日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
確定申告、延長された期限(4/15)までに申告が困難な場合 2021.04.19
新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、1か月延長された確定申告期限の4月15日が経過して、なお申告・納付等が困難な場合について、国税庁は4月6日付ですでに個別延長の取扱いを明らかにしています。(『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』)
それによると、新型コロナウイルス感染症の影響により期限(4/15)までに申告・納付ができないと認められるやむを得ない理由がある場合は、所轄税務署長へ『災害による申告、納付等の期限延長申請書』を提出することにより、所轄税務署長が指定した日(その理由がやんだ日から2か月以内の範囲)まで期限を延長することができます。(「FAQ 問1-2.」)したがって、これまで認められていた・・申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と所定の文言を記載する「簡易な方法」・・は改められています。
ここでの「期限の個別延長が認められるやむを得ない理由」には、主なものとして、① 税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症に感染したこと ② 納税者や経理担当者の(青色)事業専従者が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実があること ③ 納税者が、保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けたこと(「FAQ 問2.」)などがあげられています。
「事業再構築補助金」、4月15日より申請受付け開始します 2021.04.12
3月26日から公募が開始されている「事業再構築補助金(第1回)」、今週4月15日より申請の受付けが開始されます。すでに公募にともない『公募要領(第一回)』が公表されていて、申請要件の具体的な内容もわかるようになってきました。まず、「事業再構築補助金」は電子申請のみ可能で、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要になりますが、公募時点で電子申請の需要増加で「GビズIDプライムアカウント」の発行に最大3~4週間程度かかっているとのことです。これでは公募期間中に申請が不可能なため、特例措置として最大48時間程度で発行可能となる「暫定GビズIDプライムアカウント」で申請が可能になりました。(事後的に「GビズIDプライムアカウント」の取得は必要)
申請の添付書類で一番重要になる「事業計画書」については、『公募要領(第一回)』にある「10.事業計画作成における注意事項」に沿って作成することになります。これには、経済産業省『事業再構築指針の手引き(1.1版)』で事業再構築の類型(新分野展開、事業転換など)ごとに「定義・事業計画で示す事項・満たすべき要件など」が具体的に記載されています。「事業計画書」にあたっては、これら条件をクリアしつつ作成するのも一つの方法ではと思います。
なお、第1回の公募締め切り(4月30日)後、さらに4回程度の公募を予定していて、第2回の公募は5月から開始するとのことです。ただ、公募の内容はその都度改定されますので、いつも最新のものをホームページ等で確認する必要があります。
大原野菜とスグキ漬け 2021.04.05
週末、小雨まじりの天気のなか、野菜と漬物を買いに大原へ行ってきました。朝早く自宅を出て、琵琶湖大橋から伊香立を経て、途中峠を越えると一時間ほどで四方を山で囲まれ、高野川が流れる大原盆地に着きます。せっかくなので、開門早々で参拝者もまばらな「大原 三千院」へ寄ることに。ここに来るまで山に自生している満開の山桜を見てきましたが、三千院境内の桜も雨にぬれた苔の緑とのコントラストが映え、奥の院にある枝垂れ桜もちょうど見頃をむかえていました。
その後、採れたての大原野菜が手に入る「里の駅 大原」へ。ここは大原や近郊の静原で採れる野菜や加工品・特産品を取り扱う直売所。写真は「のらぼう菜」というアブラナ科の野菜で、夕食にゴマ和えして食べると苦味もエグ味もなく美味しかった。
また、長らく食べていなかった「酸茎(スグキ)漬け」も見かけました。スグキは日本では珍しい乳酸発酵させたカブラの茎と葉の漬物で、「柴漬け」や「千枚漬け」と並んで京都の三大漬物と呼ばれています。久しぶりに自宅で茎の方を大きく切って食べてみると、独特の酸味もほどよくて、淡白なごはんともよく合う味覚です。
滋賀県、飲食業ほかの事業販路開拓等の支援策を発表 2021.03.29
先週、滋賀県より緊急事態宣言の再発令により影響を受けた県内の中小企業等を対象に『新型コロナウイルス感染症対策経営力強化支援事業【緊急枠】』として、「売上確保のために行う緊急的な取組に必要な経費の支援(A)」および「国の一時金支援金(B)への上乗せ」が実施されることが発表されました。((A)、(B)いずれか一方のみ申請可能)
(A)の売上確保支援の場合、対象者は飲食業・飲食関連事業を中心に緊急事態宣言の再発令により影響を受けた県内の中小企業者等(対象業種は飲食業以外にも多岐にわたっており、申請時に確認が必要です)で、飲食店の時短営業または不要不急の外出・移動の自粛により、2019年比または2020年比で2021年の1月、2月または3月の売上が30%以上減少(国の一時支援金は50%以上減少で、適用範囲が広いです)している県内に事務所または事業所を有する事業者になります。
(A)の売上確保支援の対象事業は、売上確保のために実施する販路開拓等の取組に必要な経費(例:テイクアウトやデリバリーに要する経費、新商品開拓や新業態への進出に要する経費)が対象で、実際に購入したことが分かる領収書・レシートが必要ですが、支援される補助金は限度額 50万円(下限 20万円)・補助率 9/10以内になります。受付期間はオンラインによる申請であれば令和3年3月26日~4月30日(郵送申請:4月5日~4月23日)、問い合わせは滋賀県経営力強化支援センター(0570‐087‐770、平日 9:00~17:00)で、すでに受付を開始しています。
この年度末から『消費税申告期限延長届出書』の提出が可能です 2021.03.22
令和2年度税制改正により、消費税にも、法人税や住民税で可能だった申告期限の延長が認められるようになりました。すでに法人税で申告期限延長を適用している法人にとって、法人税の申告作成過程で生じた消費税の申告内容の変更に期限内で対応でき、決算期末から申告までの事務負担の軽減にもつながります。
この改正は、令和3年3月31日以降に終了する事業年度の属する課税期間から適用されます。延長申請は「適用を受けようとする事業年度の属する課税期間の末日まで」で、この年度末決算から適用するのであれば、『消費税申告期限延長届出書』を今月31日までに提出する必要があります。
ちなみに、消費税の還付を早く受ける等の理由により「消費税の課税期間の特例」を選択している法人は、事業年度の初日から3か月または1か月ごとに区分した各期間を課税期間として消費税の申告をしています。ただこのような場合、事業年度の各課税期間のうち事業年度の末日に属する日の課税期間のみ、申告期限の延長が適用されますので注意が必要です。
伊賀の豆腐田楽 2021.03.15
この時期としては季節外れのはげしい雨のなか、新名神甲南ICから油日・柘植を経由し名阪国道を西に、三重県伊賀上野にある文化年間(江戸時代)創業の『田楽座 わかや』へ行ってきました。わかやは豆腐田楽で有名な店。豆腐田楽とは串に刺した豆腐に、砂糖やみりんを加えた味噌を塗付けて焼いたもの。海から遠い伊賀盆地では古くから栄養価の高い豆腐作りが盛んで、この豆腐田楽もこの地の人たちによく食べられてきました。
店の外観は昔ながらの落ち着いた造り。吹き抜けの店内は味噌を炭火で焼く香ばしいにおいで充満していました。ここで出される豆腐も味噌もこの店特製のもので、いずれも丁寧に作られていて、ごはんに乗せると淡白な白米の味にもよく合います。開店の11時に入りましたが、名古屋や京都の他府県のお客さんも多く、感染症対策で間隔をとっていたこともあり、早々に満席になっていました。
食事の後は雨上がりに、すぐ近くにある上野城を散策。城自体は1935年に復元されてものですが、純木造で再建された優美な天守や建築当時の石垣など、その時代の雰囲気がそのまま残されています。
「JTBの減資」で気づくこと 2021.03.08
新型コロナウイルスで大きな損失が発生してる大企業、なかには減資して税負担を軽くしようとする会社が出てきています。大手旅行会社JTBも資本金を現在の約23億円から1億円に減資し、資本金1億円以下の中小企業として税負担を軽減していくとのこと。このような報道を耳にすると、われわれ税理士の関与先法人はほとんどが資本金1億円以下の中小企業で、ふだん税額の軽減措置を当たり前に適用していることに気づかされます。
たとえば、会社は税務上赤字が生じても翌期以降に繰越して、繰越した期の所得額と相殺することができます。しかし、原則相殺できる金額は所得額の50%の金額、当期赤字額1000万円で翌期500万円の所得額が生じても相殺できる赤字額は250万円(500万円×50%)まで。一方、中小企業(中小法人等)は所得額の全額まで相殺が可能、つまり翌期の500万円所得額はすべて当期の赤字額と相殺できます。
法人税率についても現在23.2%が適用されていますが、中小企業(中小法人等)に限り年800万円以下の所得に対し15.0%へ軽減されています。つまり実効税率34.26%→25.24%、所得金額800万円で約70万円の税額減少で小規模事業者にとって貴重な税負担の軽減です。ただ、中小企業(中小法人等)に該当するか否かは、たとえ資本金が1億円以下であっても、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有されているなど、中小企業(中小法人等)に該当しない場合もあり個別に確認する必要があります。
消費税、来月より総額表示の義務化・10月よりインボイス制度の事業者登録がスタート 2021.03.01
2019年10月から始まった消費税の税率10%引上げと軽減税率の導入、早いものであれから1年半が経過しようとしています。現在おこなっている令和2年分確定申告、それに法人の決算でも、リース取引など以外に基本的に旧税率が存在することがなく、決算作業も導入当初より煩雑になることはなくなっています。
ただ、今年2021年は、消費税等について、ふたつの大きな制度がスタートします。ひとつは、来月4月1日より、消費者が商品を購入する際の値札やカタログなどの価格表示について、消費税等を含んだ支払総額で表示する「総額表示」が実質的に義務化(税抜表示を認めた経過措置の終了)されます。たとえば本体価格が10,000円の商品の場合、値札等には「11,000円」と顧客の支払総額を記載する必要が出てきます。
また、2023年10月から適用される「インボイス制度」により、事業者が消費税の仕入税額控除を適用するには「適格請求書」等の保存が必要になります。この「適格請求書」等、取引の売り主側が発行しますが、そのために売り主側は「適格請求書発行事業者」の登録が必要で、登録の申請受付は今年10月1日から開始されます。買い主側は登録を受けていない事業者からの仕入取引は仕入税額控除が制限されるため、売り主側にとって登録の有無は取引をするうえで非常に重要です。2023年10月の「インボイス制度」がスタートする時点で、すでに登録が完了しているよう早めに申請を開始するのがよいでしょう。
梅の木と伊吹そば 2021.02.22
週末は二月とおもえない季節はずれの暖かな陽気でしたが、近場で梅の花が楽しめる「寿長生の郷」へ行ってきました。ここは大津市の里山にあり、6万3千坪の敷地に約1千本の梅の木を擁する和菓子の名店の本拠地。行ってみるとまだ満開にはほど遠く、二分咲きといったところで、訪れる人もまばらでした。
写真は敷地内にある和食レストランで食べた「伊吹そば」。1か月前の新聞記事によると、平安か鎌倉時代の米原市の在来種が復活し「幻のソバ」と言われていて、国が地域ブランドとして保護する地理的表示(GI)に、2019年ソバとしては3品目に登録されたそうです。食べてみると、控えめですがソバ本来の味がしっかり残っていて、すこし濃い目のつゆともよく合いました。
経済産業省や滋賀県、3月より飲食店等への各種支援を開始 2021.02.15
経済産業省のホームページより、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅・中小事業者(緊急事態宣言の発令地域に限る)に対する一時支援金(中小法人等60万円、個人事業者等30万円)の概要が公表されています。一時金の申請は3月初旬開始の予定で、申請前に税理士などの「事前確認機関」による事前確認が必要です。
同じく経済産業省ホームページより、これは飲食店業のみ対象でなく業種全般に対してですが、企業の思い切った事業再構築を支援する『中小企業等事業再構築促進事業』の概要が掲載されました。中小企業で補助対象に該当すると、事業の新構築に対し100万円~6,000万円・補助率2/3(通常枠)の範囲内で補助されます(3月公募開始予定)。飲食業の場合、この事業の活用イメージとして、「喫茶店経営・・飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。レストラン経営・・店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施」などの事例が紹介されています。
最後に滋賀県三日月知事は2月5日、感染拡大の影響を受けている飲食店や関連事業者のうち、販路拡大や事業転換に取り組む事業者を支援する考えを明らかにしました。具体的には、総額5億円以上の予算額を設定し、事業者あたり50万円程度の補助する見込みで、3月中の受付け開始を目指すとのことです。