日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
夏季休暇後、不審メールやメッセージに注意! 2023.08.16
長期の夏季休暇中は、連休の期間をねらったセキュリティーインシデントの発生が懸念されるとともに、休暇明けに電子メールやメッセージの確認件数が増えることで偽装のチェックがおろそかになりがちです。心当たりの無いメールは削除・無視し、心当たりがあっても送信元に電話で直接問い合わせる、メールに書かれたリンクはクリックせず、公式Webサイトに直接アクセスして確認するなどの対策が必要です。
このような不審メールは年々増加しかつ巧妙化していますが、それは不正者にとって不審メールを送るコストはほとんどかかっておらず、それに対する返信率がごくわずかでも利益を得ることができるためで、経産省のIT政策実施機関「独立行政法人 情報処理推進機構」のホームページでは、管理者向け・利用者向け・個人向け別に、長期休暇期間中・長期休暇明けの対策が詳しく説明されています。長期休暇における情報セキュリティ対策 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
不審メールの見分け方として、① メールの日本語が不自然(たとえば、英文の冒頭のあいさつで使われるDearの和訳「親愛なる」は日本語ではほぼ使いませんが、これが出てくれば、まず不審メールと考えられます)② アカウントを削除した記憶がないのに「アカウントを停止しました」の文章がある ③ 文字のフォント(字体)やスペース・改行・句読点が不自然、現在では使用されない漢字(中国漢字)がある ④ 送信元のメールアドレス(ドメイン)が送信元の表記と違う・・などがあります。これらに留意いただき、夏季休暇後からの業務再開に支障ないよう万全なセキュリティー対策をお願いします。
「大津市創業促進事業費補助金」第2次募集8/10で終了、次回は10/2から 2023.08.07
新たに事業を開始する者に対し、当該事業の開始当初に要する経費の一部を補助(補助率:1/2、補助限度額:一般 上限50万円・若者(昭和63年4月1日以降の生まれ) 上限 100万円)する「大津市創業促進事業費補助金」、令和5年度の第2次募集の申請は8月10日(木)でいったん終了しますが、次回第3次募集が10月2日(月)から同20日(金)で予定されています。大津市創業促進事業費補助金について(令和5年度 2次募集)/大津市 (otsu.lg.jp)
この補助金を受けられる対象者の要件は、①令和6年1月31日までに創業する者又は申請時点で創業して3年以下の者 ②大津市内に事業所・事業所等(事業実態のあるものに限る)を有すること ③「支援機関」による支援を受けており、事業実施期間中も継続して支援を受ける者 となっていて、募集要項bosyuuyoukou2ji.pdf (otsu.lg.jp)によると、「支援機関」とは大津市内の商工会議所・商工会、大学、金融機関など、18の機関(令和5年4月1日時点)がリストアップされています。
この補助金は創業時に必要な店舗等改装費・店舗等借入費・設備費・報酬費などが対象で、補助金の交付決定までには「交付申請書」・「創業計画書」などを提出し、書面審査(1次審査)、さらにプレゼンテーション審査(2次審査)を経てないといけません。補助金の交付を希望する事業者の方は、ご自身で申請手続きを行うのではなく、まず申請のサポートをしている「支援機関」に相談するのがよいと思います。
外国人起業家のための「スタートアップビザ」 2023.07.31
起業を目指す外国人向けの主なルートには、経営・管理では「常勤職員2名以上か資本金500万円以上、事業所の確保」、大卒者のための起業向けの措置(最長2年間)では「指定された全国37校「スーパーグローバル大学」の採択校を卒業、大学が起業を支援」などの条件があり、それ以外でも優遇策として、2018年12月に経済産業省により『外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)』が創設されました。startup03_05.pdf (cao.go.jp)
日本で起業を希望する外国人の方が自治体へ「起業準備活動計画書」を提出し、自治体がその事業計画を審査して実現可能と判断した場合、「起業準備活動計画確認証明書」を交付し最長1年間の入国・在留を認める制度。現在のところ16自治体が参加していて、近畿の自治体では京都府申請案内-京都府外国人起業活動促進事業 – 京都海外ビジネスセンター (kyoto-obc.jp)、兵庫県、大阪市外国人起業促進支援窓口|外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ) の申請受付|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン) (sansokan.jp)、神戸市があり、各自治体ではホームページで申請の受付けをしています。
一般的に、日本は諸外国と比較して外国人のスタートアップ育成で後れを取っているといわれます。日本の場合、在留資格認定の審査の厳しさや家族の就労制限などがネックで、在留資格の取得自体も利用しやすい制度にはなっていません。『スタートアップビザ』は、今のところ制度の存在があまり知られていない状況で、起業に至ったのは4年間で全国51例とのことですが、そのような制度を利用して意欲のある外国人の方が起業しやすい環境になってもらいたいものです。
「倒産防止共済制度」と税務メリット 2023.07.24
全国約62万の中小企業者等が加入する「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」は独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営し、加入者の取引先事業者の倒産に伴う連鎖倒産等を防止するための制度。もし、取引先の倒産があった場合、掛金の積立額の最大10倍(無担保・保証人不要)まで貸付けを受けることができ、それ以外にも掛金の積立額を担保に「一時貸付」(返済期間 1年、利率 現在0.9%)が利用できます。経営セーフティ共済|経営セーフティ共済(中小機構) (smrj.go.jp)
実際のところ、税務上は掛金の全額(月額 5,000円から200,000円まで)を支払日の属する事業年度に損金算入できる(1年分の前納も可能)ため、この税務メリットを活かすため加入するケースも多いです。ただ、加入するにあたり次の注意点もあります。① 倒産防止共済は解約した場合、経過期間に応じた割合でも解約金を受け取ることになり、加入から40ヶ月以上継続しないと100%の払い戻し率とはなりません。具体的には12ヶ月以上 80%、24ヶ月以上 85%、36ヶ月以上 95%と一定の目減り額が生じますが、それでも他の金融商品と比べて解約時の戻り率の高い商品と言えます。
② 掛金の累計額は最大800万円までに限定されています。③ 解約した場合の解約金は全額を益金算入しないといけないため、掛金の損金算入による税務メリットはあくまで税金の繰延(先送り)になります。④ 税務申告書や確定申告書には一定の明細書(法人:別表十(七))の添付が必要です。ただ、これらの注意点を踏まえても、「中小企業倒産防止共済制度」は、中小企業者等にとってうまく利用すれば経営安定化や資金繰りの有効な手段になり得ますので、いちど制度の内容をご確認されることをお勧めします。
旧居留地あたりを散策 2023.07.18
本当に暑かった3連休、わたしは所用があり朝からJRで神戸三宮へ。そして、定刻まで時間があったので、メインストリートのフラワーロードから明石町筋にかけ、すこし旧居留地エリアを散策してみました。このあたりは約150年前の神戸開港当時、外国人の居留地として西欧の街づくりが持ち込まれたため、整然とした街割りの風景や近代風建物がところどころ残っています。
写真はフラワーロードを海側に10分ほど行ったところにある東遊園地。開港当時は居留外国人専用の運動場として使用されていたため、西欧にある公園の面影がよく出ています。いまでは、芝生や木々のなかに個性的なオブジェ(彫刻)が点在する市民のオアシスのような場所。ちなみにこの像の人物は作曲家のモーツァルトで、没後200年を記念して全国の有志の方々で建設されたとのことで、この公園の緑によくマッチしていました。
それから街を歩いていると、明治時代に使われていたものを復元したガス灯やレトロ感が出ている白い木製の電話ボックス(神戸市立博物館前)など、ちょっとしたアクセントにも趣向が凝らされています。
旧居留地にはよく知られるカフェが点在しますが、写真はそのカフェのひとつでテラス席から道路や向かいのお店を眺めた風景。この日はすでに気温もかなり高くなっていましたが、このテラスはヨーロッパ風の造りで天井も高く浜風も入ってくるので暑さを感じません。わたしはエスプレッソ(左)とカプチーノ(右)のセットを注文しましたが、店内は意外とおひとり様客も多く、じっくり珈琲の味と雰囲気を楽しめる場所になっています。
免税事業者、インボイス登録が必要ないケース 2023.07.10
6月27日付の日経新聞『(消費税の免税事業者)インボイス登録 1割のみ』の記事によると、インボイス制度の導入がことし10月開始にもかかわらず、現在のところ約500万の免税事業者のうち、インボイスを発行できるよう登録したのは1割程度とのこと。申請期限を23年3月末から9月末に延長し、またインボイス登録後3年間は納税額を売上時に受け取った消費税の2割とする経過措置(2割特例)2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁 (nta.go.jp)を設けたわりには、あまり進んでいないようにも見えます。ただ、登録は強制ではなくあくまで「任意」ですし、免税事業者のなかには以下のとおり、もともとインボイス登録が不要(登録しなくても不利が生じない)なケースがいつくかあります。
1つ目として、「顧客が個人の一般消費者のみ」のケースで、たとえば美容業や理容業を営む免税事業者などがそれにあたります。お客様から会社経費としての領収書を求められない限り消費税を差し引きするケースはなく、こちらからのインボイスの発行は不要になります。2つ目は、「顧客が簡易課税事業者か免税事業者が大半」のケースで、顧客側は消費税額の計算上消費税の控除の必要はないため、インボイス発行も求められません。ただ一方で、たえず顧客が簡易課税事業者か免税事業者であるか客観的に把握・確認する必要がでてきます。
最後として、「顧客との話し合いができている」ケースで、こちらが免税事業者のままでいても、従来の取引条件や価格(あるいは若干の値引き)で取引が継続することで了解を得られているのであれば、インボイス登録を行わない選択肢もあり得ます。ただ、インボイス登録を行わないとした場合、将来の事業に不利になってしまう事態も考えられます。事業は絶えず変化しますので、新規顧客や新しい業種に参入する場合でもインボイス登録がないことがデメリットになる可能性があります。もちろん、インボイス登録は23年10月以降でも可能ですが、これらのことを踏まえインボイス登録の可否を判断する必要があります。
宇治寺のアジサイ、ハスの花 2023.07.03
梅雨の本番で時より強い雨が降る週末、京滋バイパスですぐの宇治界隈を散策。まずは奈良時代に創建された古寺で、西国三十三所観音十番札所の「三室戸寺」へ。この寺は宇治市中心からすこし離れた宇治川の北に連なる明星山の中腹にあり、山門から参道を歩いて約60段の石段を登ると、たくさんのハスが楽しめる「蓮園」がある本堂に辿り着きます。ここでは、大賀ハスや古代バスなどめずらしい類のハスがあり、これから8月上旬にかけ見頃を迎えます。
また、山門横の約5,000坪の広大な庭園には約10,000株のアジサイが植えられていて、この三室戸寺は「アジサイ寺」としても有名。アジサイの見るのはこのように雨の日でとくに朝方に行くのがいいそうで、わたしが行った日は時期的にはすこし見頃を過ぎていましたが、お寺の方が言うには、朝の早い時間帯は花がしっかり上を向いているので、日光が強くなる日中に訪れるよりおすすめとのことです。
その後、昨日からの雨で水かさの増した宇治川にかかる宇治橋をわたって「平等院」へ。有名な鳳凰堂は2014年に修復されたため、さほど古さを感じませんが、10円玉の図柄でもある建物はとてもバランスのよい造りをしていると感じました。そして、この境内には「平等院蓮(びょうどういんばす)」と呼ばれているハスが植えられている鉢がところどころに置いてあり、これは1999年に平等院阿字池の発掘調査で江戸時代の地層から種が発見されたとのこと。こちらのハスもこれから8月上旬まで見頃になるそうです。
所得税等の予定納税額は、減額が可能なケースがあります 2023.06.26
先週あたりから、税務署より『令和5年分 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書(一般用)』が届いている方がおられると思います。所得税等にかかる「予定納税制度」所得税及び復興特別所得税の予定納税(第1期分)の納税をお忘れなく|国税庁 (nta.go.jp)とは、前年分(令和4年分)の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上の場合、その年(令和5年分)の所得税等の一部をあらかじめ納付する制度です。
納付期間は7月1日から7月31日まで(振替納税:7月31日引落し)ですが、予定納税義務のある方で、廃業・休業または業況不振等により、「その年(令和5年)の現況による申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額に満たないと見込まれる場合」は、『令和5年分 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書』を7月15日までに所轄税務署へ提出し、承認を受けることにより、この予定納税額を減額することができます。[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁 (nta.go.jp)
また、予定納税額の減額申請にあたって、① 上半期(1月1日~6月30日)の損益計算書を作成して、減額申請書に添付する ② この年(令和5年)の収入や所得は、上半期の損益計算書を基準として下半期の金額を予測して見積もる・・などが必要になります。今回は第1期分の予定納税額についてでしたが、11月の第2期分についても同様に予定納税額の減額申請が可能です。予定納税制度は税金の前払いのようなもので、業績が悪化して資金繰りが厳しくても、支払わない場合は罰則の対象になります。したがって、できるだけ早めに申請手続きを開始されることをお奨めします。
大阪の企業家105人 2023.06.19
梅雨の中休みの週末、すこし所用があり大阪へ。移動中の大阪メトロ(地下鉄)は欧米・アジア・インド・アラブなど国籍を問わず多くの外国人の方でいっぱい。今後もこれが再来年の大阪万博まで続いて、さらにこの活気が続いてくれればと思います。そのあいだ時間を見つけて、大阪にゆかりのある企業家105人を紹介されている「大阪企業家ミュージアム」を見学しました。
大阪産業創造館(大阪メトロ堺筋本町駅から徒歩5分)の建物地下にある主展示エリアでは、各分野で活躍された企業家ごとに小さなブースを設けて、展示されているゆかりの品々とともに、それぞれの方の業績が文章で紹介されています。たとえば、パナソニックの松下幸之助さんや日清食品の安藤百福さんなど、その会社に行けばこのような資料は展示されているでしょうが、たくさんの企業家の足跡を一度に辿ることができ(滋賀県出身の企業家は、(初代・二代)伊藤忠兵衛(伊藤忠商事)・弘世助三郎(日本生命保険)・山岡孫吉(ヤンマー))、大阪の特色を側面から理解するには良い機会になりました。大阪企業家ミュージアム (kigyoka.jp)
そのあと、ここから徒歩5分ぐらいのところにあるルネサンス風の歴史的建造物「綿業会館」(中央区備後町二丁目)へ。普段は限定された日のみ館内の見学が可能で、当日は閉館のため内部の様子はわかりませんでしたが、オフィス街の一角にあるこのレトロなビルディングは昭和6年の竣工当時、国際会議や社交場として使われていました。現在は「一般社団法人 日本綿業倶楽部」の管理で、2006年には国の重要文化財に指定、2007年には近代化産業遺産に認定。一般には事前の申し込みで昼食付の見学会やウエディングとして挙式・披露宴会場しても使用可能で、建物の様子からは大阪発展の歴史の一端を垣間見ることができます。
「草津市創業支援補助金」、令和5年度の募集期限は6月23日まで 2023.06.12
5月29日(金)から、創業3年未満で草津市内に事業所等を有する(予定を含む)方は、一定の条件のもと、創業ならびに支援機関による伴走支援を受けながら取り組む販路開拓に対し、その経費(謝金、設備費、店舗等借入費、販路開拓費、委託費、広告費)の一部を補助する「草津市創業支援補助金」の募集が開始されています。令和5年度 草津市創業支援補助金|草津市 (city.kusatsu.shiga.jp)また、新規創業(個人・法人)の場合、令和5年4月1日から令和6年2月15日までに創業を行う方が対象になります。
補助対象者は、① 申告時点で市内に居住し、住民登録を有すること(市内で法人登録を行う場合はその限りではない) ② 申請時に支援機関による支援を受けており、補助事業実施期間中も継続して支援を受けること ③ 補助事業の完了時点において、「個人事業」は開業届を提出済、「法人」は市内で法人登録済であること ④ 創業の形態は「新規創業(個人・法人)」、「法人成り」、「第二創業」、「事業承継」のいずれか・・の要件にすべて該当することが必要です。bosyuyoukou.pdf (city.kusatsu.shiga.jp)
補助限度額は50万円(補助率:2/3)ですが、県内大学等に在学中か卒業後2年以内(学生創業枠)、県外在住者が市内に転入し創業する場合(U/Iターン者枠)等の上乗せ条件に該当する場合、1項目につき25万円が上乗せされます。令和5年6月23日(金)17時まで(必着)に、「補助金交付申請書」等の提出書類を草津市商工観光労政課へメールか郵送により提出で、すでに募集期間は残り2週間弱になっており、提出を検討されている事業者の方は、提出書類のご準備を急いでいただく必要があります。