日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
資産税研修会に参加 2015.12.11
季節はずれの暖かい風雨の中、今日午後は京都で「資産税研修会」に参加しました。講師は資産税研修で非常に人気のある笹岡宏保先生でした。私は笹岡先生の研修を受けるのは今年二度目ですが、ざっと10年前から毎年1回は笹岡先生の研修を受けているような気がします。
先生の講義は時間が経つのが早い。もちろん資産税に関する実務経験が豊富なこともありますが、話そうとすることがわれわれ税理士業の盲点をいかに補うかの視点に立っており、また自身の税法やそれを策定する政治家に対する意見(辛口)も述べられるので、聞いた内容がすんなり頭に入っていきます。
今日の研修内容は、① 小規模宅地等の課税特例(間違いやすい事例の確認)② 広大地の判定(『その地域』の認定)③ 不整形地の評価(想定整形地の作定方法)でしたが、特に② 広大地の判定では、税法の研修と言うよりかむしろ不動産鑑定士さんの研修かと思うような内容でした。やはり、最後まで広大地評価の可否で迷ったときは、不動産鑑定士さんの意見をお聞きした方が無難、要するに「餅は餅屋」ということでしょうか。
みなくさまつり 2015.11.24
先週末11月22日に開催された『第5回みなくさまつり』をご紹介いたします。実行委員会の言葉をお借りしますと「地域の更なる発展と南草津の魅力の再発見に繋げるべく」、サブタイトルは「~えんでつなぐみなみくさつ~」。当日は10時~16時まで南草津駅西口ロータリーから当事務所前を経て南草津二丁目交差点まで車両通行止になり、たくさんの飲食店や雑貨などのブースが立ち並びました。
われわれ近畿税理士会草津支部も草津納税協会や草津税務署などの皆さんと西口近くにブースを構え、道行く人へ税の意識を高めていただくお手伝いをしました。下の写真はわれわれのブースにケーブルテレビ(ZTV)が取材に来た様子です。中央にあるジュラルミンケースには1億円分の一万円紙幣(見本)が入っており、その重さを体験することができますが、実際試される人が多かったです。
また、ブースの中では「ちびっこぜいきんクイズ」として、こどもたちにクイズに答えてもらい景品を配りしました。例えば「問:小学生1人あたりに使われる年間の税金はいくらでしょうか? 答:827,000円」のように、小さいうちから税金の役割について考えてもらえるような内容になっています。
中間申告の季節 2015.11.11
事務所に入ってくる日差しが傾き、また日の入りの時刻が早くなり、日々秋の深まりを感じる季節になりました。
11月は法人(3月末決算)の法人税・地方税の中間申告の提出月でもあります。従来の予定納税額は前事業年度の税額×6/12か月で計算していましたが、今回は平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用される「地方法人税」の経過措置から、地方税(法人都道府県民税法人税割、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税)の予定納税額は、その6か月の代わりにそれぞれの数値(3.8、7.5、4、4.7)を乗じた金額が税額になります。
平成20年10月に導入された「地方法人特別税」は、偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置、今回「地方法人税」は、消費税率の引上げで生ずる地域間の税収格差を縮小する目的で創設されたとのこと。いずれにしても税金については税目が増え、複雑になるばかりで申告納税ソフトの有り難味を感じます。
また、この4月より連結納税を適用している法人で予定納税(法人税)の場合、前事業年度の各社の単体納税額に基づき親法人が納付することになります。(税相当額は親子間で精算)これは、適用後で最初に単体納税との違いを実感することではないでしょうか。
情報セキュリティのすすめ 2015.10.14
今日は近畿税理士会 情報化対策部より講師の方々をお招きし、草津支部研修として事務所業務の情報対策化全般のお話しをしていただきました。講義の内容は・・「会計事務所とICT」、「クラウドサービスを使ってみよう」、「情報セキュリティのすすめ」で、ある講師の先生は・・昨今はマイナンバー制度によって個人番号のセキュリティー対策が注目されているが、これにより本来税理士が守るべき情報に対しても、さらに意識が高まっていくきっかけになれば・・とおっしゃていましたが、まさにその通りです。
その中で「情報セキュリティのすすめ」の講義で印象に残ったのが、① 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のホームページ →「情報セキュリティ」→「今月のよびかけ」でセキュリティに関して注意喚起すべき最新情報を毎月入手することができる ② パスワードは桁数が多くかつアルファベットを含めると当然安全性が高い。最近はランダムに番号を順に設定し、パスワードを見破る違法なソフトウェアも存在する。また、インターネットから「パスワードチェッカー」にアクセスすれば、パスワードの強度テストすることができる ③ PC前を離れて長時間になることなどを考え、スクリーンセーバーにはパスワードを設定する・・など、その他事務所運営で有用なセキュリティ対策の方法を知ることができました。
『湖国のモダン建築』 2015.09.26
県立図書館に行くのか好きで、いろんなジャンルの本を借ります。今ある本の中で、今回二回目に借りた『湖国のモダン建築(石田潤一郎、吉見静子、池野保著「京都新聞出版センター」)』を紹介します。内容は県内各地にある明治維新以降の「近代建築」を解説されています。滋賀県は京都府・奈良県に次ぐ文化財の多いことで有名ですが、この本では神戸の異人館にあるような近代建築物が計67棟が掲載されており、私もこの夏実際に現地で見学したものがいくつかあります。
まずは、滋賀県立安土城考古博物館の敷地内にある「旧安土巡査駐在所」。全国的にも貴重な明治時代に建てられた駐在所で、緑の木々の背景に白い切石を積んだ外観が映えます。内部は台所、寝所、トイレなどあり、当時の巡査の生活を垣間見ることができます。
次も同じく滋賀県立安土城考古博物館の敷地内にある「旧柳原学校校舎」で、もともと高島市新旭町にあった初等科小学校が現在の場所に移設されたとのこと。二階屋根の中央に太鼓を吊った鼓楼が設けられており、この建物の特徴になっています。これらの博物館内の各建物は県の有形文化財に指定されてます。
最後に紹介するのは、五個荘近江商人屋敷にある「藤井彦四郎邸」。当主がスイスの山荘に憧れ建てられたそうで、付近の日本の伝統的建築物が多いなか異彩を放っていました。内部はモダンな内装や装飾品で飾られており、室内はこの夏公開された『日本のいちばん長い日(原田眞人監督、役所広司主演)』のロケで使用されたとのこと。この建物も県指定有形文化財になっています。
滋賀県の歴史建造物は戦国時代のものがクローズアップされますが、近代のものも小さいですがなかなか見応えがあります。
消費税軽減税率を考える 2015.09.09
消費税率が2017年4月から10%へ引き上げられるにあたり、軽減税率の取り扱いについてよく報道されています。週末の日経新聞によると、内容の骨格は「対象品目は酒を除くすべての飲食料品」、「所得別限度額の採用」、「マイナンバーの仕組みの活用」だそうで、今日の記事では、消費税還付について「1人当たり年4,000円かそれを超える水準の上限を設ける方針」とありました。これらの記事を読んだ多くの方は、実際の対象品目の購入額、軽減税率を採用するための煩雑な事務処理、小売店の機器導入コストなどを考えると、還付額が小さいと感じるのではないでしょうか。
一方、海外の付加価値税(日本の消費税に相当)の食料品の軽減税率(カッコ内は標準税率)をみると、諸々の条件の違いはありますが・・フランス 5.5%(19.6%)、イギリス 0%(20%)、ドイツ 7%(19%)、カナダ 0%(5%)となっております。(2013年1月現在)
つまり、日本は8%(10%)ですので、軽減税率の影響額が小さくて当然と言えます。現在の国の財政状況から、また軽減税率を採用したことに伴い将来さらなる消費税率の引き上げも考えられ、たとえば欧州並みに・・8%(15%)、8%(20%)になるのもそんなに遠くないかもしれません。
『火花』読みました。 2015.08.31
第153回芥川賞を受賞された又吉直樹さんの『火花』を読んでみました。私は芥川賞の候補作になるような新作文学を読むことはないですが、関与先の方からお借りすることができ、最新の話題作を読んでみることにしました。
これから読む方もいるかもしれませんので、内容の詳細は触れませんが、楽しめる作品になっております。登場人物の主人公と先輩芸人の二人が小説の内容をほとんどを占めていて、この両者のやりとり(特にお笑いを介した精神的な葛藤の部分)が綴られています。
又吉さんの漫才は見たことはないですが、漫才の構成のために考えたであろうネタも随所に挿入されており、なかには漫才では受けなかったであろうネタ(たとえば、エンディングなど)なんかもあったりします。この『火花』が早速に映像化されるそうで、その話題性からヒットするでしょうが、登場人物の内面を映像として表現するのは、少々むずかしいような気がしました。
京都へ半日 2015.08.11
皆様、残暑お見舞い申し上げます。
先週8日(土)より夏季休暇をいただき、昨日ちょっと早めの墓参りに京都へ行ってきました。京都も連日猛暑日が続いており、お参りした午前9時ごろでもかなりの高温です。その後、せっかくでしたので、少し京都のスポットを回ってみることにしました。まずは、小腹をすいたところで、今宮神社(北区紫野今宮町)門前のあぶり餅を食べに行きました。あぶり餅とはきな粉をまぶした餅を串にさして焼いたもので、素朴な味がします。
座敷で食事したお店(『一文字屋』)の雰囲気も、店の中からの風景は時代劇のセットのようです。以前、外国人の方を案内したときも非常に喜ばれました。
それから、北大路通から西大路通へ南に入り金閣寺前をぬけ、足利将軍代々の菩提所である『等持院』へ行きました。近くの竜安寺は外国人を含む観光客でいっぱいでしたが、こちらの等持院は訪問客も少なくひっそりしております。
ただ、当時の権力者の菩提所であるため、庭園も竜安寺に負けず劣らず立派なものとなっております。(写真:手前「だるま絵」から、向うの庭園を望む)隣接する霊光殿という建物には、歴史の教科書やテレビ番組で見る足利歴代の将軍(13体)の木像も拝見できます。
等持院を見終わったところで昼食時になったので、丸太町通烏丸西入ルの『十二段屋』へ行きました。ここは、私の学生のころから元祖お茶漬けとして、手ごろな昼食(季節の一品物、出し巻、赤出し、お漬物盛り合わせ、御飯など)を出してくれます。それぞれ訪問した処は、短い間でしたが、十分京都らしさを堪能することができました。
贈与の認定について 2015.07.14
昨日、近畿税理士会主催の『調査立会い実務に役立つ公表裁決の読み方』というテーマのセミナーに出席しました。内容は公表されている裁決事例で今後実務に役立ちそうなものを、講師の担当税理士が裁決書に沿って解説するというものです。
その中で、父(贈与者)から娘(受贈者)が金地金の贈与を受けたが、娘(受贈者)が贈与税の申告をせず、その後夫名義で売却した事例が取り上げられていました。このようなケースで贈与日を確定する信用性のある資料(贈与契約書など)がない場合、裁判所は受贈者がその金地金を贈与により取得したのは、その金地金を売却した日であると認めるのが相当と判断したとのことです。
もっと身近なケースとして、預貯金を生前贈与する場合、名義預金(形式的には家族の名前(子や孫)で預金しているが、その親族に名義を借りているのに過ぎない預金)と認定されないために、次のような「形跡」を残す必要があるとの記事がありました。
① 口座開設時に名義人が署名する ② 銀行への届け出印を名義人本人が使っている ③ 名義人が自ら住所氏名の変更などをする ④ 通帳や印鑑、キャッシュカードなどは名義人が管理 ⑤ 名義人が入出金している ⑥ 名義人が通帳に使い道などの書き込みをする ⑦ 自署による贈与契約書を作成しておく ⑧ 贈与者の手書きの日記やメモに贈与の意思が読み取れる ⑨ 贈与税の申告と納税は名義人がしている。(2012年10月10日:日本経済新聞)
贈与は贈る側の「贈った」という意思表示と、受け取る側の「もらった」という認識が必要になります。
税務相談センター 2015.06.03
今週、野洲市役所にて税務相談センターの設置に伴い、相談員としてご相談に来られた方への対応をします。このような税務相談センターは、草津税務署管内では3か所(他に草津市役所、モリーブ(旧 ららぽーと守山))あり、近畿税理士会から所属税理士が派遣されます。ご相談に関しては相続案件が圧倒的に多く、税制改正のよる皆さんの関心の高さを感じます。
もし、相続に関するご相談であれば、あらかじめ推定される被相続人の所有物件に係る「固定資産税・都市計画税 納税通知書・課税明細書」など土地・家屋(評価額)の概要を把握できる資料に基づき、決められた時間内(約30分)でもある程度対応することができます。最近は一般の方も心得ていて、納税通知書・課税明細書を持参され、評価額の明細表まで作成・提示される方も少なくありません。
生前贈与で注意しなければならないこととして、不動産贈与の場合、相続と比較して名義変更により贈与税以外の負担が大きくなること(固定資産評価額に対して:登録免許税・・相続 0.4%/贈与 2.0%、不動産取得税・・相続 非課税/贈与 住宅及び土地の取得に係る特別税率3%)があげられますので、そのうえでご検討いただけたらと思います。