日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
伊賀の豆腐田楽 2021.03.15
この時期としては季節外れのはげしい雨のなか、新名神甲南ICから油日・柘植を経由し名阪国道を西に、三重県伊賀上野にある文化年間(江戸時代)創業の『田楽座 わかや』へ行ってきました。わかやは豆腐田楽で有名な店。豆腐田楽とは串に刺した豆腐に、砂糖やみりんを加えた味噌を塗付けて焼いたもの。海から遠い伊賀盆地では古くから栄養価の高い豆腐作りが盛んで、この豆腐田楽もこの地の人たちによく食べられてきました。
店の外観は昔ながらの落ち着いた造り。吹き抜けの店内は味噌を炭火で焼く香ばしいにおいで充満していました。ここで出される豆腐も味噌もこの店特製のもので、いずれも丁寧に作られていて、ごはんに乗せると淡白な白米の味にもよく合います。開店の11時に入りましたが、名古屋や京都の他府県のお客さんも多く、感染症対策で間隔をとっていたこともあり、早々に満席になっていました。
食事の後は雨上がりに、すぐ近くにある上野城を散策。城自体は1935年に復元されてものですが、純木造で再建された優美な天守や建築当時の石垣など、その時代の雰囲気がそのまま残されています。
「JTBの減資」で気づくこと 2021.03.08
新型コロナウイルスで大きな損失が発生してる大企業、なかには減資して税負担を軽くしようとする会社が出てきています。大手旅行会社JTBも資本金を現在の約23億円から1億円に減資し、資本金1億円以下の中小企業として税負担を軽減していくとのこと。このような報道を耳にすると、われわれ税理士の関与先法人はほとんどが資本金1億円以下の中小企業で、ふだん税額の軽減措置を当たり前に適用していることに気づかされます。
たとえば、会社は税務上赤字が生じても翌期以降に繰越して、繰越した期の所得額と相殺することができます。しかし、原則相殺できる金額は所得額の50%の金額、当期赤字額1000万円で翌期500万円の所得額が生じても相殺できる赤字額は250万円(500万円×50%)まで。一方、中小企業(中小法人等)は所得額の全額まで相殺が可能、つまり翌期の500万円所得額はすべて当期の赤字額と相殺できます。
法人税率についても現在23.2%が適用されていますが、中小企業(中小法人等)に限り年800万円以下の所得に対し15.0%へ軽減されています。つまり実効税率34.26%→25.24%、所得金額800万円で約70万円の税額減少で小規模事業者にとって貴重な税負担の軽減です。ただ、中小企業(中小法人等)に該当するか否かは、たとえ資本金が1億円以下であっても、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有されているなど、中小企業(中小法人等)に該当しない場合もあり個別に確認する必要があります。
消費税、来月より総額表示の義務化・10月よりインボイス制度の事業者登録がスタート 2021.03.01
2019年10月から始まった消費税の税率10%引上げと軽減税率の導入、早いものであれから1年半が経過しようとしています。現在おこなっている令和2年分確定申告、それに法人の決算でも、リース取引など以外に基本的に旧税率が存在することがなく、決算作業も導入当初より煩雑になることはなくなっています。
ただ、今年2021年は、消費税等について、ふたつの大きな制度がスタートします。ひとつは、来月4月1日より、消費者が商品を購入する際の値札やカタログなどの価格表示について、消費税等を含んだ支払総額で表示する「総額表示」が実質的に義務化(税抜表示を認めた経過措置の終了)されます。たとえば本体価格が10,000円の商品の場合、値札等には「11,000円」と顧客の支払総額を記載する必要が出てきます。
また、2023年10月から適用される「インボイス制度」により、事業者が消費税の仕入税額控除を適用するには「適格請求書」等の保存が必要になります。この「適格請求書」等、取引の売り主側が発行しますが、そのために売り主側は「適格請求書発行事業者」の登録が必要で、登録の申請受付は今年10月1日から開始されます。買い主側は登録を受けていない事業者からの仕入取引は仕入税額控除が制限されるため、売り主側にとって登録の有無は取引をするうえで非常に重要です。2023年10月の「インボイス制度」がスタートする時点で、すでに登録が完了しているよう早めに申請を開始するのがよいでしょう。
梅の木と伊吹そば 2021.02.22
週末は二月とおもえない季節はずれの暖かな陽気でしたが、近場で梅の花が楽しめる「寿長生の郷」へ行ってきました。ここは大津市の里山にあり、6万3千坪の敷地に約1千本の梅の木を擁する和菓子の名店の本拠地。行ってみるとまだ満開にはほど遠く、二分咲きといったところで、訪れる人もまばらでした。
写真は敷地内にある和食レストランで食べた「伊吹そば」。1か月前の新聞記事によると、平安か鎌倉時代の米原市の在来種が復活し「幻のソバ」と言われていて、国が地域ブランドとして保護する地理的表示(GI)に、2019年ソバとしては3品目に登録されたそうです。食べてみると、控えめですがソバ本来の味がしっかり残っていて、すこし濃い目のつゆともよく合いました。
経済産業省や滋賀県、3月より飲食店等への各種支援を開始 2021.02.15
経済産業省のホームページより、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅・中小事業者(緊急事態宣言の発令地域に限る)に対する一時支援金(中小法人等60万円、個人事業者等30万円)の概要が公表されています。一時金の申請は3月初旬開始の予定で、申請前に税理士などの「事前確認機関」による事前確認が必要です。
同じく経済産業省ホームページより、これは飲食店業のみ対象でなく業種全般に対してですが、企業の思い切った事業再構築を支援する『中小企業等事業再構築促進事業』の概要が掲載されました。中小企業で補助対象に該当すると、事業の新構築に対し100万円~6,000万円・補助率2/3(通常枠)の範囲内で補助されます(3月公募開始予定)。飲食業の場合、この事業の活用イメージとして、「喫茶店経営・・飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。レストラン経営・・店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施」などの事例が紹介されています。
最後に滋賀県三日月知事は2月5日、感染拡大の影響を受けている飲食店や関連事業者のうち、販路拡大や事業転換に取り組む事業者を支援する考えを明らかにしました。具体的には、総額5億円以上の予算額を設定し、事業者あたり50万円程度の補助する見込みで、3月中の受付け開始を目指すとのことです。
申告・納付期限および振替納税の口座振替日が延長されました 2021.02.08
国税庁より令和3年2月2日付で申告・納付期限について、全国一律で令和3年4月15日(木)まで延長する旨が発表されました。昨年にひきつづき、新型コロナウイルスの感染の影響によるもので、緊急事態宣言と確定申告時期が重なることから、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混在回避を目的としています。
申告期限は、● 申告所得税・贈与税 【当初】令和3年3月15日(月)→ 【延長後】令和3年4月15日(木) ● 個人事業者の消費税 【当初】令和3年3月31日(水)→ 【延長後】令和3年4月15日(木)になり、申告所得税・贈与税は1か月の延長ですが、個人事業者の消費税は約半月の延長ですのでご注意ください。
これにともない振替納税の振替日も、● 申告所得税・贈与税 【当初】令和3年4月19日(月)→ 【延長後】令和3年5月31日(月) ● 個人事業者の消費税 【当初】令和3年4月23日(金)→ 【延長後】令和3年5月24日(月)になります。
医療費控除、令和2年分は明細書の添付が必要になります 2021.02.01
令和2年分の確定申告(期間:令和3年2月16日~3月15日)、税務署(草津)からの事前連絡では、申告相談会場の混雑をさけるためソーシャルディスタンスを確保したレイアウトや申告相談に来られる納税者に対し「入場整理券」を配布するなどの取組みが実施されているとのこと。「入場整理券」の発行にあたっては、申告相談会場での当日配布のほか、LINEを利用したオンライン事前発行も導入されています。ちなみに、税務署駐車場は、2月1日から3月15日までの間、使用不可になりますのでご注意ください。
確定申告では利用されることが多い医療費控除ですが、令和2年分からは「医療費控除の明細書」を提出することが必須になりました。令和元年分までは「明細書」の添付に代え医療費の領収書の添付も認められていましたが、令和2年分からは「明細書」の無いものは医療費控除の適用を受けることができません。一方で、医療費の領収書の添付は不要になり、確定申告期限から5年間、税務署から提示を求められた場合のため、自宅等で保管することになります。
会社員など給与所得者の医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)の場合で、ふだん確定申告の必要がない方の「還付申告」については、すでに1月1日から申告が可能になっています。また、3月16日以降でも申告可能になった日から5年以内(令和2年分:令和7年12日31日まで)であれば申告ができます。税務署や申告相談会場での感染を心配されている納税者の方は、できるだけ混雑する時期を避けて申告することをおすすめします。
『雇調金特例 延長へ』 2021.01.25
新型コロナウイルスの感染拡大にともない雇用調整助成金を申請して受給するケースがふえていますが、雇用を維持しようとする事業者とっては貴重な財源になっています。1月20日の日経新聞記事『雇調金(雇用調整助成金)特例 延長へ』では、現在2月末までになっている期限が緊急事態宣言解除の翌月3月末まで、宣言期間が1か月程度延びれば、特例期間も4月末になるとのことです。また、一部では6月末との報道もあります。
また、以前にもふれましたが、この雇用調整助成金については収益として計上する時期に注意が必要です。たとえば、現在2020年12月期の決算を行っている法人の場合、12月の休業時期にかかる雇用調整助成金は、支給決定通知が届いていなくても、事前に労働局等へ「計画届」を提出している場合は、12月の休業手当(費用)と対応させるため12月末決算で未収計上(収益)しなければいけません。支給される金額が確定しない場合でも、見積りした金額で未収計上することになります。
ただ、『週刊 税務通信No.3639』(令和3年1月25日)によると、新型コロナウイルスの特例措置による手続きの簡素化で、事前の「計画届」の提出がされていないケースがあります。このケースでは、支給の決定を受けた事業年度に支給額を収益計上すればよく、見積り計上は不要とのことです。したがって、一律に支給決定を受けた日(給付通知書などに記載されている支給決定日)としている持続化給付金や家賃支援給付金などとは取り扱いが異なります。
(再掲)固定資産税減免特例の適用申請、期限は2月1日まで 2021.01.18
先週1月15日で申請の受付けを終了する予定だった「持続化給付金」、「家賃支援給付金」は、急きょ来月15日まで延長されることになりました。ただ、給付条件はまったく変更がないので、新たに給付対象になる中小事業者が増えるのではなく、あくまで感染拡大の影響で申請手続きに遅れが出るケースを考慮してのことです。それより重要なのは、今月から始まっている「固定資産税減免特例」の適用の申請です。
この「固定資産税減免特例」、令和3年度課税分の固定資産税等(令和3年1月1日時点の所有資産)に限り、新型コロナウイルスの影響で、令和2年2月から同年10月までの間に連続する3か月間の売上高が、対前年同期比で50%以上減少した場合は「全額免除」、30%以上50%未満減少した場合は「2分の1に軽減」される制度ですので、中小事業者等にとっては、2月から10月までの売上高の対前年同期比の確認が必要になります。
減免特例の対象資産は、固定資産税の課税対象である土地・建物・償却資産のうち、事業用家屋(減価償却費が税法上の損金または必要経費に算入されたもの)および償却資産(固定資産税を支払っているリース資産も対象)に限られます。減免特例の適用には、中小事業者等が税理士・会計士などの認定経営革新等支援機関等の申告書の確認(① 中小企業者等に該当するか ② 売上減少 ③ 特例対象家屋の居住用・事業用割合)および対象資産のある市町村等が定める様式の申告書を発行してもらう必要があり、申請期限の令和3年2月1日までにその申告書に必要書類を添付して軽減の申請を行います。
『草津市家賃支援給付金』 2021.01.11
新型コロナウイルスの影響で売上げが大きく落ち込んだ中小事業者を支援する「持続化給付金」、「家賃支援給付金」は、当初の予定どおり今週15日(金)で申請の受付けが終了します。令和2年分の確定申告をされる個人事業主で、すでに昨年中「持続化給付金」、「家賃支援給付金」に受け取った方は、その給付額を雑収入(消費税:課税対象外)で計上することになります。特にふだん事業で使用しない銀行の個人口座に振り込まれた方は、計上モレ(仕訳:「事業主貸/雑収入」など)が起こらないよう注意が必要です。
また、「家賃支援給付金」の給付決定を受けている中小事業者の内、① 草津市内に本店を登記している法人、② 草津市内に住民登録を有している個人で、申請の対象となる支払賃料が草津市内に所在する建物・土地の支払賃料である場合は、『草津市家賃支援給付金』の給付を受けられる可能性があります。ただ、これら要件のため、たとえ草津市内で事業を行なっていても、本店の登記や住民登録が草津市内でない法人や個人は、残念ながら給付対象外になってしまいます。
『草津市家賃支援給付金』の支給額は、国の「家賃支援給付金」の給付額の1/6に相当する金額(法人の場合で最大100万円・個人の場合で最大50万円)になり、給付申請は令和3年2月26日(金)まで(なるべくオンライン申請で、郵送でも可)。問い合わせは、草津市商工観光労政課(077‐561‐2351)で受付けしています。