日々、税理士業務を行うにあたって、経験したこと、感じたことを関与先の守秘義務を順守しつつ、わかりやすく文章にしていきたいと思いますので、お付き合いください。
ブルーボトルコーヒー 2022.04.04
新年度を迎え気候も穏やかになった週末、神戸の元町近辺を散策していました。JR東海道本線を使って滋賀県より4府県を通過して行くことになりますが、手前の三宮駅までは新快速一本で行けるので便利な旅行です。いま関西のどこの桜も見ごろで、写真はJR元町駅から山側へ徒歩で5分ぐらいのところにある「兵庫県公館」庭の満開の桜。バックの兵庫県公館本館の建物は、1902年(明治35年)に建てられたルネサンス様式の外観を持つ近代建築で、もとは兵庫県の県庁本庁舎として建てられたもの。気軽に門をくぐって敷地内に入ることができるので、重厚で落ち着いた建物と満開になった桜とのコントラストを楽しむことができます。
その後、旧居留地あたりで買い物していた際に気付いたのが、店先に置かれた個性的な「ブルーボトルコーヒー」のロゴ看板。なかに入ってみると店内は天井を高く、空間を広々と贅沢に使い、かつシンプルで開放感のある雰囲気のカフェでした。このコーヒーチェーンは、本社はカリフォルニアで2015年から現在まで日本国内で24店舗を展開、いまではコーヒーのサード・ウェーブの代表格(ファースト・ウェーブは1960年代のインスタントコーヒー、セカンド・ウェーブはスターバックスなどのシアトル系)になっていて、「コーヒー界のアップル」とまでいわれているそうです。この日は週末にもかかわらず運よく席が空いていて、オーダーの都度で淹れてくれるコーヒーはやはり美味しく、またスタッフの接客も行き届いているので、なかなか居心地のよい場所でした。
通算法人、4月30日まで「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の提出を 2022.03.28
この4月1日以後に開始する事業年度から連結納税制度はグループ通算制度へ移行します。(4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに、親会社が「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を提出している場合を除く)そして、グループ通算制度の適用法人になった場合、通算親法人だけでなく通算子法人も法人税および地方法人税の申告にあたり、電子申告義務化の対象になります。(消費税等および地方税については、従来どおり資本金等が1億円を超える法人のみ。)
もし、現在までに連結納税制度を適用している事業年度において特定法人に該当しておらず、「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の提出がないのであれば、従来からe-Taxによる申告を行っていても、通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日から1か月以内(3月末決算法人であれば、2022年4月30日まで)に「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出する必要があります。
ちなみに、提出時期は2022年4月1日から開始のため、未だ3月中の提出は原則として受理されません。また、現状「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の様式はグループ通算制度には対応していませんが、特に資本金等の額が1億円以下の法人については、来月30日までに「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出しなければならないケースが多いと思いますので、事前に準備しておく必要があります。
簡易な方法での申告期限・納付の延長、振替納税日は5月31日(火)に 2022.03.21
令和3年分確定申告の納付・申告期限の3月15日(火)が過ぎましたが、所得税および復興特別所得税以外の消費税等の納付・申告期限については3月31日(木)までになっています。なお、振替納税を利用される納税者の方は、令和3年分確定申告では所得税等 4月21日(木)、消費税等 4月26日(火)です。不動産譲渡などで例年より多額の納税額のある方などは、対象となる金融機関口座の残高にご注意ください。
先月国税庁より「新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方は、簡易な方法により令和4年4月15日(金)まで申告・納付期間の延長を申請が可能」と発表されました。当初、この制度での振替納税を利用されている方への振替日は未定でしたが、国税庁より3月16日付で「振替日は4月15日(金)までに申告された方について、所得税等 令和4年5月31日(火)、消費税等 令和4年5月26日(木)」と追加でお知らせされています。
また従来から、事業の継続や生活の維持を困難にする恐れがあるなどの理由により、所得税等や消費税等など国税を期限内に納付できない場合、税務署に申請することにより納税が猶予される制度もあります。申請のための書類として「換価の猶予申請書」または「納税の猶予申請書」、「財産収支状況書」等を提出することで、原則1年以内の猶予期間中に各月分割して納付(納付するまでの日数に応じて延滞税がかかります)できる可能性があるので、早めに所轄の税務署の徴収担当へ相談するとよいでしょう。
100%子会社からの配当、源泉徴収ナシへ 2022.03.14
消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が始まる2023年10月1日から、別の制度見直しとして、内国法人が受取る「完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等」と「発行済株式等の3分の1超を保有する株式等」に係る配当等については、所得税の源泉徴収を行わないことになるそうです。たとえば、親会社が100%子会社より1,000,000円の配当を受取る場合、源泉徴収税率20.42%の204,200円の控除した795,800円の支払いを受け、100%子会社は204,200円を源泉所得税として国に納付します。これが2023年10月1日以後、親会社が100%子会社より配当金1,000,000円を受取るのみで済みます。
現在の制度では、親会社が100%子会社(完全子法人)の配当等(1,000,000円-204,200円=795,800円)を受取った場合でも、その配当等には法人税や地方税は課されません(配当等の全額が益金不算入)。一方、子会社が支払う配当等には源泉徴収義務(20.42%)が生じたままです。つまり、親会社としては課税されない配当等(1,000,000円)に対して、源泉所得税として税金(204,200円)を前払している状態になっています。
わたしも毎年このケースで申告書を作成するにあたり、あまり意識していませんでしたが、会計検査院の調査したところ、2017~19年度にのべ888社で還付加算金(納め過ぎた税金に対して、日数に応じて加算される金額。利息のようなもの)が生じていて、その金額は約3億6500万円にのぼったそうです。今回は税金のむだ遣いや事務の効率化などからの改正ですが、現行制度にも思わぬ盲点があると認識させられる見直しでした。
雇調金の特例措置等、6月まで延長 2022.03.07
先月の25日、厚生労働省より雇用調整助成金(雇調金)の特例措置について、当初の3月末から6月末までに延長されると発表されました。雇用調整助成金のうち特例措置等とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者が、従業員の雇用維持を図るため、休業手当などの一部を助成する助成金のことで、まん延防止措置等の延長で厳しい経営状態が続く事業者にとって、この助成金は雇用維持に貴重な資金になっています。
雇用調整助成金の特例については、一部の企業を対象に従業員一人当たりの日額は引き下げられる決定がされていて、2022年6月まで適用する予定の場合、2月からは13,500円から11,000円へ、3月からは9,000円へ引き下げられます。(原則的な特例措置)ただ、まん延防止等重点措置を実施している地域で知事の営業時短要請に応じた事業主(地域特例)や直近3か月の平均売上が30%以上減少(業況特例)については、日額は引上げられず当初の15,000円のままになります。
前回ご紹介した「賃上げ促進税制」(2022年4月1日から開始する事業年度より適用)の控除額の計算では、雇調金の支給を受けた法人は、その雇調金の金額を含めて(控除せずに)適用要件の判定を行うことになります。(『週刊 税務通信』No.3693)ただ、「賃上げ促進税制」(中小企業等を除く)は計算過程において「継続雇用者」に対する給与のみが適用要件の判定対象になるので、雇調金のなかでも「継続雇用者に係る雇調金」のみを算定しておく必要がでてきます。
「人材確保等促進税制」、「賃上げ促進税制」 2022.02.28
明日からの3月は、確定申告の提出期限(15日:一定の理由で簡易な方法で申告期限・納付の延長は可能)であり、また多くの法人にとっては年度末でもあります。今回の決算では、新卒・中途採用による外部人材の獲得や人材育成への投資を行う企業(中小企業を除く)に対し、新規雇用者給与等支給額の一定割合を法人税額から控除する「人材確保等促進税制」が適用されます。
ただ、適用要件の一つである「国内新規雇用者の給与等支給額が対前年度増加率2%以上」での「国内新規雇用者」や「新規雇用者給与支給額」の定義はすこし複雑で、比較対象となる「新規雇用者比較給与支給額」になると、前々期に中途採用者まで計算の対象になり場合もあり、この税制を適用するのは当期のみですが、経済産業省「利用ガイドブック」で確認しつつ計算していくことになります。
一方で令和4年4月1日から、企業・個人事業主の積極的な賃上げを促す目的から「賃上げ促進税制」として、従来の税額控除率の拡充が行われます。具体的には、青色申告書を提出する法人・個人事業主で、雇用者全体の給与等支給額の増加額の大企業で最大30%、中小企業では最大40%になります。ただし、この税制のメリットを受けられるのは、当然ですが納税を行っている企業等になり、赤字や繰越欠損金により納税額がない場合は恩恵を受けられません。また、税額控除額については法人税額又は所得税額の20%までと上限が設けられていますので、このあたりを考慮して賃上げや賞与の支給を慎重に決定する必要があります。
滋賀県、独自の上乗せ給付「滋賀県事業継続支援金(第4期)」 2022.02.21
滋賀県は「まん延防止等重点措置」の国への要請を見送っている状況下、重点措置の協力金とは違う形で幅広い業種の事業継続を支援する目的として、2月14日「滋賀県事業継続支援金(第4期)」について3月中旬から申請受付けを開始すると発表しました。支給対象者は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた滋賀県内の中小企業等・個人事業主で、特に業種の指定はなく「国の「事業復活支援金」を受給し、県内に事務所または事業所を有する方」になります。
支給額は中小企業等 20万円、個人事業主 10万円(1事業主につき1回の申請まで)で第1~3期との重複受給も可能です。申請期間は前述のとおり3月中旬から県ホームページでは、現在のところ7月下旬までになっています。国の「事業復活支援金」の申請期限は5月末までですので、その受給後に県の支援金(第4期)の申請する流れになります。
一方、滋賀県下の各市や町の独自給付金については、草津市や栗東市などは1月末で申請受付けは終了していますが、大津市「大津市事業継続応援給付金」(2月末まで)、甲賀市「甲賀市事業継続支援金」(3月25日まで)など、現在申請受付け中のものもあります。各市や町で給付要件も微妙に異なりますので、提出先の要件となる売上高減少割合の基準や対象月・提出書類など、再度ご確認されることをおすすめします。
「野口謙蔵 生誕120年展」 2022.02.14
以前にも紹介した蒲生郡綺田(東近江市)出身の洋画家、野口謙蔵の作品展が開催されている大津市にある滋賀県立美術館へ行ってきました。この美術館は長い間改修工事のため休館し、昨年6月に約4年ぶりリニューアルオープン。緑の多い公園や県立図書館の広々とした敷地内にあり、建物の中に一歩入ると今回のリニューアルの中心になった高い天井と広々としたロビーが迎えてくれます。滋賀県立美術館では滋賀を代表する画家として、従来から謙蔵の作品を紹介してきましたが、ことし2022年は生誕後120年を迎えるということで、現在絵画作品や書簡等の関連資料など約40件を展示しています。
写真左は謙蔵の代表作「霜の朝」(作品展のパンフレットから)。1934年の作品で当時の帝展で特選となり政府買上げ、通常は東京国立近代美術館に所蔵されています。雪の白さと畦道の紅色とで冬の朝の寒さが表現されていて、その中で犬を追いかける女性や飛び立つ鳥の群れの対比が絶妙な作品だと思います。作品展は2月20日まで開催される予定で、この日は地元企業の協賛で拝観料が無料になっていました。今週末は、作品展も終了ということで、学芸員によるギャラリートークや東近江を巡るバスツアーなどがあり、故郷に腰を落ち着け地元の風景を描き続けた謙蔵と滋賀との関わりを知ることができます。
新型コロナで確定申告が困難な方、簡易な方法で申告期限・納付の延長が可能に 2022.02.07
先週2月3日、国税庁より『【所得税等の確定申告について】新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ』が発表されました。オミクロン株による感染の急速な拡大にともない、申告が困難となる納税者が増加する状況を踏まえ、令和3年確定申告について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方は、令和4年4月15日(金)までの間、簡易な方法により申告・納付期間の延長を申請できることになりました。一方で、令和元年分・2年分で実施したような一律での期限延長はしないとされています。
具体的な期限の延長の方法は、期限後に申告が可能となった時点で、申告書の余白等(書面提出は申告書の右上の余白、確定申告書等作成コーナーでのe-TAXで提出の場合は「送信準備」画面の「特記事項」欄など)に『新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請』と記載することになります。簡易な方法による延長後の申告・納付期限については、原則として令和4年4月15日(金)までに申告書を提出した日が申告・納付の期限になり、令和4年4月16日以降も新型コロナの影響で申告等ができなかった場合、申告等ができるようになった日から2か月以内に「延長申請書」を所轄税務署へ提出する必要が出てきます。振替納税を利用されている方の振替日(現在:申告所得税等 令和4年4月21日(木)、消費税等 令和4年4月26日(火))については、別途お知らせされる見込みです。
TKC、『グループ通算制度 ナビサイト』開設 2022.01.31
令和2年度の税制改正にともない、ことし4月以降開始する事業年度から連結納税制度はグループ通算制度に移行します。㈱TKCが自社の連結納税システム(eConsoliTax)を採用しているユーザー企業(299社)を対象に、グループ通算制度への移行予定を調査したところ、90%超の企業がグループ通算制度を適用するとのことでした。(「週刊税務通信No.3688(令和4年1月24日)」)
ほとんどの企業にとって事務負担の増加等がありますが、移行によるメリットの方が大きいと考えられますので、予想どおりの結果かと思われます。同時に㈱TKCでは『グループ通算制度 ナビサイト』(https://www.tkc.jp/consolidate/lp/group_tsusan/)を開設していて、その中にはグループ通算制度適用した場合の「シュミレーションシート」がダウンロードできる機能などがあり便利なサイトですが、ちなみに「グループ通算申告システム」については現在「準備中」とのことでした。
また、国税庁は昨年12月に、文書で「グループ通算制度の適用法人(親法人および子法人)は、法人税および地方法人税を電子申告により行う必要がある」と注意喚起を行っています。もし、書面により提出した場合には、その申告書は無効なものと取り扱われ無申告加算税の対象になり、特に通算子法人にとっては電子申告の際、誰が電子署名するか、ログインID・PWや利用者識別番号など含めて押さえておきたい事項です。