税理士ブログ Blog

日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。

雨上がりの坂本「旧竹林院」 2023.06.05

先日、小雨が上がったばかりの大津市の坂本界隈を散策、そのなかにある延暦寺里坊のひとつで、庭園で有名な「旧竹林院」へ行ってきました。旧竹林院公式サイト (fc2.com)坂本は古くから延暦寺の門前町で栄え、一帯は国の重要伝統的歴史物建造物保存地区に指定されています。「里坊」とは山麓にある寺(延暦寺)の僧侶たちが、人里で生活するために構えた住まいのこと。そして「里坊」では、たいてい普通の住居のように庭園が造られました。IMG_0561

坂本界隈を歩くと特徴なのが、ところどころで見られる「穴太積み」の石垣。穴太積みとは、かつて坂本で穴太と呼ばれる地域で活躍した石垣職人の集団「穴太衆」が造ったもので、花崗岩の自然石を加工せずそのまま積み上げる「野面積み」という技法が用いられています。これらの技法が活かされたものは、竹田城(兵庫県)や姫路城など全国の城の石垣で見ることができます。IMG_0563

そして、「旧竹林院」の門にいたる石道も、左右をその「野面積み」で囲まれた造り。邸内には約3,300㎡の庭園が広がっていて、ちょうど雨上がりの湿気による辺りの苔のにおいで癒やされます。この庭は建物から眺めるだけでなく、庭内を散策することもでき、そのなかには大正時代に建てられた茶室や四阿(あずまや)を見ることができます。当日は雨にもかかわらず、ここ坂本でも多くの欧米の方やアジアの方など外国人観光客を見かけました。滋賀県でもインバウンドが本格的に戻りつつあるのを実感します。IMG_0555IMG_0560

滋賀県、既存住宅の省エネ対策などへ補助金強化 2023.05.29

滋賀県は、三日月知事が26日の定例会見で明らかにしたところによると、温室効果ガスや光熱費削減につながる既存の住宅への家庭向け断熱改修や効率のいいエアコンなどの設置に対しては、いままで実施されていた省エネ設備の導入等の支援をさらに強化することになりました。滋賀県広報 (shiga.lg.jp)IMG_0569

新たに設けられる補助金は ① 家の壁や屋根などに断熱材を入れるための改修に最大120万円 ② 最新のエアコンなど省エネ性能のいい空調設備の購入や高性能な換気設備の導入に最大5万円 ③ LED照明の購入に最大1万円 ④ 太陽光発電システムの導入・蓄電池の設置・高性能な給湯器の更新については最大30万円(昨年度まで46万円)になります。これらの補助に対する滋賀県の予算額は約2.4億円で、来月61月(木)から申請受け付けを開始します。(令和6216日まで。予算額を超える申請があった場合は、その時点で受付を終了)申請先は、公益財団法人 淡海環境保全財団(滋賀県地球温暖化防止活動推進センター)です。

また、滋賀県はこの制度の拡充・改正にあたって、制度の内容について説明会(滋賀県スマート・ライフスタイル普及推進事業補助金 説明会)を開催します。説明会チラシ確 (shiga.lg.jp)ちなみに、大津会場の説明会は今週530日(火)14時から、コラボしが21 3階会議室で開催させる予定で、オンラインによる参加もできます。これらの補助金の強化策は対象住宅をお持ちの個人に還元される制度ですが、対象設備等を販売・工事を施工する事業者にとっても自身の事業につなげるチャンスにもなりますので、是非この機会を活用いただければと思います。

設備投資で新しい固定資産税の軽減制度がスタート 2023.05.22

令和5年度税制改正で「生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置」が先月4月からスタートしていて、わたしも「認定経営革新等支援機関」として事前確認する機会がありました。制度の概要としては、「対象企業」は市町村から先端設備等導入計画の認定を受け、かつ、資本金1億円以下等の税制上の要件を満たす中小企業、「計画認定要件」は35年の計画期間における労働生産性が年平均3%以上向上する等、基本方針や市町村の導入促進基本計画に沿ったものが必要になります。1-1_02_tebiki.pdf (meti.go.jp)

「導入計画」については、さきほど言いました通り、今までの軽減制度と同様われわれ税理士や金融機関等の「認定経営革新等支援機関」の事前確認が必要になります。具体的には「認定経営革新等支援機関」は確認後に『先端設備等に係る投資計画に関する確認書』4-4_03.docx (live.com)と『先端設備導入計画に関する確認書』seisanseiShienKakuninsho.docx (live.com)にそれぞれ投資・導入計画の所見を記載したうえ、導入企業に対し確認書を発行します。

「対象設備等」は投資利益率が年利5%以上の投資計画に記載された機械及び装置(160万円以上)、建物附属設備(60万円以上)等が対象になり、「特例措置の内容」として通常、固定資産税の課税標準に対し1/2の軽減が3年間継続します。また、新制度の特徴として、計画に賃上げ表明(雇用者全体の給与が1.5%増加することを従業員に表明)したことを証する書類を添付することで、13の軽減かつ軽減期間が45年間に延長する制度があります。ただし、もし表明した賃上げが達成されなかったとしても軽減期間の延長が取り消されないことになっています。

各税務署では、免税事業者向け「登録要否相談会」を開催 2023.05.15

国税局は4月に入って、消費税インボイス制度について4月以降の具体的な取組みを公表しています。これまでは、おもに消費税の課税事業者に対し、インボイス制度への周知のための対応や準備の後押しが行われていました。その結果、法人の課税事業者の88%(1,681件)、個人事業者の課税事業者の76%(575件)がインボイスの登録を済ませる(全体では76%(2,256件))ことになりました。

今後、国税庁としてはインボイス登録の検討が必要な免税事業者向けに、① 幅広い事業者に制度の関心・周知を広げる取組み ② 登録するか否かを検討している事業者に対する対応を行っていくとのことで、①の関心・周知を広げるためとして、制度をあまり知らない方でもインボイス制度を学ぶことのできるコンテンツ(YouTube国税庁動画チャンネル)がすでに公開されています。インボイス制度に関する情報ガイド|国税庁 (nta.go.jp)

また、②の登録するか否かを検討するサポートとして、5月より全国の各税務署では「インボイス制度説明会・登録要否相談会(事前予約制)」を実施しshiga02.pdf (nta.go.jp)、相談を希望する免税事業者に対し税務署職員が個別に対応するとのことで、草津税務署(077-562-1315)でも ① 523日(火)(事前予約締切 516日)・② 620日(火)(事前予約締切 613日)・③ 720日(火)(事前予約締切 713日)のほか8月・9月の計5回(場所:草津納税協会 3階会議室、14:0015:15)されます。中小・小規模事業者(免税事業者)のなかで、インボイス登録の要否の判断に迷われている方、署の職員へ個別の相談も可能ですので、一度参加されてみてはいかがでしょうか。

大型連休の美術館めぐり 2023.05.06

ゴールデンウィーク後半、先週にひきつづき良さそうな美術館を訪ねるため、今回は新幹線から見事な富士山を眺めつつ東京に行くことに。まずは、東京メトロ 要町駅から徒歩10分のところにある「熊谷守一美術館」豊島区立 熊谷守一美術館 (kumagai-morikazu.jp)。周辺はごく普通の住宅街で、公立(豊島区)のこじんまりした建物(熊谷の家(アトリエと庭)跡地)に彼の1960-70年代の作品が展示されています。現在は「38周年展」が行われていて、彼独自の画風(はっきりとした輪郭線や鮮やかな色彩)の風景画、静物画や生物の絵画、墨画などを鑑賞することができました。

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それから行ったのが、東京メトロ 表参道駅から表参道を徒歩10分のところにある「根津美術館」根津美術館 – Nezu Museum – (nezu-muse.or.jp)。ここは実業家だった根津嘉一郎の日本や東洋の古美術コレクションを保存・展示するために建てられた美術館。いまは年一回カキツバタの見頃に合わせ「(国宝)燕子花図屏風(尾形光琳)」が公開中。日本絵画の代表作で教科書にも登場する作品は、金屏風にカキツバタを緑青と群青の2色の絵の具のみで描かれていて、江戸時代中期に描かれた日本画にもかかわらず現代アートにも通じるような表現方法になっています。IMG_0539IMG_0526

館内の庭園ではすでにカキツバタが満開になっていて、庭内にはいくつかの茶室や池があり、散策したり来館者がお茶をいただけるスペースもあります。これらカキツバタは30年ぐらい前からすこしずつ庭園に植えられるようになり、いまでは約4,000株にもなったとのこと。国宝のカキツバタを鑑賞し、その後は自然の中のカキツバタを楽しむという、なかなか贅沢な時間を過ごすことができました。IMG_0530IMG_0532

「藤田美術館」の「曜変天目茶碗」 2023.05.01

週末、所用で大阪に行ったついでに、最近リニューアルオープンしたガラス張りのおしゃれな外観の「藤田美術館」(JR大阪城北詰駅すぐ)藤田美術館 | FUJITA MUSEUM藤田美術館 | FUJITA MUSEUM (fujita-museum.or.jp)へ行ってきました。美術館のとなりは実業家の藤田傳三郎が明治時代に造営した大邸宅の跡地に開かれた「藤田邸跡公園」があり、街中にもかかわらず静かなたたずまい。庭の中には1600年代に創建されこちらへ移築した「多宝塔」などがあり、本格的な日本庭園を楽しめます。IMG_1812

また、美術館は藤田傳三郎のコレクションを彼の蔵だったところに展示しているため、入口や窓などはそのまま蔵の扉を残してモダンな造り。内部は照明をできるだけ落とし展示物にスポットライトをあて、作品に集中して鑑賞できるよう工夫されています。館内にはお茶を楽しむ広々としたスペースもあり、となりの庭を観ながらゆったり過ごすこともできました。IMG_1804

展示物の中でも特に有名なのが、つい最近「美の壺」(NHK BSプレミアム)でも紹介されていた国宝の「曜変天目茶碗」。ここの展示物は国宝もふくめて撮影は自由。青色に碗の内外側にみられる光沢のある斑紋(曜変)は独特で、このような茶碗の完成品は世界で3碗しかないそうです。そのほかにも、絵画、書蹟、着物や考古物(勾玉(写真))などのあらゆる時代や種類の所蔵品があり、藤田家のコレクションをゆっくり鑑賞できます。IMG_1798IMG_1790

「ゼロゼロ融資」元金返済開始後、新たな『コロナ借換保証』制度 2023.04.24

ゴールデンウイーク明けの58日より感染症法の分類が2類から5類へ変更され、長かったコロナ禍からようやく通常の生活へ戻りつつあります。事業者の中にはコロナの影響で資金繰りが悪化したため、実質無利子・無担保・据置期間最大5年間のいわゆる「(民間)ゼロゼロ融資」を利用されている方も多いと思いますが、20237月から20244月にかけてその据置期間が終了し、いよいよ元金の返済が始まるとされています。

ただ、まだまだ業績や資金繰りが回復していない事業者も多く、新たに物価高や人手不足による賃金上昇の問題も出てきています。そこで、このような状況に対応するため、2023110日より中小企業庁は「民間ゼロゼロ融資」の返済負担軽減のため、新たに『コロナ借換保証』制度を開始しました。民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。 (meti.go.jp)これは、一定の要件を満たした中小企業者(売上または利益率が5%以上減少など)が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、借入れ後も継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き上げる制度(0.2%等(補助前は0.85%等))です。

この「経営行動計画書」については中小企業庁のホームページにサンプルが掲載keikaku_sample.pdf (meti.go.jp)されていて、伴走支援を受ける金融機関からアドバイスを受けながら作成することができます。加えて、この制度は「民間ゼロゼロ融資」からの借換えだけでなく、「他の保証付融資」からの借換えも可能になっていますので、いちど金融機関や最寄りの信用保証協会にお問い合わせされたらいかがでしょうか。(取扱期間:2024331日まで(予定))

消費税申告書等の新様式、「2割特例」に対応 2023.04.17

10月より開始する消費税インボイス制度、その登録件数は累計268万件(法人・個人事業者)に達し、当初は伸び悩んでいた個人事業者も3月中に増加、累計件数で856,060件、2016年の個人事業主数(198万件)に基づく登録率は43.2%、課税事業者(110万件)では登録率 77.8%となっています。これらは、個人事業者の方々が確定申告の納税時期でインボイス制度に対応された結果と思われます。

また、免税事業者など小規模事業者がインボイス発行事業者になった場合、税負担・事務負担を軽減するため売上税額の2割を納税額とする、いわゆる「2割特例」の負担軽減措置の導入(令和8930日の属する課税期間まで)があります。この「2割特例」では経費等の集計やインボイスの保存は必要なく、所得税・法人税の申告で必要な売上高・収入高を税率ごと(10%8%)に把握するだけで簡単に申告書を作成することができます。invoice.pdf (mof.go.jp)

そして、国税庁は331日付で、「2割特例」の適用等に対応する消費税申告書等の新様式を公表しました。「消費税の軽減税率制度に関する申告書等の様式の制定について」等の一部改正について(法令解釈通達) |国税庁 (nta.go.jp)この新様式では、「2割特例」の適用を受けることを示す『税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)』の欄が設けられていて、この欄に適用を受ける旨を付記することで、事前の届け出なしで適用を受けることができます。ただ、これは継続適用ではなく、その後の基準期間(2年前・2期前)における課税売上高が1千万円を超えた場合は、「2割特例」の対象とはなりません。いったん「2割特例」を適用できた事業者も、基準期間の課税売上高を確認する必要が出てきます。(財務省『インボイス制度の負担軽減措置のよくある質問とその回答 』問4(qa_futankeigen.pdf (mof.go.jp)

「賃上げ」と「賃上げ促進税制」 2023.04.10

最近の報道では「賃上げ」や「初任給の引上げ」を表明する企業が相次いでいて、これは上乗せ措置の適用により給与等支給増加額に対し最大30%(基本15%)の税額控除率となる「大企業向け賃上げ促進税制」も後押しているのは間違えありません。そして「賃上げ促進税制」は、中小企業向け(最大40%(基本15%))chinnagesokushin04gudebook.pdf (meti.go.jp)も含めて、その制度の内容で少なくとも令和6331日までに開始する事業年度まで適用されます。

ただ、中小企業は大企業ほど「賃上げ」に積極的でないとの報道もあります。そもそも中小企業の黒字企業割合は53.7%2022TKC経営指標より<黒字企業割合は53.7%(対前年比1.9ポイント増)>令和4年版「TKC経営指標(BAST)」を発行 ―全国354金融機関等で融資審査などに利用― | ニュースリリース | TKCグループ)で、税金を支払っていない赤字企業にとって、残念ながら「賃上げ促進税制」の恩恵を受けることはできません。また、黒字企業でも注意しないといけない点は、この制度には「控除上限」として「当期の法人税額の20%」は設けられていることです。前期以前からの繰越欠損金のため、「控除上限」により計算した税額控除限度額まで控除できず、あてが外れるケースもあり得ます。

従業員の方の給与をいったん上げてしまうと簡単に下げることは難しいですし、この制度は役員や親族に対する給与等は対象外です。また、給与額の他に社会保険料や退職時に発生する退職金の負担増についてもある程度考えておかなければいけません。「賃上げ」自体はたいへん歓迎すべきことですが、「賃上げ促進税制」を見越した「賃上げ」については慎重に判断する必要があると思われます。

「ChatGPT」TKC全国会ネットワークにアップ 2023.04.03

3月30日のネット・ニュースによると、米国ウォール・ストリート・ジャーナルやフォーブスは「高度な言語能力を持つ生成人工知能(AI)は、さまざまな専門職が現在行っている仕事の多くを迅速にこなすことができる」と米国の最新研究を基に報じていて、税理士はこの生成AIの一つである「ChatGPTChatGPT | OpenAIで最も影響を受ける職業のひとつとのことです。

一方で、国税庁は令和4年分所得税および消費税の確定申告の相談について、「チャットボット(ふたば)」チャットボット(ふたば)に質問する|国税庁 (nta.go.jp)を開設し、個人の方が国税に関して質問や相談したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力することによって、生成AI(人工知能)が24時間(土日を含め)自動回答するしくみになっています。現在は税目の相談範囲は所得税・消費税の確定申告・インボイス制度・年末調整で、休止中の年末調整も今年10月頃からが再開される予定です。

TKC全国会でも情報共有のためのイントラネット・サービスである「TKC ProFIT」で「ChatGPT」の使用手順書がアップされ、われわれ会員もそこから「ChatGPT」へ自由にログインできました。現在のところ、質問や相談した返答の内容でいうと課題があり(2021年時点のネット上にある無数の情報をもとに返答を生成し、一般的でないトピックや2022年以降の事象については誤った返答をする可能性が高いため)、人間自身の返答にまったく代わるものではありません。ただ、われわれの日々の業務の効率化や利便性を高めるには、この「ChatGPT」は大いに利用できるのではと思います。

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