申請書」を添付書類とともに提出します。申請書等の提出は郵送でも可能ですが、窓口へ足を運んで直接担当者と話しした方が無難です。その後の書類の内容変更や追加資料は郵送で対応できます。
わたしの申請時に対応した担当者の話しでは、ことしに入って申請件数が増えているとのことですが、申請書に添付書類が揃ってさえいれば約1週間で「被相続人居住者用家屋等確認書」を発行するとのこと。また、今回の確定申告から適用される被相続人が生前老人ホームに入居していたケースでは、老人ホーム入所時の契約書等や(ケアマネージャーが作成する)介護サービス計画書などのコピーの添付が求められました。もし保管されていない場合、老人ホームよりコピーなど入手するなど依頼しなければいけません。
ズブロッカと蝦夷鹿肉 2020.01.13
先週、昨年お知り合いになった木下和也さんがオーナーシェフをしている『Bar Francais 和』ヘ。ここは、Barといってもコースを中心としたカジュアル・フレンチを手軽な値段で出すところ。オーナーは神戸のホテルオークラでのフレンチの修行などを経て、2019年2月にこの店を南草津にオープンされました。わたしはこの日、もともと好きだったウォッカの中でも、「ズブロッカ」を飲みながらオーナーの料理を楽しむことに。「ズブロッカ」とは、ポーランドで採れるバイソングラスという草の茎を漬け込んだウォッカ。ほんのすこし柔らかな香りがして、通常のウォッカより飲みやすい。オーナーは「ズブロッカ」をいつもフリーザーに入れていますが、ウォッカは融点が低いため凍ることはありません。すこしドロッとした舌触りでアルコール度の高さも感じず、ちびちび飲むのにはちょうど良いやり方です。
写真はコース料理の中で、メインの「蝦夷鹿のロースト 冬野菜のサラダ添え」。最近はジビエ料理がちょっとしたブームですが、なかなか手に入りにくい北海道の鹿肉を、その本来持っている旨みを生かす焼き方をされ、野菜も含めてうまく盛り付けされています。まだ、お若いオーナーですが、今後も自身で工夫された料理を提供され、いい店になっていけばと思いました。