日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
「倒産防止共済制度」と税務メリット 2023.07.24
全国約62万の中小企業者等が加入する「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」は独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営し、加入者の取引先事業者の倒産に伴う連鎖倒産等を防止するための制度。もし、取引先の倒産があった場合、掛金の積立額の最大10倍(無担保・保証人不要)まで貸付けを受けることができ、それ以外にも掛金の積立額を担保に「一時貸付」(返済期間 1年、利率 現在0.9%)が利用できます。経営セーフティ共済|経営セーフティ共済(中小機構) (smrj.go.jp)
実際のところ、税務上は掛金の全額(月額 5,000円から200,000円まで)を支払日の属する事業年度に損金算入できる(1年分の前納も可能)ため、この税務メリットを活かすため加入するケースも多いです。ただ、加入するにあたり次の注意点もあります。① 倒産防止共済は解約した場合、経過期間に応じた割合でも解約金を受け取ることになり、加入から40ヶ月以上継続しないと100%の払い戻し率とはなりません。具体的には12ヶ月以上 80%、24ヶ月以上 85%、36ヶ月以上 95%と一定の目減り額が生じますが、それでも他の金融商品と比べて解約時の戻り率の高い商品と言えます。
② 掛金の累計額は最大800万円までに限定されています。③ 解約した場合の解約金は全額を益金算入しないといけないため、掛金の損金算入による税務メリットはあくまで税金の繰延(先送り)になります。④ 税務申告書や確定申告書には一定の明細書(法人:別表十(七))の添付が必要です。ただ、これらの注意点を踏まえても、「中小企業倒産防止共済制度」は、中小企業者等にとってうまく利用すれば経営安定化や資金繰りの有効な手段になり得ますので、いちど制度の内容をご確認されることをお勧めします。
旧居留地あたりを散策 2023.07.18
本当に暑かった3連休、わたしは所用があり朝からJRで神戸三宮へ。そして、定刻まで時間があったので、メインストリートのフラワーロードから明石町筋にかけ、すこし旧居留地エリアを散策してみました。このあたりは約150年前の神戸開港当時、外国人の居留地として西欧の街づくりが持ち込まれたため、整然とした街割りの風景や近代風建物がところどころ残っています。
写真はフラワーロードを海側に10分ほど行ったところにある東遊園地。開港当時は居留外国人専用の運動場として使用されていたため、西欧にある公園の面影がよく出ています。いまでは、芝生や木々のなかに個性的なオブジェ(彫刻)が点在する市民のオアシスのような場所。ちなみにこの像の人物は作曲家のモーツァルトで、没後200年を記念して全国の有志の方々で建設されたとのことで、この公園の緑によくマッチしていました。
それから街を歩いていると、明治時代に使われていたものを復元したガス灯やレトロ感が出ている白い木製の電話ボックス(神戸市立博物館前)など、ちょっとしたアクセントにも趣向が凝らされています。
旧居留地にはよく知られるカフェが点在しますが、写真はそのカフェのひとつでテラス席から道路や向かいのお店を眺めた風景。この日はすでに気温もかなり高くなっていましたが、このテラスはヨーロッパ風の造りで天井も高く浜風も入ってくるので暑さを感じません。わたしはエスプレッソ(左)とカプチーノ(右)のセットを注文しましたが、店内は意外とおひとり様客も多く、じっくり珈琲の味と雰囲気を楽しめる場所になっています。
免税事業者、インボイス登録が必要ないケース 2023.07.10
6月27日付の日経新聞『(消費税の免税事業者)インボイス登録 1割のみ』の記事によると、インボイス制度の導入がことし10月開始にもかかわらず、現在のところ約500万の免税事業者のうち、インボイスを発行できるよう登録したのは1割程度とのこと。申請期限を23年3月末から9月末に延長し、またインボイス登録後3年間は納税額を売上時に受け取った消費税の2割とする経過措置(2割特例)2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁 (nta.go.jp)を設けたわりには、あまり進んでいないようにも見えます。ただ、登録は強制ではなくあくまで「任意」ですし、免税事業者のなかには以下のとおり、もともとインボイス登録が不要(登録しなくても不利が生じない)なケースがいつくかあります。
1つ目として、「顧客が個人の一般消費者のみ」のケースで、たとえば美容業や理容業を営む免税事業者などがそれにあたります。お客様から会社経費としての領収書を求められない限り消費税を差し引きするケースはなく、こちらからのインボイスの発行は不要になります。2つ目は、「顧客が簡易課税事業者か免税事業者が大半」のケースで、顧客側は消費税額の計算上消費税の控除の必要はないため、インボイス発行も求められません。ただ一方で、たえず顧客が簡易課税事業者か免税事業者であるか客観的に把握・確認する必要がでてきます。
最後として、「顧客との話し合いができている」ケースで、こちらが免税事業者のままでいても、従来の取引条件や価格(あるいは若干の値引き)で取引が継続することで了解を得られているのであれば、インボイス登録を行わない選択肢もあり得ます。ただ、インボイス登録を行わないとした場合、将来の事業に不利になってしまう事態も考えられます。事業は絶えず変化しますので、新規顧客や新しい業種に参入する場合でもインボイス登録がないことがデメリットになる可能性があります。もちろん、インボイス登録は23年10月以降でも可能ですが、これらのことを踏まえインボイス登録の可否を判断する必要があります。
宇治寺のアジサイ、ハスの花 2023.07.03
梅雨の本番で時より強い雨が降る週末、京滋バイパスですぐの宇治界隈を散策。まずは奈良時代に創建された古寺で、西国三十三所観音十番札所の「三室戸寺」へ。この寺は宇治市中心からすこし離れた宇治川の北に連なる明星山の中腹にあり、山門から参道を歩いて約60段の石段を登ると、たくさんのハスが楽しめる「蓮園」がある本堂に辿り着きます。ここでは、大賀ハスや古代バスなどめずらしい類のハスがあり、これから8月上旬にかけ見頃を迎えます。
また、山門横の約5,000坪の広大な庭園には約10,000株のアジサイが植えられていて、この三室戸寺は「アジサイ寺」としても有名。アジサイの見るのはこのように雨の日でとくに朝方に行くのがいいそうで、わたしが行った日は時期的にはすこし見頃を過ぎていましたが、お寺の方が言うには、朝の早い時間帯は花がしっかり上を向いているので、日光が強くなる日中に訪れるよりおすすめとのことです。
その後、昨日からの雨で水かさの増した宇治川にかかる宇治橋をわたって「平等院」へ。有名な鳳凰堂は2014年に修復されたため、さほど古さを感じませんが、10円玉の図柄でもある建物はとてもバランスのよい造りをしていると感じました。そして、この境内には「平等院蓮(びょうどういんばす)」と呼ばれているハスが植えられている鉢がところどころに置いてあり、これは1999年に平等院阿字池の発掘調査で江戸時代の地層から種が発見されたとのこと。こちらのハスもこれから8月上旬まで見頃になるそうです。
所得税等の予定納税額は、減額が可能なケースがあります 2023.06.26
先週あたりから、税務署より『令和5年分 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書(一般用)』が届いている方がおられると思います。所得税等にかかる「予定納税制度」所得税及び復興特別所得税の予定納税(第1期分)の納税をお忘れなく|国税庁 (nta.go.jp)とは、前年分(令和4年分)の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上の場合、その年(令和5年分)の所得税等の一部をあらかじめ納付する制度です。
納付期間は7月1日から7月31日まで(振替納税:7月31日引落し)ですが、予定納税義務のある方で、廃業・休業または業況不振等により、「その年(令和5年)の現況による申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額に満たないと見込まれる場合」は、『令和5年分 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書』を7月15日までに所轄税務署へ提出し、承認を受けることにより、この予定納税額を減額することができます。[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁 (nta.go.jp)
また、予定納税額の減額申請にあたって、① 上半期(1月1日~6月30日)の損益計算書を作成して、減額申請書に添付する ② この年(令和5年)の収入や所得は、上半期の損益計算書を基準として下半期の金額を予測して見積もる・・などが必要になります。今回は第1期分の予定納税額についてでしたが、11月の第2期分についても同様に予定納税額の減額申請が可能です。予定納税制度は税金の前払いのようなもので、業績が悪化して資金繰りが厳しくても、支払わない場合は罰則の対象になります。したがって、できるだけ早めに申請手続きを開始されることをお奨めします。
大阪の企業家105人 2023.06.19
梅雨の中休みの週末、すこし所用があり大阪へ。移動中の大阪メトロ(地下鉄)は欧米・アジア・インド・アラブなど国籍を問わず多くの外国人の方でいっぱい。今後もこれが再来年の大阪万博まで続いて、さらにこの活気が続いてくれればと思います。そのあいだ時間を見つけて、大阪にゆかりのある企業家105人を紹介されている「大阪企業家ミュージアム」を見学しました。
大阪産業創造館(大阪メトロ堺筋本町駅から徒歩5分)の建物地下にある主展示エリアでは、各分野で活躍された企業家ごとに小さなブースを設けて、展示されているゆかりの品々とともに、それぞれの方の業績が文章で紹介されています。たとえば、パナソニックの松下幸之助さんや日清食品の安藤百福さんなど、その会社に行けばこのような資料は展示されているでしょうが、たくさんの企業家の足跡を一度に辿ることができ(滋賀県出身の企業家は、(初代・二代)伊藤忠兵衛(伊藤忠商事)・弘世助三郎(日本生命保険)・山岡孫吉(ヤンマー))、大阪の特色を側面から理解するには良い機会になりました。大阪企業家ミュージアム (kigyoka.jp)
そのあと、ここから徒歩5分ぐらいのところにあるルネサンス風の歴史的建造物「綿業会館」(中央区備後町二丁目)へ。普段は限定された日のみ館内の見学が可能で、当日は閉館のため内部の様子はわかりませんでしたが、オフィス街の一角にあるこのレトロなビルディングは昭和6年の竣工当時、国際会議や社交場として使われていました。現在は「一般社団法人 日本綿業倶楽部」の管理で、2006年には国の重要文化財に指定、2007年には近代化産業遺産に認定。一般には事前の申し込みで昼食付の見学会やウエディングとして挙式・披露宴会場しても使用可能で、建物の様子からは大阪発展の歴史の一端を垣間見ることができます。
「草津市創業支援補助金」、令和5年度の募集期限は6月23日まで 2023.06.12
5月29日(金)から、創業3年未満で草津市内に事業所等を有する(予定を含む)方は、一定の条件のもと、創業ならびに支援機関による伴走支援を受けながら取り組む販路開拓に対し、その経費(謝金、設備費、店舗等借入費、販路開拓費、委託費、広告費)の一部を補助する「草津市創業支援補助金」の募集が開始されています。令和5年度 草津市創業支援補助金|草津市 (city.kusatsu.shiga.jp)また、新規創業(個人・法人)の場合、令和5年4月1日から令和6年2月15日までに創業を行う方が対象になります。
補助対象者は、① 申告時点で市内に居住し、住民登録を有すること(市内で法人登録を行う場合はその限りではない) ② 申請時に支援機関による支援を受けており、補助事業実施期間中も継続して支援を受けること ③ 補助事業の完了時点において、「個人事業」は開業届を提出済、「法人」は市内で法人登録済であること ④ 創業の形態は「新規創業(個人・法人)」、「法人成り」、「第二創業」、「事業承継」のいずれか・・の要件にすべて該当することが必要です。bosyuyoukou.pdf (city.kusatsu.shiga.jp)
補助限度額は50万円(補助率:2/3)ですが、県内大学等に在学中か卒業後2年以内(学生創業枠)、県外在住者が市内に転入し創業する場合(U/Iターン者枠)等の上乗せ条件に該当する場合、1項目につき25万円が上乗せされます。令和5年6月23日(金)17時まで(必着)に、「補助金交付申請書」等の提出書類を草津市商工観光労政課へメールか郵送により提出で、すでに募集期間は残り2週間弱になっており、提出を検討されている事業者の方は、提出書類のご準備を急いでいただく必要があります。
雨上がりの坂本「旧竹林院」 2023.06.05
先日、小雨が上がったばかりの大津市の坂本界隈を散策、そのなかにある延暦寺里坊のひとつで、庭園で有名な「旧竹林院」へ行ってきました。旧竹林院公式サイト (fc2.com)坂本は古くから延暦寺の門前町で栄え、一帯は国の重要伝統的歴史物建造物保存地区に指定されています。「里坊」とは山麓にある寺(延暦寺)の僧侶たちが、人里で生活するために構えた住まいのこと。そして「里坊」では、たいてい普通の住居のように庭園が造られました。
坂本界隈を歩くと特徴なのが、ところどころで見られる「穴太積み」の石垣。穴太積みとは、かつて坂本で穴太と呼ばれる地域で活躍した石垣職人の集団「穴太衆」が造ったもので、花崗岩の自然石を加工せずそのまま積み上げる「野面積み」という技法が用いられています。これらの技法が活かされたものは、竹田城(兵庫県)や姫路城など全国の城の石垣で見ることができます。
そして、「旧竹林院」の門にいたる石道も、左右をその「野面積み」で囲まれた造り。邸内には約3,300㎡の庭園が広がっていて、ちょうど雨上がりの湿気による辺りの苔のにおいで癒やされます。この庭は建物から眺めるだけでなく、庭内を散策することもでき、そのなかには大正時代に建てられた茶室や四阿(あずまや)を見ることができます。当日は雨にもかかわらず、ここ坂本でも多くの欧米の方やアジアの方など外国人観光客を見かけました。滋賀県でもインバウンドが本格的に戻りつつあるのを実感します。
滋賀県、既存住宅の省エネ対策などへ補助金強化 2023.05.29
滋賀県は、三日月知事が26日の定例会見で明らかにしたところによると、温室効果ガスや光熱費削減につながる既存の住宅への家庭向け断熱改修や効率のいいエアコンなどの設置に対しては、いままで実施されていた省エネ設備の導入等の支援をさらに強化することになりました。滋賀県広報 (shiga.lg.jp)
新たに設けられる補助金は ① 家の壁や屋根などに断熱材を入れるための改修に最大120万円 ② 最新のエアコンなど省エネ性能のいい空調設備の購入や高性能な換気設備の導入に最大5万円 ③ LED照明の購入に最大1万円 ④ 太陽光発電システムの導入・蓄電池の設置・高性能な給湯器の更新については最大30万円(昨年度まで4~6万円)になります。これらの補助に対する滋賀県の予算額は約2.4億円で、来月6月1月(木)から申請受け付けを開始します。(令和6年2月16日まで。予算額を超える申請があった場合は、その時点で受付を終了)申請先は、公益財団法人 淡海環境保全財団(滋賀県地球温暖化防止活動推進センター)です。
また、滋賀県はこの制度の拡充・改正にあたって、制度の内容について説明会(滋賀県スマート・ライフスタイル普及推進事業補助金 説明会)を開催します。説明会チラシ確 (shiga.lg.jp)ちなみに、大津会場の説明会は今週5月30日(火)14時から、コラボしが21 3階会議室で開催させる予定で、オンラインによる参加もできます。これらの補助金の強化策は対象住宅をお持ちの個人に還元される制度ですが、対象設備等を販売・工事を施工する事業者にとっても自身の事業につなげるチャンスにもなりますので、是非この機会を活用いただければと思います。
設備投資で新しい固定資産税の軽減制度がスタート 2023.05.22
令和5年度税制改正で「生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置」が先月4月からスタートしていて、わたしも「認定経営革新等支援機関」として事前確認する機会がありました。制度の概要としては、「対象企業」は市町村から先端設備等導入計画の認定を受け、かつ、資本金1億円以下等の税制上の要件を満たす中小企業、「計画認定要件」は3~5年の計画期間における労働生産性が年平均3%以上向上する等、基本方針や市町村の導入促進基本計画に沿ったものが必要になります。1-1_02_tebiki.pdf (meti.go.jp)
「導入計画」については、さきほど言いました通り、今までの軽減制度と同様われわれ税理士や金融機関等の「認定経営革新等支援機関」の事前確認が必要になります。具体的には「認定経営革新等支援機関」は確認後に『先端設備等に係る投資計画に関する確認書』4-4_03.docx (live.com)と『先端設備導入計画に関する確認書』seisanseiShienKakuninsho.docx (live.com)にそれぞれ投資・導入計画の所見を記載したうえ、導入企業に対し確認書を発行します。
「対象設備等」は投資利益率が年利5%以上の投資計画に記載された機械及び装置(160万円以上)、建物附属設備(60万円以上)等が対象になり、「特例措置の内容」として通常、固定資産税の課税標準に対し1/2の軽減が3年間継続します。また、新制度の特徴として、計画に賃上げ表明(雇用者全体の給与が1.5%増加することを従業員に表明)したことを証する書類を添付することで、1/3の軽減かつ軽減期間が4~5年間に延長する制度があります。ただし、もし表明した賃上げが達成されなかったとしても軽減期間の延長が取り消されないことになっています。