日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
公表された国税庁「FAQ」は、税理士への感染にも言及 2020.04.06
3月25日、国税庁より『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』が発表されました。「FAQ(Frequently Asked Questions)」とは、「よくある(あるいはあると想定される)質問とその回答とを集めたもの」で、新型コロナウイルス感染症の影響による具体例が計35問公表されています。
そのなかで、われわれ税理士についても言及されていて、「国税の申告・納付期限の個別延長が認められるやむを得ない理由」に・・税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症に感染したこと。経理担当部署の社員が感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったことにより企業や個人事業者、税理士事務所などが通常の業務体制を維持できない状況が生じたことなど・・が認められています。
もちろん、こういうことでご迷惑はかけたくないですが・・個別延長を申請する際には、申請書に申告・納付等ができない状況を確認するため、申請者の状況、税理士の関与状況、部署の閉鎖や業務制限の状況などを記載する必要があります。何やら物騒な時勢になってきました。一日も早く収束して、いつもの日常が戻ってくれるのを願うのみです。
内食で「巣ごもり」 2020.03.30
先週末は新型コロナウイルスの感染拡大で東京都とその周辺、それに大阪府や兵庫県でも不要不急の外出は控えるよう要請が出ていました。滋賀県は現在、幸いにも感染者は6名にとどまっていますが、外出しても人通りはかなり少ないです。われわれの業界も会合の延期・中止が相次ぎ、確定申告が一段落して増えるはずだった外食の機会もなくなりました。わたしも世間の趨勢にならって、この週末ほぼ「巣ごもり」状態。それでも、関与先からいただいた食材で内食して、それなりに楽しんでいます。写真は、ある事務担当の方が自宅の庭で作られたチーズと鶏肉の燻製(くんせい)で、自身で真空パックもされています。チーズも燻製にすることで独特の風味とコクがより増して、自前のシャブリ・ワインともよく合いました。
それから、専業農家の方からいただいたハウス栽培の青ネギをお好み焼きの材料に。農業は自然が相手ですのでいろいろご苦労もありますが、事業主の方はまだ若く、事業を大きくしようとする意欲も旺盛です。そしてデザートは、確定申告の署名押印時にいただいた熊本産のデコポン。皮をむくと一袋一袋しっかり歯ごたえがあり、食べると甘さと酸味のバランスがいい。とりあえずこんな状況でも、おかげ様で「巣ごもり」を楽しむことができました。
関宿近くの鰻の店 2020.03.23
われわれの業界も新型コロナウイルスによる影響が出てきています。といっても、確定申告後に予定されていた研修会や部会の延期や中止、毎年申告書の署名押印で来所いただいていた関与先様も郵送での対応など。もっとご苦労されている事業者の方も多い中、できるだけ早く事態が収拾されることを願うばかりです。
昨日お昼に滋賀県から三重県に入る鈴鹿峠を越えた国道1号線沿いにある『うなぎの初音』へ。ここは行列の絶えないことで有名な老舗で、名物は鰻の蒲焼きを使った名古屋メシ「ひつまぶし」。3枚に切り分けた鰻の身をお櫃に入れたご飯にのせ、それをお茶碗に盛って食べます。その食べ方は・・そのまま食べる、ネギやワサビなどの薬味と混ぜて食べる、そして最後は出し汁をかけてお茶漬けのようにして食べる・・の3通りあるとのこと。実際やってみると、焼目の香ばしい鰻をいろんな味の変化で堪能することができ、得したような気分になれます。
また、国道1号線と並行して旧東海道がはしっていて、近くに関宿の建物保存地区があるので、すこし散策することに。観光客はまばらでしたが、江戸時代後期から明治時代の町屋がよく保存されていて、内部の様子を当時そのままに展示していたりして、当時の宿場町の雰囲気を感じることができました。
消費税、税率アップによる確定納付額の増加に注意 2020.03.16
3月16日は本来であれば、令和元年度の申告所得税(および復興特別所得税)の申告期限・納付期限ですが、令和2年4月16日まで延長されたのは、みなさんご承知のとおりです。また、先週3月6日付で国税庁より、申告・納付等の延長に伴い、延長後の振替納税日が申告所得税等 令和2年5日15日(従来 令和2年4月21日)、個人事業者の消費税等 令和2年5月19日(従来 令和2年4月23日)に定められました。
ところで、3月末は多くの法人の決算末にあたり、4月1日からの決算・申告業務の準備をされている方もおられると思います。今決算期は平成31年4月から令和2年3月の間に10月1日より消費税率アップがあるため、令和2年5月末に申告・納付する確定消費税額が見込みより増加することがあるので注意が必要です。
たとえば、前期(平成30年4月から平成31年3月)の消費税等の年額が800万円だった場合、当期(平成31年4月から令和2年3月)では年3回 消費税等の中間納付額 各200万円(800万円÷4)を納付しています。当期も課税売上高が前期と同額とすれば、申告時の令和2年5月末に納付する消費税等の額は200万円(800万円-200万円×3回)と中間納付額と変わりません。ただ、当期に限っては、令和1年10月よりの税率アップしているため、増加した消費税等の額(この場合、100万円)を、すべて5月末の確定申告で納付(300万円=200万円+100万円)することになります。このように、今決算期は消費税等の納税額が大きくなる傾向にあるので、資金繰りを管理するうえで5月末の確定納税額をしっかり把握する必要が出てきます。
法人成り、「合同会社」でも 2020.03.09
確定申告も一段落し、個人事業者のなかには、法人成りを検討されている方もおられると思います。法人成りすることによって、社会的信用も増し、一定以上の事業所得がある場合、役員報酬にかかる給与所得控除等で節税効果も期待されます。ただ、ほとんどのケースで選択される株式会社の設立では、設立費用や定期的に更新しなければならない役員登記など、費用や事務処理の負担の問題が出てきます。そこで、このような株式会社の設立に代わって、法人成りへのハードルをより低くした「合同会社」があります。
「合同会社」とは、株式会社と同じく会社形態の一つで、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である会社形態です。現在の株式会社である中小企業もほとんど経営者と出資者は同一ですので、最近は「合同会社」を選択するケースが増えてきています。前述の費用や事務処理の負担軽減以外に「合同会社」のメリットとして、設立が簡略化されているにもかかわらず同じ税制が適用され、会社設立による恩恵を株式会社と同様に受けることができる点があります。
しかし、未だ「合同会社」という名称の認知度が低く、株式会社より比較して不利と考えられる事業者の方も多いです。ただ、意外と知られていないですが、みなさんがよくご存じの企業、Apple Japan、グーグル、アマゾンジャパン、西友、エクソンモービル・ジャパンも「合同会社」です。これらは外資系企業ですが、極力無駄を省いて、迅速な経営判断をしたいという合理的な判断で「合同会社」を選択したと考えられます。
「挺住!!武漢」 2020.02.28
一昨日、TKC税効果会計システム「eTaxEffect」、連結納税システム「eConsoliTax」の2020年3月度向けフォローアップのため、大阪にあるTKC難波ワークショップへ。毎年この時期にある説明会ですが、ことしに限っては難波周辺の様子はいつもと全く違っています。テレビのニュースのとおり、中国人をはじめとするアジアの観光客はごくわずかで、いつもは多くの人でごった返していた道頓堀も流れはスムーズに。また、通りでは「挺住!!武漢」のシートが短い間隔で掲げられていました。そして27日、国税庁から新型コロナウイルスの感染拡大を受け、所得税の確定申告の期間を4月16日まで延長する発表がありました。
写真は、昼の食事をした大丸心斎橋本館 地下2Fのフードホールの風景。わたしはいろんな料理のブースの中からタイ料理にしました。ここに行くのは昨年9月のリニューアルオープン以来ですが、そのときよりお客さんの数は少ないように感じました。企業の経済活動にも影響が出はじめています。やはりできるだけ早期の収束を願います。
NHKラジオの英語番組 2020.02.17
正月早々、税理士が集まる賀詞交歓会にある国の領事館の方が来られて、英語でお話しする機会がありました。以前英語をよく話していた頃ほどではないにしろ、会話の方はなんとか進行、こちらが用意した2次会にも参加してくれホッとしました。それに比べて、仕事でときどきある英語によるメールのやりとりの方が楽です。そして、いまでもNHKラジオの英語番組だけは、時間の見つけて繰り返し聞くようにしています。
わたしのおすすめのラジオ講座は『高校生からはじめる「現代英語」』。この番組は高校生といっても受験英語ではなく、英語ニュースを素材に、いま世界で使える英語を身につけることを主題としています。週ごとに1つの話題を取り上げていて、ちなみに3月は「「アビイ・ロード」アルバムチャートに返り咲き」、「タピオカブームに台湾が注目」など。単に英語ニュースをリスニングするだけでなく、「反訳トレーニング」といって日本語から英語に訳す学習のコーナーもあり、話す・書く能力が身につけることができます。もっとやさしい英語を勉強したいのであれば『遠山顕の英会話楽習』。遠山顕さんは、従来から肩肘を張らない教え方でリスナーの間では非常に人気のある方ですが、この番組では会話ですぐ使えそうな自然な英語表現、やり取りのコツなどがたくさん盛り込まれています。
消費税率以外でも法人に対する各税率が大幅に変更 2020.02.10
2019年10月1日から消費税率10%への変更について、みなさんご承知のとおりですが、事業を営む法人に課される各税金の税率についても、2019年10月1日から開始する事業年度より大幅に改正されています。たとえば、草津市に所在する法人の場合、法人税 23.2% → 23.2%(変わらず)、地方法人税 4.4% → 10.3%、法人県民税(滋賀県) 4.0% → 1.8%、法人市民税(草津市) 12.1% → 8.4%、法人事業税 6.7%→ 7.0%、地方法人特別税 43.2% →(廃止)、特別法人事業税(創設)37.0% となっています。(法人に課される税金だけで、これだけあります)
にもかかわらず、実効税率、つまり法人の所得金額に対する上記税金の合計額の割合は、ほぼ変わりません。実効税率の基本的な計算式は、{法人税率 + 法人税率 × (地方法人税率 + 法人県民税率 + 法人市民税率) + 法人事業税率}/{1+法人事業税率}(法人事業税は所得の計算上費用になるため分母にも入ります)で、税率34.263%から34.260%へわずかに低下するだけです。
地方間での税収の偏在の是正など、地方の法人課税の税源の差を改善するため必要な改正と理由付けされていますが、われわれ税理士からいうと、もっとシンプルでわかりやすい税金のしくみにできないかと思います。この改正は2019年10月1日開始の事業年度から適用されるので、2020年3月31日の予定申告書から適用にされ、そのときに地方税の申告書様式も変更されているでしょう。いずれにしても税務申告ソフトが対応してくれ、とくに作業が増えるわけでもないですが、こういうとき手書きの時代に税理士をやってなくてよかったと思わざるを得ません。
オペレーティング・リースもオンバランスへ 2020.02.03
リース取引は、事業用資産をリース会社から借り受けることで、毎月の賃借料さえ払えば、その資産を購入したものと同じように使用することができます。したがって、リース取引を利用することによって、新しい資産を購入するための資金調達をする必要がありません。新規の資金調達をすることなく新しい設備を事業に使用することができるリース取引は、財務的にもメリットが大きい商取引といえます。
リース取引での資産の借り手側が行う会計処理は、① ファイナンス・リース取引 ② オペレーティング・リース取引の2つの処理方法があります。ファイナンス・リースとは、会計上の視点ではその実態が売買取引とみなされるもので、会計処理も「リース資産/リース未払金、リース未払金/現預金、リース減価償却費/リース資産」(所有権移転外リース)と通常の資産取得とほぼ同じになります。一方、オペレーティング・リースは、賃貸とみなされる本来のリース取引で、会計処理も「賃借料/現預金」と全額賃借料を経費処理するのみで、資産計上(オンバランス)する必要はありませんでした。
IFRS(国際会計基準)では、2019年1月1日以降に開始される事業年度、つまりこの2019年12月期の決算法人からオペレーティング・リースも含めたすべてのリース取引について、資産計上(オンバランス)することになりました。また、オペレーティング・リース取引の資産計上は、既存のリース資産にも適用されるため、過去のリース契約書よりリース総額、リース期間、資産の内容など確認する必要が出てきています。
『滋賀の鍋「じゅんじゅん」』 2020.01.27
週末は日経新聞夕刊「食紀行」で紹介されていた「じゅんじゅん」という滋賀県の鍋料理を食べに、近江八幡駅ちかく「ひさご寿し 本店」へ行ってきました。「じゅんじゅん」は煮込む時の音からこう呼ばれ、醤油ベースに砂糖で甘辛く味付けする鍋料理のこと。この店では地元の近江牛や琵琶湖産の魚など、いろいろな具材でこの鍋料理を出してくれ、わたしは琵琶湖産のヒウオ(氷魚)でいただくことにしました。ヒウオは鮎の稚魚で、秋から冬にかけて琵琶湖でとれる3~4センチの半透明のもの。鍋に入れるとシラスのように白くなり、鍋全体にヒウオのうま味が溶け出し独特の味わいがあります。
このほか琵琶湖で採れる湖魚を素材にした料理もいろいろあり、写真は琵琶湖に住む固有種のビワマスの箱寿し。淡水魚のビワマスを特有のクセが消えるよう調理して、魚の持ち味のうまみが活かされています。